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79 さすが忍者汚い

 敵のナイトさんに全力攻撃していたのに、彼のHPをほんのちょびっと残してあたしの〈内丹〉が切れた。

 回避率が落ちるのはいいんだけど、攻撃力とクリティカル率が落ちるのが痛い。


 ああああ、敵のヒーラーさんが杖を動かそうとしてる。これは回復されそうな予感。

 空さんや腐ちゃんも頑張って攻撃しようとしてくれてるけど、倒し切れるかな!?


 って心配してたんだけど。

 あたしや空さんや腐ちゃんの攻撃ではなく、後ろの方から飛んできた弾丸が敵ナイトさんのHPを削りきった。


 機転をきかせて、お姉ちゃんも攻撃に回ってくれたみたい。

 その分HPの回復がおろそかになっちゃって、あたし達のHP、かなり危険域まで減ってますけども。


「ィー」(こういう時こそアイテムの出番だよね~)


 あたしは全体回復アイテムを取り出して上に投げた。

 球状のゴムボールは空中で破裂して、あたし達PTを柔らかな光が包む。

 一瞬であたし達のHPは大きく回復した。


 PT全体のHPを大きく即時回復するアイテムって貴重で、プレイヤー同士のトレードで買うにしてもお高くつくんだけど。

 あたし達のギルドには錬金スキルカンストしてるお姉ちゃんがいますから!

 最近はあたしもそこそこレベル上がってきてるもんで!


 材料さえ揃えられれば貴重なアイテムも作れるわけです。

 高級なアイテムも比較的ぜいたくに使えるわけです。

 錬金レベル60で取れる常時発動(パッシブ)スキル〈調合アイテム効果+20%〉の効果も地味に効いてくるしね。

 このスキルね~、錬金で調合できるアイテムを使った時にね、効果を20%上乗せしてくれるんだ。

 今の場合だと、薬の回復量が20%アップだね。

 腐ちゃんなんて最大HPが低いから、今の回復だけでHP全快までなったよ。


「ィー」(ピンクちゃん~、ナイス回復ぅ)

「ィー」


 腐ちゃんが親指を立てて「ぐっ」ってやってたから、あたしも親指を立てて「ぐっ」って返した。

 さぁ、態勢の立て直しは終わったよ。

 あちらさんのナイトも潰した。

 とりあえずヒーラーさんを潰して、残りを各個撃破していこうか。


「ィー」(ピンク、いっきま~すっ)


 気合い十分、あたしはヒーラーさんに飛びかかった。

 ナイトさんがいなければ攻撃対象はあたし達の自由だからね。

 HPを回復してくれる厄介なヒーラーから潰すのは戦いの常識。


 盾職の守りのないヒーラーなんてただの紙ですから。

 あたしと空さんと腐ちゃんの総攻撃で、敵ヒーラーさん秒殺。


 残りは火力職のみなさんですね。

 攻撃にデバフを乗せてくるやっかいな忍者さんがいるから、この人潰そうかな。


「ィー」(スカイさん、次忍者でいい?)

「ィー」(いいっぺよ~)


 空さんが攻撃相手を忍者さんに変えた。

 空さん、敵全体のヘイトを上げるスキルは常時使ってくれてるんだけど、それだけだとヘイトが足りない時があるんだよね。

 空さんの攻撃対象と違う敵をあたしが全力攻撃すると、火力ヘイトが空さんのヘイトを上回っちゃう。

 そこのところ、空さんも同じ相手を殴ってくれれば空さんの稼ぐヘイト量がぶっちぎるから、あたしが殴られる確率がぐーんと下がって安心安心。


 って、ちょっとー!

 忍者さん逃げ出したんだけど!?


「こんな所で死んでたまるか!」


 たしかに、こんな早々にイベント離脱は嫌だろうけど。

 味方を見捨てて逃げちゃ駄目っしょ。

 汚い。さすが忍者汚い。


 って思っていたら、空さんがあたしの首根っこを掴んだ。


「ィー」(逃がさないっぺよ~)


 逃げる忍者さんに投げつけられるあたし。

 ちょっとちょっと! あたし物じゃないんですけど!

 あたしは頭から忍者さんの背中にぶち当たった。

 完全に不意打ちになったみたいで、忍者さんがこける。

 あたしは頭を抱えて丸くなった。


「ィー!」(いったぁああああい!)

「ィー!」(ピンクちゃん~、痛がる前に忍者倒さないとまた逃げられるぅ)

「ィー!」(ぐぅううう! 痛がる暇くらいちょうだいよぉおおお!)


 あたしだって女の子らしいことしてもいいと思うの。

 でもでも、相手に逃げられるのは女子力うんぬんよりも重要事項。

 あたしはぴょんと立ち直って、転がっている忍者さんの背中に勢いを付けてジャンプした。


「ぐぎゃぁああ」


 おぉ、忍者さんがエビゾリになった。

 上がってきたあごを背中側から掴んで、キメにかかる。


「ィー」(汚いやつは悪役の隅にも置けないっぺ)


 空さんが忍者さんに剣を突き刺す。

 汚い忍者昇天。

 残るは、召喚したフェアリーでひたすらに自分の回復ばかりしている召喚士さんと、狩人さん。


「ィー」(やっかいな召喚獣出されると面倒だからぁ、召喚士さっさと倒しちゃっていいぃ?)

「ィー」(ほいさっぺ~)


 あたしと空さんの攻撃対象が召喚士さんに固定。

 ぼこぼこ。チーン。

 じゃ、最後は狩人さんで。


 どこかの忍者さんと違ってあなたは最後まで逃げなかった。偉いよ。

 でも倒すんだけど。

 狩人さん、守備力そんなに高くないから、あっというまにお亡くなりになられたよ。


「ィー」(ふぅ。そこそこレベルのギルドに半端な人数であたると、戦闘も一仕事だな)


 お姉ちゃんがちょっと疲れたような声をだした。

 回復やデバフ解除に忙しそうだったもんね。お疲れ様。

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i396991
― 新着の感想 ―
[一言] レベル差があるとはいえ、人数の差はやっぱり辛い 戦闘が面倒になるもんなぁ しかし忍者の人、一人だけ逃げてどうするつもりだったんだろう…… 生き残ってればそれだけでなんかもらえたりするのかな?…
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