表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/149

91 守るものが1人だと誰が言ったのか

「ふむ。それが討伐対象の守護騎士か」


 声と同時に守護騎士さんに被ダメエフェクトが出た。


 いや待ってよ。

 今のって〈histoire〉さんの方から飛んできた攻撃だったよね?

 守護騎士さん、あたしの方に歩いてきてたのに、進行方向微妙にズレたんですけど?


 あたしは慌てて守護騎士さんに殴りかかって、ついでに蹴りを入れた。

 反撃もされてるんだけど、姫様が回復してくれるって信じて攻撃を継続。

 だってこれ、ダメージヘイトを稼いで守護騎士さんのタゲをこっちに取り戻さないと、色々面倒なことになりそうな予感しかしないし。


 守護騎士さんを倒した時に、守護騎士さんがタゲってた方のギルドだけに討伐カウントがされる仕様だったら泣いちゃうよ?

 ファーストアタックで判定がつくタイプだったら後で盛大に泣こう。初めては奪われたもの。


「ィー!」(今、守護騎士さんのタゲ取ろうとしたでしょ!? ズルいよ! あたし達が倒し終わるの待つべきじゃん!)

「馬鹿を言うな。同じフィールドでクエストが進行されている以上、全ては競争だ」

「ィー!」(ムキー!)


 言われていることは正しいんだけどさ。

 むしろ、あたし達が、そんなこと言いながら他のギルドを潰してきたような気もするけど。

 やられるのは嫌なんです。

 守護騎士さん、ぜったい〈histoire〉さんには渡さないんだから。


 って、〈histoire〉ってなんて読むんだったっけ?

 えーと。えーと。

 あ、そう。イストワール。

 普通に読めないよね。アルファベットの後ろにカタカナで読み入れてくれないかな。切実に。


「ィー」(ピンクちゃん、こっちにそいつ引っ張ってくるだっぺ。俺がタゲ貰うだっぺ)

「ィー」(はぁ~い)


 〈histoire〉(イストワール)さんから守護騎士さんへの攻撃は続いている。

 ダメージヘイトであちらに負けないように、あたしも全力攻撃。

 攻撃しながら、じわじわ空さんの方に立ち位置を変えていく。


 って、今まで遠距離攻撃ばっかりしてきてた〈histoire〉(イストワール)さんなのに、前衛っぽい人達が2人、こっちに走ってきてる?

 これひょっとして、攻撃妨害でもしてくるおつもりでしょうか。


 ヤバイよヤバイよ。

 1人があたしの攻撃邪魔して、もう1人が守護騎士さんに攻撃なんてされた日には、あっという間にタゲ持っていかれちゃうよ!


 なんてあたしが心配している横で、再びバチバチってなっている歪み。

 そこから、今殴っている守護騎士さんとまるっきり同じ守護騎士さんが出てきた。


 一瞬静まり返るフィールド。


「ィー」(ねぇねぇ、これってどういうコト?)

「ィー」(あくまで予想の範疇だが、その守護騎士、歪みに近付くことで出現するロジックなのかもしれないな)

「ィー」(どういうことだっぺよ?)

「ィー」(1体目の守護騎士、ピンクが歪みに近付いた時に出てきただろ? で、〈histoire〉(イストワール)の連中が歪みに近付いて2体目だ。3つめのギルドが来て歪みに近付けば、3体目の守護騎士が出てくるかもな)

「ィー」(同じフィールドで同じクエストをこなすにしても、争わずにクリアしていく道が用意されていますのね)

『ま、歪みの数が増えたりはしてないから、歪みを潰す部分で奪い合いになりそうだけどな』


 最後のセリフだけは〈histoire〉(イストワール)さんに聞こえないギルチャでお姉ちゃんが言う。

 うん、そこの部分、あちらさんが気付いてないんだったら、競走の中では大切な要素になりそうだもんね。


 それにしても、親切なんですか厳しいんですか、どっちなんですか運営さん!

 優しいように見せかけてからの厳しい対応だと、精神的につらたんなんですけど!


「ィー」(それで、どうするの?)

「ィー」(とりあえず何も変わらずだ。ピンク、1体目こっちに引っ張ってこい。2体目は無視でいい)

「ィー」(はぁ~い)


 実はね、〈histoire〉(イストワール)さんが呼びだした守護騎士さんも、今はあたしが持ってるんだよね。

 2体目の守護騎士さんがこのフィールドに出てきた時、一番近くにいたのがあたしだったから、それで微妙にヘイトいただきまして。

 ついでに殴っておいたのもあってヘイトの上乗せ。


 なんだけど、2体目は無視でいいって言われたから無視無視。

 あたし達の仮説を〈histoire〉(イストワール)さんも採用したのか、〈histoire〉(イストワール)さんからの攻撃が2体目の守護騎士さんに移り変わった。

 初撃(FA)だけ取って放置しっぱなしの守護騎士さんだったから、タゲはあっという間に〈histoire〉(イストワール)さんに持っていかれる。

 あたし的には被ダメが減ってくれてやれやれだよ。


「ィー」(そこまできてくれればもう大丈夫っぺよ~。〈挑発〉!)


 守護騎士さんの身体が赤いオーラに包まれる。

 今まであたしに攻撃してきてた彼だけど、一転、空さんの方に走っていった。

 そんな守護騎士さんに空さんの攻撃が始まる。

 あとは、空さんがヘイト1位になるまであたしが守護騎士さんへの攻撃を控えておけば、タゲのスイッチは問題なしだね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i396991
― 新着の感想 ―
[一言] ギルドの数だけ出てくるんだw増えたらごちゃごちゃしそ~! あと歪みだけはとられないようにしないと! でもどうやって潰すんだろ? 普通攻撃でいけるのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ