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期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
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141 夢は戦隊のペット

 サン=ジェルマンさんのIDへのワープポイントにアクセスしたあたしは、とりあえず第1フィールドを選択する。

 え?

 クエスト受けなくてもいいのかって?


 このID、入るだけならクエストいらないんだ。

 ただ、クエがないとボスがいないから、ボス戦したかったりクエクリアで貰えるアイテムが欲しいならクエ受けてねってだけで。


 今のあたしはひたすらに雑魚モンスターと戦いたいだけだから、クエ受注は必要なし。

 この状態だと、クエを発行してくれるサン=ジェルマンさんとも話せないしね。

 お話するには姿を見せないといけないみたいだから。

 あたしのオレンジネームがバレちゃう。


 さて、サン=ジェルマンさんのID第1フィールドに放り出されたあたしは、空中にいる間にジェヴォーダンに変身。

 眼下に広がるモンスターの海を眺めた。

 いきなり〈捕食〉できるモンスターが数種類いるね。

 駄目なのでも、何発か殴れば〈捕食〉できるかも。


 とりあえず、いきなり〈捕食〉できるものだけ食べながら安全地帯を目指そうかな。

 しばらく回復アイテムは垂れ流しで。


 ではでは、あたし、いっきま~~~す!



 ◉◉◉



 1人でIDにこもって〈捕食〉しまくりっていうのは意外と楽しくて。

 ゲームにログインするたびにサン=ジェルマンさんのIDに1人でこもることが続いたよ。


 そんな事を続けてひと月――


「わんこ、最近そのIDにこもりきりらしいじゃないですの。何か楽しいことでも見つけましたの?」


 今日も今日とてIDこもりしようとしていたあたしに姫様が話しかけてきた。


「うん? 特に何もないよ。なんで?」

「ないことはないでしょう? だって、楽しいことを見つけたわけでもないのに同じIDにこもり続けるだなんて、なんか変ですもの」

「そうなの?」

「そうですわ」

「ああ、でも、最近辻PKが発生しているらしいでござるから、IDの中で遊ぶ方が安全ではあるかもしれぬでござるな。PKを気にしながら動くのは、地味に精神的に疲れるでござるし」

「辻PKなんてしてる人いるんだ?」

「らしいでござるよ。小耳にはさんだ噂でござるが。拙者に襲いかかってきたら、即刻返り討ちにしてやるのに」


 タマさんが体の前で腕を組んだ。

 一般人がタマさんなんて襲った日には、本当に返り討ちにされそう。というか、タマさんが勝つまで延々と勝負させられそう。

 ていうか、そんな噂流れてるんだ?


「ぶっそうだね~」

「こはるは注意力散漫な上にお花畑傾向があるからな。PKして回ってるアホがボコられて止めるまで、そこで遊んでる方が安全だと思うぞ」

「本当に頭から花はえたら面白いのにね」

「そう返してくるとは思ってなかった」


 口で、お姉ちゃんにびくとりー。

 あたしは軽くブイして、思いついたことがあったからサン=ジェルマンさんの所に行く。

 クエストを貰った。

 これでボスとも戦えるね。つまるところ、食えるね。


「クエスト受注しましたの? では、わたくし達も受けなくてはなりませんわね」


 姫様がサン=ジェルマンさんの方に来ようとする。

 というか、今ハウスにいるお姉ちゃんとタマさんまで動こうとしてるんだけど。

 あたしは慌てて体全体でわーってした。


「ストップストップ! これ、あたし1人で行くやつだから! みんなもこのクエやりたかったら別口で行ってね!」

「はぁん? 何言ってるんだこはる? これどう頑張っても1人じゃどうしようもないクエだろ」

「それでもなんだって! あたしは1人で行くの」

「怪しいですわ」

「怪しいでござるな」

「おまえ何たくらんでるんだ」


 姫様、タマさん、お姉ちゃんがあたしに詰め寄ってくる。

 うはぁあ、圧が凄い。

 でもまだ言えないの、ごめんね!


 3人の隙間から逃げたあたしは一目散にサン=ジェルマンさんのIDに避難した。

 実はね、ここひと月モンスターを〈捕食〉しまくってたらだいぶ強くなれたから、そろそろボス相手でもなんとかなるかな~って。

 最終的にはサン=ジェルマンさんのお供の大天使さんとサン=ジェルマンさんも食べたいよね。

 よーし、しばらく頑張るぞ。


 めざせ、戦隊ものにつきものの巨大怪獣!

 がおーん。



 ◉◉◉



 ログインするたびに、ギルメンのみんなからあたしの行動が怪しいと追及を受ける日々。

 追及から逃げながらソロでのボス攻略にチャレンジし続けるあたし。

 あ、でも、気分的にはソロじゃないかな。

 あたしには相棒のジェヴォさんがいるから。


 一緒に活動する時間が長くなったからか、ジェヴォーダンに変身していなくてもジェヴォさんとお喋りできるようにまでなっちゃったよ。


(共にした活動時間の長さゆえではないぞ。ヌシが我の力を深い部分まで使いこなしてきている証拠だ。ヌシと我の意識の境がだいぶ無くなってきたこと、感じているのではないか?)


 あたしとジェヴォさんの意識の境?

 うーん?

 なんかよくわかんない。

 お互いの考え方とかがわかって、なんでも言い合える仲になってきたってとればいい?


(好きにとればよい。ヌシがどう理解しようと事実は動かぬ)

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i396991
― 新着の感想 ―
[良い点] 残り10話を切ったところに来て、主人公の特別感が出てきましたね〜(笑)。 ソロ強化めっちゃ楽しそう! 私もモンハンでソロやりたいときは(4G)、オンライン通知オフにしてシコシコ練習してまし…
[一言] あんまり怪しいソロプレイしてると、そろそろメンバーから本格的に尋問されそうな…… そしてどんどん侵食してきてるツンデレ意思もどうなることやら
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