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43 まさかのホラーにジャンル変えですか?

 綺麗なお姉さんに作れって言われたアイテムって、おおざっぱに言うと、薬草や宝石のエキスなんだよね。

 だから、初めにやらないといけないのはアイテム収集。


 空さん、腐ちゃん、姫様には、エキスを抽出する元アイテムを集めにいってもらった。

 あたしとお姉ちゃんは水汲み。


 集めてきたアイテムね、エキスを抽出する前に洗浄しないといけないんだって。

 そのとき使う洗浄水を作るための水だね。


 といっても、井戸、部屋のすぐ外にあってさ。

 本当は、そこから桶で水をくみ上げて運んで瓶に移してとかしないといけないんだろうけど。


 インベントリから太めなホースを出したお姉ちゃんが、ホースの片方を井戸に入れた。もう片方は工房内の瓶に入れる。

 スイッチっぽいボタンを押したら自動で水が汲み上げられてきた。

 それもね、永遠と水をくみ上げるんじゃなくて、瓶から溢れないラインで汲み上げを止めてくれる。

 何この高性能アイテム。


「いい水があったら大量に採取して帰れるように常備してるアイテムなんだが。こんな所で役にたつとはな」

「お姉ちゃんにとってクエストって、アイテム採取がセットなんだね」

「そうだぞ。どこに貴重な素材が転がってるかわからないからな。人さまがまだ見つけていない物を入手して手を加えて市場に出すから、莫大な利益が転がりこんでくるんだ」


 うん? 莫大な利益?

 人さまが持っていない物を作れたとか、レアアイテムも作れてやったー。じゃなくて、利益?


 ……うん。

 深く考えるのはやめよう。

 錬金するなら、いかなる時でも素材収集は大切だよってことで。


 水汲みをしないでよくなったから、あたしとお姉ちゃんはひたすらに洗浄水作り。

 錬金釜をそれぞれ1つずつ持ってレッツ調合。


 水瓶から錬金釜に水移すの面倒だなって思ってたら、お姉ちゃんがさっきの水汲みホースと同じものを貸してくれた。

 自分以外のPTメンバーにも水収集を頼めるように、複数本持ってるんだって。

 おかげであたしは助かりました。


 水瓶から錬金釜に移した水を棒でぐるぐるやって洗浄水作ってー、完成したら(ホースで)洗浄水瓶に移してー。

 そうこうしていたら、アイテム採取組が採ってきたアイテムもいい量たまってきた。

 腐ちゃんと姫様はアイテムの洗浄に回る。


「見たことのない野菜や宝石がありましたの。このクエストだけで使えってなっていませんから、いくらか貰って帰りませんこと?」

「お、いいな」


 洗浄したらアイテムにイベント用のロックが掛かるかもだから、その前の状態で、欲しいアイテムをインベントリにいただく。

 ガメて足りなくなった分は空さんが集めてくるそうな。


 で、洗浄したアイテムがそこそこの量になったら、お姉ちゃんはエキス抽出に移って。

 洗浄水を十分な量ストックしてから、あたしもエキス抽出に加わる。


 っていっても、リアルみたいに素材を砕いて溶媒で煮だしてなんてやらないで、錬金釜に素材と溶媒を放り込んで、ぐーるぐるで終わりなんだけど。

 あ、抽出溶媒はお姉ちゃんが作ってくれてたよ。


 そんなこんなで作業を続けていたら、綺麗なお姉さんに指定されていたアイテムが揃った。

 どうやって感知したのか、工房に綺麗なお姉さんが登場。


「さすがは金羊毛皮を持つ方々。このような作業は簡単でしたね。では、次の工程に移りましょう。ついてきてください」


 綺麗なお姉さんの横から黒子さんが出てきて、あたし達が作ったアイテムを回収、持っていく。

 次の工程ってここでやるわけじゃないっぽいから、そこまで運んでくれるのかな?

 それでね、工房の片隅にワープポイントが出てきた。

 綺麗なお姉さんは、部屋の出口であたし達が来るのを待ってくれている感じ。


「セーブはするとして、続き、どうしますこと?」


 腕をワープポイントに突っ込んで進行状況をセーブしながらあたし達。

 待ってくれている綺麗なお姉さんには悪いけど、セーブとみんなの意思確認は大切だからね。


「次セーブできるタイミングまでにかかる時間がわからん。今は比較的時間に余裕があるけど、続けるには不安が残るな。インベントリに回収したアイテムもギルド倉庫に移したいし」

「このクエ……っていうかぁ、このフィールドぉ、おかしな長さしてるからねぇ」

「ここで止めとけばいいんじゃね?」

「さんせーい」

「そんでは今日は帰るということで」


 ごめんね綺麗なお姉さん!

 待ってくれている彼女を放置して、あたし達はその日の冒険を終えた。



 ◉◉◉



 で、続きをしに戻ってきたんだけど。

 綺麗なお姉さんは、変わらず工房の出口に笑顔で立っていた。

 進行役のNPCって大変。


 そんな綺麗なお姉さんだけど、特に機嫌を害した様子もなく階段を上る。

 2階にはまた工房があって、そこで綺麗なお姉さんのお話が始まった。


「この階では、亡くなった王族の体を溶かしていただきます。手順はそちらに」


 綺麗なお姉さんが杖で床を叩くと、1階の時と同じように小さな画面があたし達の前に表示される。

 王族の体を溶かすとかいうグロい作業の工程が書かれていた。


 えーと。

 お湯でぐつぐつしたら王族の体は溶けるんだって。すごいねお墓いらずだね。


 工房の中に置かれている大きな釜、たぶんこれで煮ろっていうんだろうね。

 水は入っているのかな?


 大釜の中をのぞいてあたしは回れ右した。


 だって、大釜の中、水は入っていたんだけど、一緒に大量の生首が浮かんでたんだもん。

 なにこのホラー展開。

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i396991
― 新着の感想 ―
[良い点] お姉ちゃんは別の意味でも錬金術師ですね!(笑) クエストで要求されるアイテムを、必要数以上、ある程度余裕を持って集める……分かる。 ボンクラも基本的にやる派です……たとえ他に使い道がなく…
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