表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/149

32 城到着

「まぁ、大量のノーマル鶏肉だろうと貴重な鶏肉だろうとなんでもいい。ともかくアイテムドロップしろ!」


 気合いの声とともにお姉ちゃんの銃から弾が発射される。

 それは、あたし達の前を飛ぶハトさんの残りHPを見事に削りきって、ハトさんが消滅した。


 ぴろりろりん

 〈道しるべのハト肉〉x30を入手しました


「見たことない素材が手に入りましたわね」

「錬金でも使えるかもだから、私にもくれ」

「そうですわね。とりあえずギルドハウスに戻って使い道は相談しましょうか」


 なんて、カラスさんの上で肉の使い道を相談している間に、空さんが地上に落下した。

 かなりの高度から落ちたから一発死かと思いきや、ギリギリで生きてるみたい。


『いや~。死ぬかと思ったわ。木がクッションになってくれてよかったー!』


 いや。普通さ、この高さから落ちたら、木がクッションになっても、その木との衝撃が強すぎて死ねるよね。

 これが盾職のたくましさというやつなのかなぁ。

 なんにせよ、空さんを回収にいかないとだよね。


「カラスさん、あそこの、空さんが落ちた付近に飛んでくれる?」


 あたしはカラスさんを撫でながら言ってみる。

 言葉が通じたのか、一声鳴いたカラスさんは指示した通りの場所に飛んでくれた。


 ほどよく高度も下げてくれたから、空さんの落下地点付近であたし達はダイブ。無事空さんと合流できたよ。

 空さんのHPは姫様が回復してくれて、何事もなかったかのようにいつもの状態にもどる。


「でさー。これ、俺達どの道にいるのか誰かわかる?」


 空さんが周囲をきょろきょろ見回す。


「わかりませんわ。上空から見た荒野、霧で覆われてましたし」

「でもさぁ、あそこに城見えるじゃん~。あそこがゴールならぁ、距離短いしぃ、どの道でも行けそうじゃないぃ?」


 腐ちゃんが道の先を指した。

 道は高い山の方に続いていて、その山の頂上付近にお城みたいなものが見える。


 お城といえば王様が住んでいる場所。

 王様といえば、第3フィールドが始まってすぐに貰った結婚式への招待状をくれた人。

 あれが、結婚式をあげる王様の住んでいるお城なのかな?


「まぁそうだな。何かあったら空が頑張るだろ」

「え? 俺だけなの? みんなでどうにかするんだよな?」

「その時しだいですわね。さ、参りましょ」


 姫様が空さんの腰あたりを杖でつつく。

 空さんは「ああん」とか言って歩き出した。

 空さんがキモイのは今更だからおいといて、やっぱり先頭は空さんに行ってもらわないと。何かあった時が危ないからね。


 幸い、そこから先は敵さんが出てくることもなく、ただ山登りをしただけ。

 夕暮れ時にお城に着いたよ。


「ここにもワープポイントがあるのな」


 城門前にあるワープポイントに空さんが腕を入れる。


「ありがたいですわ。この先で何か失敗した時、もう一度鳥に乗って追いかけっこは面倒ですもの」

「鶏肉が欲しい時ぃ、鳥が巨大化した瞬間に倒すっていうの繰り返したらどうかなぁ?」

「それいいかもな。このクエクリアした後で考えよう」

「中間ポイントがあると楽だね~」


 あたし達もワープポイントに腕を突っ込んで、進行具合をセーブ。


「まぁ、今日はこんなトコで帰るか。リアルがそこそこいい時間だし。中間セーブまじ便利だな」

「ここで上がる、賛成ですわ。寝不足はお肌の大敵ですもの」

「じゃ、また全員集まったときに続きってことで」

「お休み~」

「ノノ」



 ◉◉◉



 それで、みんな集まって攻略再開の日。

 やってきてみたお城のフィールドはやっぱり夕方。

 この世界ってオープンフィールドだから、時間の流れはゲーム内で共通のはずなんだけど。

 このクエストフィールド、インスタント(I)ダンジョン(D)扱いっぽいから、固定なのかもね。


 それはそれとしてね、警備が厳重なお城なのか、門が3つもあってびっくりしちゃった。

 それにね、それぞれの門に円盤が掛かってて、「ふさわしからざる者はここを去れ」って書かれてたの。

 呼んでおいて去れってどういうこと?

 結婚式への招待客以外お断りってことかな?

 あたし達が通してもらう時も、結婚式への招待状を見せなきゃだったしね。


 門を抜けた先で、あたし達の前に男の子がやってきた。表記は侍童じどうってなってる。


「侍童は貴人の世話をする側使えの少年のことぉ」


 腐ちゃんがこっそり教えてくれた。


「男じゃなくて少女のメイドさんよこしてくれよぉ」


 男泣きしている空さんは放置でいいと思う。

 そんなあたし達に侍童くんが会釈した。


「ようこそいらっしゃいましたお客人様。これより夕食会になりますので、大広間へ案内いたします。こちらへどうぞ」


 侍童くんについて行くとすぐに大広間についたよ。

 そこにはすでにたくさんの人(NPC)がいて、ぺちゃくちゃ喋ってる。

 ご飯は残念ながらどこにも見受けられない。

 ご飯は、お肉はどこですか? 今から準備されるのかなぁ。


「つか、この部屋の連中の会話、聞いてると微妙に腹立ってくるな」


 機嫌悪そうにお姉ちゃんが眉根を寄せる。

 腹立ってくるようなこと話してるんだ? なになに?


 ……。


 なんかね、みんなね、尊大な態度でね、自分がどれだけ素晴らしい活躍をしてきたか、とか、そんな自慢話ばっかりがやり取りされてるよ。

 やな感じ~。


「あんまり聞いてて楽しくないから、ご飯の時間になるまであたし隅っこにいるね」

「私も行こう」

「私もぉ」


 ひとりで隅にいようと思っていたのにみんなついてきて、結局、あたし達一行は、隅っこで休憩から、この日のクエストが始まったわけです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i396991
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ