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62 3匹のオーク

「この穴深くないぃいいいいいいい!?」


 叫びながら、穴を半分滑り落ちていくあたし。

 最後はすぽんと空中に放り出された。

 って、ちょっ。

 空中に放り出されるってどういうこと!?


 とりあえず、小さく丸まって姿勢を安定させて……。くるくるくる、しゅたっ。

 あたし、華麗に地上に着地しました。

 すぐ隣に銀さんも普通に着地している。着地してすぐに周囲を確認して、少し驚いたような表情になった。


「地下にこれだけ広い空間があるとは」

「ゲームってほんとやりたい放題だよね~」


 あたしも首をめぐらす。

 あたし達がいるのは地底のはずなんだけど、そこに、ドーム状のそこそこ広い空間があるんだよね。

 東京ドームいくつ分とかテレビではよく例えるけど、ごめん、あの例え、広さ全くわからない。あれでどのくらいの広さかわかる人いるのかなぁ?


「それで、倒すのは何でござったか?」

「えとね、煉瓦(れんが)オークと、木オークと、わらオークだって」

「オークでござるか。まぁ、オークといえば豚の化け物。ゆえにこのエリアは豚だらけ、と」


 あたし達が話している前を豚さんが横切っていった。

 いやね、きちんと敵って表示されてる豚なんだよ?

 あっちからこっちまで、途中までは元気に突進してきてたんだよ?

 あたし達の近くまできたらガクブルしだして、最後は素知らぬ顔で素通りしていっただけで。


 レベル差のせいでビビってるんだと思います。はい。

 まぁ、突進くらってもダメージ0だろうから、どうでもいいんだけど。

 倒したら豚肉とか手に入るのかな? ていっ。


 あ、豚肉落ちた。


「これ、持って帰ったら姫様喜ぶかな?」

「普通に街の商店で買える物でござるな」

「じゃぁわざわざ倒す必要なしだね」


 普通の豚さん、無視が決定しました!


 ところでさ、近場にある藁のあばら家から、豚のお尻みたいなものが見え隠れしているんですが。

 そのお尻の上に藁オークって名前が表示されているんですが。


「ていっ」


 あたしはそのお尻を殴った。

 Lv5の相手だから、もちろん1撃で昇天。

 クエストの討伐対象になってる藁オークの所が(1/1)になった。

 やっぱこの子ですか!

 てか、レベル差で怖がるの、ボスでも適用されるのがいるんだね。

 それとも、この子、ボスはボスでもただのネームド(ちょっと強くて固有名詞持ってるだけの雑魚)だったりとか?


 ま。どうでもいっか。考えてもわかんないし。


「そいつで合っていたでござるか?」

「うん。この調子で、木オークと煉瓦オークもちゃちゃっと行っちゃお」


 あたしは周囲を見回して、木でできた小屋を見つけた。

 100mくらい先にある小屋なんだけどさ、そこから、なんか視線を感じるような。

 藁オークさんが藁ぶきのあばら家にいたんだから、あの木の小屋には木オークさんがいるんだろうなぁ。


 藁オークさんみたいに木オークさんもびびってるとして。

 逃げられると面倒だから、あたしは木の小屋までダッシュした。


 視線を強く感じる場所を見つけてそこに顔を近付ける。

 小屋の壁を作っている木と木の隙間から、目が見えた。


「そ~こ~か~」


 ていっ。


 壁なんて無視して木の隙間めがけてパンチする。

 ボロい木はバリっと割れて、あたしのパンチは壁の先にいたモンスターにヒットした。

 あ、やっぱり木オークさんだったね。

 クエストの討伐対象カウント貢献ありがとうございます。


 さぁて、残るは煉瓦オークさん!

 もうちょっと行った先に煉瓦の建物は見えてる。

 これまではあばら家や小屋だったけど、さすがは煉瓦。きっちりとした頑丈そうな建物にまでバージョンアップしてる。


 その、ガッシリした建物の屋上で仁王立ちしてるのが煉瓦オークさんだね。

 さすが、一番いい家を縄張りにしてる。

 他の2匹と違ってビビって建物に隠れたりはしないんだね。

 微妙に足が生まれたての小鹿みたいな震え方してる気がするけど、そこは見なかったことにしてあげるよ。


 とりあえずあたしは煉瓦の建物まで走った。

 本当は建物に入って中の敵を倒しながら屋上に上るとかしないといけないんだろうけど……。


 そんなの面倒だし。

 建物のあっちこっちにある出っ張りを足場や手をかける場所にして、あたしは外壁を登る。

 あっという間に屋上に到着っと。


「さて。覚悟はできてるかな? 煉瓦オークさん」

「ブ、ブヒっ。お、おいは負けん、わいのような悪の魔王相手にでも!」


 煉瓦オークさんが何やらよくわからないことを叫びながら突進してきた。

 あたしはそれを避けて、軽~く回し蹴り。

 煉瓦オークさん蒸発。


 ああ。他の2匹より強そうに見えてたけど、彼(彼女?)ってば、しょせんLv5なのよね。

 何の苦労もなくクエストクリア。

 これからどうしたらいいんだろうと思って待っていたら、煉瓦の建物から魔女さんが屋上に出てきた。


「さらわれた時にはまだ目も開いてないような状態だったのに、随分と育ったものだね。親はなくとも子は育つってことなのかねぇ」


 んんん?

 何のことを言っているんですか?


「認めよう。おんしは、生んですぐにここのオーク達にさらわれた我が子だ」


 えええええ!?

 何がどうやったら、あたしが魔女さんの子供だって認める決め手になるの!?

 てか、そういう設定なの? 狼獣人種族。

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