表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
138/149

138 力、手懐けました

 20人ほど残っている守備隊さんの部隊にあたしは突っ込む。


「ぐ、化け物か!」

「ひるむな、行くぞ!」


 あたしの突然の出現にかなり動揺したっぽい守備隊さん達だけど、立ち直りがそこそこ早い。

 けど、乗ってるお馬さんはパニックで言うことをきかないみたいだね。

 その間にあたしは守備隊さんを〈捕食〉させてもらうよ。



 ――ロゼール地方にてジェヴォーダンの獣が確認されました。



 あ、ワールドアナウンスが流れた。

 やっぱり、NPCか冒険者か、狩る側に存在がハッキリ認識された時にワールドアナウンスされるんだね。

 んまぁ、この情報はすでに流されてるから、あたしにはノーダメージ。

 次の敵が来る前に、この人達を全員取り込んでどこかに逃げてやるもん。


 ガウガウガウガウ、ぱっくんちょ。


 守備隊さん全員をおいしくいただいてあたしはその場を離脱した。

 とりあえず、安心して休憩できる隠れ場所を見つけないとだよね。

 ベタに洞窟を探すべき?


 なんて感じで森を走っている間にあたしはふと気付いた。

 この姿になりたての時より、微妙に目線の位置が上がってる気がする。


(気付いたか。力を取り込んだことで体が少しだけ大きくなったぞ。力が強くなるほど体は大きくなる)


 そうなんだ?

 それって、〈捕食〉を続けて大きくなりすぎたら、森から頭が飛び出たりとかまでなるの?


(そこまでなった個体を我は見たことはないが。理論的には可能だな)


 へぇ。

 夢があるね。

 でも、寝床とかで困りそうだね。体を隠せる場所がなくなるから。


(それは問題ない。体の大きさ、大きくなる方に関しては力を取り込むしかないが、小さくなる方に関しては、子狼の大きさにであればいつでもなれる)


 は? そうなの? 今でも?


(無論だ。スキル欄にあるであろう。〈最小化〉と。ヌシ、スキルの確認をもうちょっとした方がいいんではないか?)


 ほんとにあるし、〈最小化〉。

 てか、こんな便利スキルあるなら先に教えておいてよ!

 牛より大きな体をうまく隠せる場所が無かったから、隠れ場所を探すのに苦労してたのに!


 ぽむっ!


 〈最小化〉したあたしは無事子狼大に変化。

 トトトと、茂みの下に入り込む。

 これなら人からはそうそう見つからないよね。

 動物型モンスターに見つかったら〈捕食〉しよう。


 ねぇジェヴォさん。

 体をおっきく育てられるんなら、あたし、夢があるんだけど。


(ほう?)


 20mくらいの大型獣になってさ、頭に仲間を乗せてどしーんどしーん、みたいな。

 本当は戦隊としては巨大ロボが欲しいんだけど、妥協して巨大怪獣でもいっかな、みたいな。


(ならばひたすらに食らえばよかろう。強き者を食らえば、それだけ大きくなりやすいぞ)


 え? そうなの?

 強い人やモンスターを食べれば早く大きくなれるの?


(〈最大化〉できる大きさが強さのバロメーターのようなものだからな。強き者を食らえばそれだけ強い力を取り込める。強い力を得た分だけ大きくなれる。それだけのことだ)


 ふむふむ。

 ある意味とってもシンプルだね。

 強いモンスターに強い人ねぇ――。


 あたしの頭にぼんやりとした考えが浮かぶ。

 あー。

 これは、いけそうな、いけなさそうな。

 倫理的にやっぱ駄目かな?

 いやいや、でも、いけそうな気もするんだよね~。


(ヌシ、何を考えている?)


 ん~?

 手っ取り早く大きくなる方法を考え中だよ。


(ほう。その感じだと、何か案を思いついているな。とりあえず聞かせてみろ)


 うんそうだね。

 ちょっと相談にのってよ。ごにょごにょ。


(ほう。それは中々に賢い気がするが。しかしヌシ、それでいいのか?)


 うん。


(では、ここをこうするのはどうであろうか? ごにょがごにょでごにょごにょ)


 うわー!

 それ頭いいね。うんうん。それ採用。




 そんなこんなで意気投合したあたしとジェヴォーダンの意思さん(通称ジェヴォさん)。

 作戦の第一段階として、あたしは人型に戻ることになりました。


 ジェヴォさんのお力添えがあるからね。

 そりゃもう簡単に戻れるわけですよ。



【ジェヴォーダンの獣】クリア

 変身スキル〈ジェヴォーダン〉を入手。



 おぉ、クエストクリアになった。

 というか、クエスト中だったこと忘れてたよ。

 今のあたしにとって、クエストは結構どうでもいいっていうか。


 あ、そういえば、人型でもジェヴォさんとのお話はできるのかな?

 ジェヴォさーん。

 ツンデレジェヴォさんおりませんか~!


 呼んでしばらく待ってみたけれど、返事がない。

 やっぱりジェヴォーダンの形態に変身してる時限定のお話相手なのかな。

 ちょっと寂しい。


 まぁいいや。

 やることは2人(?)でしっかり話し合ったから、あとは実行に移すだけ。

 とりあえずは強い人と強いモンスターがいっぱいいる場所に移動しなきゃね。


 目指すはギルドハウス。

 大丈夫。

 世界は繋がってる。


『ねぇ、ロゼール地方っていう所に急に飛ばされたんだけど、始まりの街に帰るにはどうしたらいいの~?』


 ギルチャも繋がってる。


『なんだいこはるちゃん。まさか、ワールドクエストに参加してたとか?』

『こはるちゃん~、抜け駆けぇ。行くなら私も誘ってよぉ』

『ありゃりゃ。ごめんね。クエのこと何も考えてなかったんだけど、トラップ踏んだみたいで飛ばされちゃって。ねぇそれより、ギルドハウスへの帰り方』

『ああ、そうね。帰ってきて俺の顔を見れないと寂しいよね。あのね、マップの右下の方に――』


 空さん腐ちゃんあんがと!

 ハウスへの帰り方はわかったよ。

 持つべきものは友達だよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i396991
― 新着の感想 ―
[良い点] 戻れない方のフラグかと思ってたら、存外アッサリ人に戻れてしまった。(笑)
[一言] 強い人って……すぐそばに何人もいるけど……やっちゃう?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ