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21 空さんinto穴

 さてさて、サン=ジェルマンさんのクエスト攻略の続きをやろうということになったあたし達。

 前回と同じようにワープポイントに入ろうとしたら、前回と違う現象が起きた。



 第1フィールドをクリアしたことにより、スタートフィールドの選択が解放されました。

 どこから始めますか?


 第1フィールド〈背徳者達の遊戯場〉

 第2フィールド〈怪人達のゆりかご〉



 こんな感じで選択が出てきてるの。

 あのフィールドって名前あったんだね。ていうか、第2フィールドの名前ェ……。


「第2フィールドに飛べばいいんだろうけど、そこはかとなくデジャヴというか悪寒が」


 と、お姉ちゃん。


「俺も」

「あたしも」


 空さんとあたしはうなずいた。

 だってさ、怪人っていったら、やっぱりアレでしょ? ショッ○ー。

 狼獣人で始めるためのクエで嫌というほど絡んだから、もちろん覚えてる。


「そういえば、俺とこはるちゃんの出会いは悪の秘密基地でだったね。……。ハッ! これは、俺達の関係がさらに深まるためのイベントフィールドということか! 行かねばならぬ、たとえ死すとも!!」


 チェストォオオ!

 雄叫びをあげて空さんは消えていった。第2フィールドに入ったんだろうね。


「動機が不純ですけれど、これなら、向こうが敵だらけでも空が引きつけておいてくれますわね」

「あいつたまに便利だよな」

「空の犠牲を無駄にしないためにもレッツらゴぉ」


 何気に酷いことを言いながら姫様達も消える。置いていかれたらたまらないから、あたしも第2フィールドに飛んだ。




 飛んだ先の第2フィールドは、はたして怪人製造工場だった!

 なんでわかったのかって?

 だってほら。


「工場見学の方はそちらで準備をしてくださいね〜。用意が整ったらお声をかけてください」


 受付嬢っぽいオネーさんがそう言ってるし。

 壁にデカデカと「ようこそ、怪人製造工場へ!」って書かれてるし。

 工場見学順路なんていう看板まであるし。

 これ、工場見学終わったらお土産まで貰えそうな雰囲気なんだけど?

 コア・コーラの工場見学に行ったらジュース飲み放題だったし……。ここでは、怪人の縫いぐるみでももらえるのかな?


 そんなふうに思っちゃうほど、このフィールドに禍々しさは無い。どこからどう見ても普通の工場。しかも新しくて綺麗目。


「調子狂うな。まぁいいや。全員準備はできてるな?」


 お姉ちゃんが訊ねてきた。その場にいた全員からokの声が返る。


「よし。じゃ、オネーさん、工場見学させて欲しいんだけど?」

「かしこまりました。それでは5名様ご案内」


 受付嬢さんの手に、添乗員さんがよく持っている旗が現れる。順路と書かれている矢印の先にあるドアがシャっと開いた。

 受付嬢、もとい、案内員さんが旗を持って誘導するようにドアの先に進んだから、あたし達もついていく。


「左手をご覧ください。ここでは怪人の原料が搬入されています」


 ガラスの向こうでは、第1フィールドの雑魚達が檻にぎゅうぎゅう詰めにされて運ばれてきたところだった。

 檻の下の地面にぱかっと穴があく。檻の下部もぱかっとひらいて、よくわからない叫びをあげながら雑魚達は穴に消えていった。

 いくつかの檻の中身が放り込まれたら、何事も無かったように穴は消える。


「原料ってことはあれか? 実はあの穴の底はミキサーになってて、ぐしゃーぐしゃーとミンチにされて再構ち――」

「エグいこと言わないでよおお!!」


 うっかり光景を想像してしまったあたしは、空さんをぐーぱんした。

 勢いよくぶっ飛んだ空さんは、ガラスを破って原料搬入口まで転がる。

 新たな原料と勘違いされたのか地面に口が開いて、「あ〜れ〜」と野太い叫び声を残して空さん落下。

 搬入口の穴がまた閉じた。


「……」


 残った女性陣(?)の間に漂う沈黙。


「ま、死んでもリポップするだけだから気にせんでいいだろう」

「だねぇ」

「すぐに泡になってこないあたり、ミキサーじゃないのかもしれませんわね」


 どうという事なく言ってあたし達は工場見学に戻った。

 いやだって。しょせんゲームだし? 死んでもちょっとデスペナくらうくらいだし?

 ちょっと死ぬくらい気にしない気にしない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ……………………。 こんなんフラグですやん……っ!(笑)
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