65 結成、怪人戦隊!
「拙者にもワープポイントは見えているでござるよ。なるほど、そこから飛ぶタイプのIDでござるか」
「そうなんだぁ。それじゃそれじゃぁ、クエストはどうなってるぅ? こっちでぇ、そこのオカマから受けられるよぉ」
腐ちゃんがサン=ジェルマンさんの部屋のドアを開ける。
「オカマって言うんじゃないわよ! オネエと言いなさい」
勢いよくサン=ジェルマンさんが飛び出てきた。
オカマとオネエの違いがわからないんですが。説明はいらないです。
「話はドアにへばりついて聞き耳たててたから知ってるわよ。全員あのクエに再挑戦したいのね。はい、クエ」
サン=ジェルマンさんが指を鳴らす。
あたし達全員クエストを受注したみたい。
【繰り返し】化学の結婚の思い出
サン=ジェルマンの人生の欠片を追体験せよ。
クリア報酬:2,000,000金
希少アイテムをランダムで4つ
行く場所とやることは同じなんだろうけど、クエストが変わってる!
「タマ男のクエストどうよ? クリア報酬、ギルド倉庫拡張とかなってねぇ?」
「金とアイテムらしいでござるな」
「やっぱ、フル拡張倉庫2つとかはくれないよな~」
残念そうにお姉ちゃんが肩を落とした。
「ま。希少アイテムくれるらしいから、それで我慢するか。何度も受けられるクエだしな」
あ、復活した。立ち直り早いですね。
んまぁ、諦めるしかないもんね。
サン=ジェルマンさんが最初くれたクエスト、くくりが【特殊クエスト(ギルド)】だったから、ギルドで1回しかクリア報酬貰えないタイプの可能性は最初から高かったわけだし。
お姉ちゃんの言じゃないけど、グレードは下がっても何度もクリア報酬貰えるだけで良しとしないとね。
「よーし。準備は万端! 気を取り直して行きますかー!!」
「ぉー!」
さぁさぁ、行こうではないか、アイテム取り(ついでにタマさんのクエストクリア)に!
◉◉◉
クリアまでにそこそこ時間がかかったわけなんですけどね。
そこはweb小説ですよ。
面白くない所はまるっとカット。
って、天の声が言ってました。あたし、なんのことかわかんなーい。
とりあえず、あたし達6人分の怪人変身バッジが手に入って、タマさんはクエストをクリアした所まで時間が進んだわけです。
あたし達の今いる場所はギルドハウス。
「あははぁ。面白いね怪人ゴッコぉ」
腐ちゃんが怪人変身バッジを胸につける。
背は低いのに、やたらと胸の大きいロリ怪人が誕生した。
マントの色は紫。普段から垂れ流してるどどめ色のオーラがマント化したのかな?
「よし、次は私がいくか!」
お姉ちゃんも怪人変身バッジを装着。
スタイル抜群、スレンダーボディの怪人が誕生した。もちろん眼鏡はなくならない。
マントの色は金。お金好きだからね。このさいカレー好き属性も盛っとく?
「これは! 俺が怪人にならぬわけにはいくまい!」
空さんが変身。
いつものグレースカムバックGTRになりました。
マントの色は空。名前からですか? 安直すぎやしないかね作者。
「次あたしね、あたし!」
あたし変身っ!
小柄な、耳と尻尾のある怪人が生まれました。
マントはピンク。えとー。お色気枠? 「なわけねーだろ」マスコット枠らしいです。
「そろそろわたくしも変身いたしましょうか」
姫様の華麗な変身。
豪華な金髪が覆面から漏れてる怪人になったよ。怪人服がロングスカートで微妙にいろいろ豪華ってどういうことですか。差別反対。
マントは白。この人見た目は純真なお嬢様だけど、中身真っ黒だけど白マントでいいの?
「最後は拙者でござるか」
頼むよタマさん! チョンマゲな怪人みたいなオチ希望!
そんなあたしの希望に反して、現れたのはなんの変哲もない普通のショッ○ーだった。
いやね、見た目ね、仮面○イダーでわらわら出てくる雑魚怪人と同じなんだけど。マントしてるだけで。マントというか、スカーフ?
あ、スカーフの色は赤です。
弱そうな見た目なのに、なんでスカーフだけ情熱の赤なの。
「なぁにアンタ達、全員分怪人変身バッジ取ってきたわけ?」
部屋から出てきたサン=ジェルマンさんがあきれた様子で言った。
「で、どうするのよ。本気で怪人戦隊でも組むつもり?」
「ィー!」(怪人戦隊! すっかり忘れてたっぺ! タギルっぺ!)
「ィー」(戦隊を組むならリーダーがいりますわね)
「ィー」(そんなの俺1択だっぺ! 誰よりも早く怪人になった! この中で唯一翼持ち!)
「ィー」(タマだな)
「ィー」(なぜに拙者!?)
「ィー」(昔からぁ、戦隊もののリーダーといえばレッドだからぁ、赤マントのタマでいいと思うぅ)
「ィー」(面倒な仕事は委員長タイプに任せるに限りますし。語尾にちょこちょこだっぺと言う人がリーダーではシマリがありませんもの)
リーダー枠から外されて空さんが泣いてるけど、誰も聞いちゃいない。
涙拭きなよ空さん。
ぽん。
あたしは空さんの肩を叩いて、そこら辺にあった布を渡した。