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45 羽化しました

「ぶじ卵が形成されたようですね。では、それを孵化させに行きましょう。上の階です」


 お決まりの感じでワープポイントが出現&セーブ。のち、綺麗なお姉さんと上の階に登る。


 これ、あれだね。

 この塔って、たぶん、1つの階でのイベントが終わるごとにワープポイントが出現って規則がある。

 失敗しても1階のイベントからやり直さないでいいわけだから、親切かもしれない。


 次って何階だっけ?

 あ、階段の踊り場に↑4/3↓って書いてあった。


 4階は工房になっていて、真ん中に大釜が再登場。

 今度の釜は金属製で、中に黄色い砂が敷き詰められてる。


「銅釜の中の砂に卵を埋めてください。それを熱して卵を完熟させますので」


 卵の埋め込みはお姉ちゃんがやる。

 残りのメンツで釜の下に薪を集めてファイア。


「なんていうか。ゆで卵ができそうな工程だよね」

「出来上がったゆで卵を食べろとかいうイベントがきても、俺は驚かない」

「このクエなんかグロいからぁ、可能性は無きにしも非ずぅ」

「発言するとフラグが立ちそうですから、やめてくださいませんこと?」


 わいのわいのと言いながら火の管理。

 そうしたら、すぐにピキッって音がした。

 出元は大釜の中のような……。


「なんか、釜の中から音しなかった?」

「したな。ていうか、卵を埋めたあたりの砂がごそごそしてるから、羽化したのかもしれ――」


 釜の上部にある作業場から様子を眺めていたお姉ちゃんの顔が引きつった。

 聞いたことのない、ビィイイってダミ声が聞こえる。


「生まれてきたぞ。すげー不細工なのが」


 お姉ちゃんがゴソゴソして、血まみれでブサイクな雛をひょいと掴んだ。

 生まれたては皺しわしててブサイクっていうけどさ。それを考慮してもこの子はブサイクだと思う。


「で、こいつ生まれたらどうすんの?」


 これからの行動を綺麗なお姉さんに聞くお姉ちゃん。

 その間に、みるみる大きくなるブサ鳥。


「って、重いぃいいいっ!!」


 お姉ちゃんが持てる重さからはあっという間に外れたらしくて、お姉ちゃんが鳥をリリースした。

 大きくなり続ける鳥。

 黒かった羽は白くなって、最終的には火の鳥みたいな見た目の鳥になった。もちろん巨大。

 天井に頭突きして穴を開けて、上に羽ばたいていかれましたけど。

 鳥さんが通り抜けた後の天井はすぐさま修復される。


「ああ、なんということでしょう。伝説の不死鳥が逃げてしまいました。ですがまだ塔内にいるはず。お願いです選ばれた方々。あの不死鳥を撃ち落とし、鳥風呂に入れてください」


 綺麗なお姉さんが大仰に頼んでくる。

 うん、これが次のお仕事なのかな。撃ち落とせっていうくらいだから、バトルになりそう。


「あの鳥上に上がったし、順当に5階に行くか」

「ようやく命が宿りましたのに、また命を奪いそうな行動ですわね」

「風呂に入れろってだけだから、ギリ生きてるんじゃね?」


 どうなんだろうね~?

 ていうか、綺麗なお姉さんいわくの不死鳥さん、めっちゃ大きかったけど、あんなのが入るお風呂ってあるのかな?


 なんて言いながら辿りついた5階。

 構造的には、4階の工房の真上の部屋。

 その部屋の半分くらいはプールでした。

 いやね。さっきさ、不死鳥さんの頭突きでこの床壊されたよね? 水が張ってある場所だけ華麗に避けて壊した? 恐るべし野生の勘。


 その、半分プールになっている部屋を、不死鳥さんが窮屈そうに飛んでいる。

 敵ってアイコン出てるしHPバーも出てるから、敵モンスター扱いなんだろうね。鳥風呂って、このプールかな?

 HPを削りきったらプールに入ってくれるのか、プールに叩き落とせばその時点で戦闘終了になるのか、どっちなんだろ?


「わからんな。とりあえず削ってみるか。あの鳥のHPを削りきるまでにプールに叩き落とせないとクエスト失敗な可能性もあるけど、それならそれで中間セーブからやり直せばいいだろうし」


 気楽な調子でお姉ちゃんが発砲。初弾は毒付加でした。


「HP何割か削ったらぁ、叩き落としチャンス! ってアナウンス来るかもねぇ」


 腐ちゃんは部屋全体に雨を降らせて持続ダメージを与える所から始めたみたい。

 空さんはヘイトを稼ぐでしょ、姫様はそんな空さんに持続回復をかけて。


 あたし?


 あたしはさ、ほら、そのままだと不死鳥さんに攻撃届かないから。

 プールサイドに高飛び込み台があったから、必死にそこ登ってるところだよ! 武闘家(モンク)にも遠距離攻撃手段実装してよ!(切実)


 よーし、高飛び込み台のいちばん上まで登りきったぁ!

 不死鳥さんの行動パターン補足OK。

 では、飛び蹴り行かせていただきます。


 あちょーーーーー!


 あたしは勢いよく空中へとダイブした。

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