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3分聖女のお見合い①

新作投稿のお知らせ&2巻について、です。

ちなみに新キャラのアスランくんは、小説2巻で登場するキャラクターです。

 

 それはある日の放課後、突然でした。


「生徒会室はどちらですか?」


 見たことのない美少……青年でした。

 制服を着ているので、おそらく三年生。

 だけど微笑を浮かべる風貌は、妙に色気がある雰囲気で。同じ学年でもリュナン様とは余裕が違うというか……といったら、失礼になるでしょうか。


 ――この学校の生徒なのに、生徒会室がわからない?


 新入生ならともかく、とてもじゃないけれど一年生に見えない方だ。

 だけど尋ねられた以上、断るのも可哀想だし……。


「こちらですよ」


 もしかしたら、勉強のしすぎでうっかりわからなくなっちゃったのかもしれない。あるよね、そういう時。私も疲れているとどっちが右手がわからなくなる。


 だから、迷子さんを案内しただけだったのに――


「ど阿呆! どうしてこんな怪しい男を連れてきた⁉」

「しょんぼり……」


 生徒会室で、私はリュナン様に怒られてしまいました……。

 だけど、迷子さんが私の頭を撫でてくれた。


「可哀想にねぇ、ただノイシャさんは困っている人に親切にしただけなのにね?」

「平気で騙す先輩が一番悪いんですよ」


 ――先輩?


 はて、三年生のリュナン様が言う『先輩』とは?

 私が迷子さんを見上げると、その方は「ごめんね?」とにっこりしてきた。


「俺、元生徒会長していたアスランっていうんだ。OBってやつだね」

「OBとは、男性同士が恋愛感情をもつエンターテイメントジャンルの略称でお間違えないでしょうか?」

「めちゃくちゃ間違っているね?」


 アスランというOBさんはにっこり優しくご指摘くださるけど、リュナン様は「どあほおおおお」と真っ赤な顔だった。だけどいつもよりも声は小さくてなんか気まずそうだから……恥ずかしいのかな。


 でも……おかしいな。

 たしか以前に、バルサ様がアニメ談義の最中に教えてくれたものが『OB』だったと思うのだけど……と、ソファでスマホを弄っている風を崩さないバルサ様が「びーえる! びーえる!」と口パクしている。だけどリュナン様が振り返ると、すぐさましれっとスマホに視線を落としてしまった。


 迷子のアスランさんがクスクス笑う一方で、リュナン様がため息を吐く。


「……まあいい。アスラン先輩はうちの卒業生で、卒業を機に海外に留学したエリートなんだけど……どうして帰国しているんですか。連絡、何も受けていませんよ」

「それはもちろん、かわいいリュナンを驚かせたかったに決まってるじゃーん」


 迷子さんことアスランさんは、そういうやいなやリュナン様の頭を抱き込んでぐりぐり頬を寄せている。その仲睦まじい様子を見て、私は小首を傾げた。


 ――やっぱり、びーえるで間違いないのでは?




「あーそこそこ。リュナン、マッサージが上手くなったねぇ。あれだねぇ、小さい頃お布団に地図書いていた少年とは思えない――」

「だから余計なことを言わないでと言っているでしょう‼」


 アスランさんは思いっきり寛いでいた。

 リュナン様に肩をマッサージさせながら、足元ではボツボツのローラーで足裏のマッサージ。そしてご自身はスマホを見ている。


 私も今日の仕事が終わってしまったので、そんな光景をぼんやりと眺めていると。アスランさんがこちらを向いた。


「なーに、ノイシャちゃん。俺が気になる?」

「あの……足のそれは、気持ちいのかなぁと」

「やってみる?」


 アスランさんがポスポスとソファの隣を叩くので、私も移動する。小さなダンベルの持ち手がボツボツしているようなものを「どうぞ」と私の足元に置いてくれるので、私も上履きを脱いでそっと足を載せて。おそるおそるコロコロとしてみれば。


「おおおおおおお!」


 気持ちいい!

 土踏まずのなんかモヤモヤしている部分が、コロコロするたびに痛気持ちよくて癖になる。そしてどんどん足がスッキリしていくのだ。別にコロコロしているだけだから足も疲れないし、書類仕事の合間に使ってもいいかも。というか、授業中もコロコロできたら、いい感じに息抜きにもなって先生の話に集中できたりするのでは⁉


「リュナン様! これ全校生徒に配布できませんか! 私の見立てでは、おそらく十パーセントの学習効率の向上が見られるのですが!」

「却下。みんなでコロコロしている授業風景が滑稽すぎるしそんな教室嫌だ」


 しょぼん……却下されてしまいました……。

 私が項垂れていると、リュナン様は別の話に切り替えるらしい。


「そんなことより、ほんと何しに来たんですか。まさか俺に肩もみさせたいからなんて言わないですよね?」

「あー、まじめな話をすればねぇ……」


 すると、アスランさんが私の足元からコロコロをとる。そして「お近づきの印に」と改めて私に差し出してくれながら、にっこりと笑った。


「ノイシャさんとね、お見合いしに来たんだよ」

・新作投稿はじめました!


『アイドル聖女の幸せなウソつき新婚生活~義妹に婚約者をとられた腹いせにアイドル始めたら、実は熱狂的ファンだった氷炎の貴公子と契約結婚することになりました~』https://ncode.syosetu.com/n0145ih/(下のバナー部分にリンクも貼ってあります)


異世界恋愛ジャンルでの「アイドル」×「契約結婚」ものを書いてみました。

さっそく「おもしろい」と感想もいただいているので、ぜひ読んでみてくださいませ。


・3分聖女の小説2巻。

こちら、アマゾンなどでは予約も始まっておりまして、来月7/3発売予定らしいのですが……まだ表紙イラストが公開されていないんですよね。。めっちゃ素敵なのでぜひとも早く見てもらいたいのですが!!!!


内容は結婚式のお話。全文字書き下ろしです。やっほいが三倍増えました(笑)

またお知らせできる内容が増えたら、この話の更新とあわせてご報告しますね!


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