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期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
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124 城の本気

 きたよ!

 やっぱりあったよクエストの続き!


 わーいと喜びたいところなんだけど、ジャンヌさんが沈痛な表情をしているから自重。心の中だけで喜ぶにとどめておく。


「それでどうするぅ? クエぇ、すぐに行くぅ?」

「拙者、今日は切り良くここで終わるでござる。明日も仕事ゆえ」

「あたしもかな~。このクエ、発行されたらすぐにやらないといけないっていうタイプのクエじゃないようだし」


 それに、心配事も1つ。


「これさ、討伐クエじゃん? 敵対していた時のジャンヌさんがLv150で、その彼女がいるの前提のクエ設計になってるっぽいってことは、ジルさんのレベルも150なんじゃない? しっかり回復できる人が必要な気がするよ」

「あぁ~。言われてみればそうだねぇ。ジャンヌちゃんの時ぃ、外から回復貰ってたもんねぇ」

「久しぶりの新クエでござる。他の連中もやりたいと言うと思うでござるよ。個人クエでなくギルクエでござるし」

「それじゃぁ、掲示板にぃ、クエストに参加するかぁ、行くならいつがいいのかぁって書いておけばいいんじゃないぃ?」


 腐ちゃんがトトトと走っていって、ホワイトボードを持って戻ってきた。

 これ、ギルドハウスの入口の所に設置されているギルド掲示板なんだ。

 IN時間、みんな同じとは限らないからね。

 他の人にもお知らせしたいことがある時なんかは、みんなこれに書き書きしてる。連絡帳ってやつだね!


 腐ちゃんの持ってきてくれたホワイトボードに、クエストが発行されたことと、行きたい人はいつがいいのか教えてって書きこむ。

 あ、あたしがいない日に他の人だけでクリアしちゃったとか無しなんで!

 そんなことされたら1年怨むからね!


 よし、書き終わった。

 あとやっておく仕事は、使わなかった回復薬をギルド倉庫に投げ込むことかな。

 倉庫に行って、インベントリからアイテムを取り出してぽいぽいぽいぽい。

 そんなあたしの頭を誰かが後ろから思いっきりひっぱたいた。


「ちょっと犬ころ! 整頓するって気はないわけ!?」


 あ、倉庫管理のオカマさんだ。

 あたしが倉庫を散らかす予感でもして様子見に来たのかな? 正解だよ!


「だって、倉庫管理はサン=ジェルマンさんがいるし~。片付けよろしくね~」


 ブツを出すだけ出してあたしは逃げた。


「NPC使いが荒いのよアンタ達! ちょっと聞いてんの!?」


 うわ~。

 倉庫の外までがなり声が聞こえてくるよ。

 いつものことだから、誰も気にしてないけど!



 ◉◉◉



 予想どおり、ジルさん討伐には全員で行きたいってことになったよ。

 みんながそれなりに時間が取れる日を選んで、ティフォージュ城に出発。

 お城まで、ジャンヌさんの居場所はあたしの頭の上。

 お城についたら激戦が待ってるかもしれないんだけどさ、現状のどかな田舎を散歩してるだけの状況でして。

 気分はピクニック。


 そうして辿りついたティフォージュ城。

 見た感じ、この前あたしと腐ちゃんとタマさんで来た時から何も変わっていない。


「お邪魔しま~す」


 なんとなく挨拶して、あたし達は城門をくぐった。

 城内は、なーんか空気が張り詰めているような。


「ガウァッ!」


 え、犬っぽい鳴き声?

 思う間もなく、あたしの頭の真上にドーベルマンみたいな犬さんが飛び出してきてる。

 あわわわ、このままだとジャンヌさん(猫型)が犬の牙に傷つけられちゃうよ!


 避ければ良かったんだろうけど、あたしはとっさに腕を上に上げて、ジャンヌさんを犬から守った。

 ガブリと腕をいかれたけど、1撃死しなければ姫様が回復してくれるし! いや、死んでも蘇生してもらえるんだけどさ。


「無人な上に敵もいないんじゃなかったのかよ? って、まぁ、こんなもんだよな~。こっち来いや犬!」


 ドーベルマンのタゲは空さんがすぐに回収してくれる。


「クエストが変わって、フィールドの状況も変わったようでござるな。しかし、こうでなければ面白くない」


 楽しそうにタマさんが刀を抜いた。

 そうして、空さんが回収したドーベルマンを斬りつける。


「ていうか、不意打ち万歳な作りの城だな。シャンデリアの上や柱の影、カーテンの裏に犬がワラワラいるぞ、気を付けろ!」


 お姉ちゃんが指摘するのと、あっちこっちの影から犬さんが襲い掛かってくるのとどっちが早かったのか。

 ガウガウ吠えながら犬さんが降ってきた。

 空さんが〈タウント〉を発動。

 あたり一帯の敵のタゲをかっさらってまとめる。

 そこに腐ちゃんの攻撃魔法がさく裂。

 爆発や氷系魔法中心なのは、火事にならないようにの配慮かな。

 布製品多いもんね、ここ。


「同じ場所から同じ犬がずっと出てきてますわね。無限湧きっぽいですわよ、ここ。さっさと通り過ぎた方がよいと思いますわ」

「移動するって、どこに行けばいいわけ?」

「こはる達、この前ここに来たんだろ? どこか怪しい場所とかなかったのか?」


 怪しい場所?

 怪しい場所といえば、城中のあっちこっちに怪しい場所はありましたけど。

 どこから言えばいいのかな、なんて考えてるうちに、幽霊みたいな敵も出てきた。


「この幽霊ぃ、地下にいた男の子たちに似てるねぇ」

「顔まで覚えてるのでござるか」

「たっぷり堪能させてもらったからねぇ」


 うふふっと思い出し笑いをしながら腐ちゃんが攻撃魔法を撒き散らす。

 って、悪魔系っぽい敵も出てきたし。

 数多いし、むしろ圧殺されそうだし。

 あたしと腐ちゃんとタマさんだけじゃぜったい対応しきれなかったよこれ。

 フルPTで来てよかったー!

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i396991
― 新着の感想 ―
[良い点] 普段だとナナオや空が目立ってますが、ここに来て腐ちゃんの異常性が……じゃなかった、彼女が水を得た魚のように生き生きして、なによりでございます(笑)
[一言] さすがにこれはフルメンバーじゃないと無理! ジルさん、お城に戻ってきてるのかな?
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