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76 遭遇〈ルイーダの酒場〉

「ィー?」(ここが神秘の泉だっぺか?)

「さよう」

「ィー」(カラッカラに枯れてるっぺね)

「それもあって、この地の砂漠化が進行しているからな。この地に住み続けたければ、泉の復活は絶対だ」


 祈祷師さんがおわん状になっている泉の底に歩いていく。

 そうして、所々で砂を手に取ったり天井を見上げたりしだした。

 なんか、捜査してるみたいな感じ。


「ィー?」(あたし達を待ってる間にイベント進まなかったの?)

「ィー」(わたくし達もついさっき着いたばかりでしてよ。彼女、歩きがゆっくりな上に、所々で何か考えるように立ち止まってしまって)

「ィー」(そちらはどうだったのでござるか?)

「ィー」(これといって成果無しだな。弱いけどレアなアクセがあったから、それだけは回収してきたけど)

「ィー」(他は中級回復アイテムとかだったからぁ、捨ててきたよぉ)

「ィー」(言っても、出てくるモンスターがまだ高くても60台ですものね。そんなものだと思いますわ)


 あたし達が喋ってる間も祈祷師さんはウロウロやっていて、今は神秘の泉の真ん中らへんにいる。


「ここには光が届かないようだな」


 天井を見上げながら祈祷師さんが言った。


「ィー」(地下2階でござるからな)

「もっともだ。けれど、伝承では、『儀式は月の光が照らす神秘の泉で行うように』とある。今の状態では儀式が成立しない」


 な、な、な、なんですとー!?


「ィー」(そういえばぁ、3階にあった仕掛けぇ、天井を動かすのもあったよねぇ)

「ィー」(そういやあったな。てことはアレか? 神殿中に仕掛けがあるから、それをいじって月の光をここまで導けばいいのか)

「ィー」(あ。でも、月の光って限定がついてるから、月が出てる間中に仕掛け解いて、儀式終わらせなきゃなんじゃない?)

「ィー」(地味にやっかいでござるな)


 あたし達が意見出しをしていても祈祷師さんは何も言ってこない。

 こりゃもう、儀式の条件を満たすまで動かないかな。


「ィー」(他に思いつかないし、とりあえず神殿のギミック案でやってみるか)


 お姉ちゃんがぱんと手を打った。


「ィー」(それに、そろそろ陽が沈みきってるはずだ。今晩中に儀式をさせるなら、急がないと時間が無い。さっきの組分けのままで動こう。レッド、ホワイト、祈祷師の護衛頼むぞ)

「ィー」(了解でござる)


 ようやく合流してクエストが進むかと思いきや、あたし達は分かれて分担作業。

 3階までかけのぼって、仕掛けをガチャガチャ動かしていく。

 まずは天井を開けるでしょ~?

 あ、このレバー2段階で動かせるんだ。最後まで動かし切ったら天井がさらに広く開いた。


「ィー」(天井どれくらい開けとけばいいかな?)

「ィー」(半空きだと光量が足りないとか、反射鏡のある場所まで光が届かないとかがあるかもしれないから、全開の方がいいかもな)

「ィー」(それじゃこのままにしとくね~)

「ィー」(さっきはさぁ、動かなかったレバーもあったよねぇ。天井が全開になったら動くとかないのかなぁ)


 とととと走っていった腐ちゃんがレバーの1つにぶら下がる。

 ガコンと音がして床が動き出した。

 でも残念。

 3階の床に穴があくのかと思いきや、二重床構造。


「ィー」(たしか、こっちにも動かないレバーあったっぺよね。二重床の上部が動いたのなら、こっちも動くんじゃないっぺか?)


 空さんがレバーを引く。

 再度音を立てながら、またまた床に変化が起こった。

 二重床の下部も無くなって、3階のあっちこっちに配置された鏡に反射された光と真っすぐに差し込む光が2階に注ぐようになった。


「ィー」(3階はこれでいいっぽいな。2階に下りよう)


 2階に移動。

 3階と同じように仕掛けを動かしていく。

 光が上手く下にいくように鏡の角度を調節して、光を遮る置きものをどけて、床に穴をあけて……。


 ってやっている途中で姫様からギルチャで連絡が入ってきた。


『他のギルドが追い付いてきたみたいですわよ。大丈夫でしょうけど、いちおう連絡しておきますわ』


 ギルチャだと発言が「ィー」にならないんだね。

 まぁ、実際に声を出しているわけじゃないから当たり前か。思念での会話に近い感じだし。

 ギルメン以外には会話が漏れないし、離れていてもお喋りできるから、便利な機能だよね。


『ここで結構時間食ってるもんな。それで、そっちはどうよ?』

『わたくし達2人で相手しきれないギルドだと困るので、気配がしてすぐに祈祷師を連れて隠れましたわ』

『そちらの仕事が終わるまで隠れているでござる』

『了解』


 やりとりをしている間に2階での操作はおしまい。

 1階に移動だよ~。


「ィー」(他のギルドに会ったらあたし達はどうするの?)

「ィー」(ギルドによる。勝てそうなギルドならその場で潰す。勝てなさそうならかわす)

「ィー」(ほい了解っぺ)

「ィー」(それが安全そうだねぇ)


 何せあたし達、今、専門のヒーラーさん不在だからね!

 強いギルドと当たると負けるかもだもんね。


 さてさて。

 強いギルドと当たらないように祈りながら1階のギミックも解きますか!


 気合いを入れなおしたあたし達。

 神殿に入ってくる複数の人達。

 強いギルドと当たらなければいいねと言っていたそばから他のギルドと出会う不具合。


 〈ルイーダの酒場〉ギルドさん。

 強いんですか弱いんですか。よそのギルドのことをぜんぜん知らないあたしには、名前を見ても判別がつきません!

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i396991
― 新着の感想 ―
[良い点] ダンジョンの仕掛けと言えばコレ! 鏡や水晶の反射・屈折を利用して光を導くアレ!(笑) この手の仕掛け、普通のコンシューマーだと大体は頭の体操程度の難易度ですけど、たまーに同人ゲームとかで…
[一言] RPGでよくある仕掛け! やって来たギルドは強いのか弱いのか……ほんとその名前じゃわからんww
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