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期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
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122 ティフォージュ城探索

 地下に下りて、いちばん広い廊下を真っすぐ行った先にある部屋。

 とりあえずそこに突撃してみたあたし達は言葉を失った。


 入口真正面の壁には真っ赤なタペストリーがかかっていて、それに刺繍されている? 円の中に五芒星が描かれてるの。

 その五芒星の真ん中に真っ黒なヤギさんみたいな頭があるって、これ、あれじゃない?

 悪魔崇拝ってやつ?

 黒ヤギ頭の悪魔さんの全身像まであるなんて、本格的だよね。


 お約束的にさ、部屋の中は暗めで黒い家具多目で、使ってる布製品は赤多めで。

 ゴテゴテろうそくが置かれててさ。

 あ、鎖もある。

 腐ちゃん、なんで鎖を手にとってうっとりしてるの?


「いいねぇこの部屋ぁ。空と姫用にぃ、お土産にちょっと貰ってこぉ」


 SMプレイ用ですね。わかります。

 リビングでは使わないように制限をつけてあげてね、それ。


「この部屋なんにも無いっぽいね~。隣の部屋いく?」

「そうでござるな。とりあえず、こっちの部屋を覗いてみるでござるか」


 大人のおもちゃ収集に夢中になっている腐ちゃんを放置して、あたしとタマさんは、この部屋から続く隣の部屋のドアを開けた。

 中をちょっとだけ見て、すぐにドアを閉める。


「タマさん。この城、真っ黒だね」

「そうでござるな。この城の主がジャンヌ殿の知り合いというのは間違いであろう。きっと、城が同じ名前をしているだけでござる」

「なになにぃ? そっちの部屋はどうだったのぉ?」


 ほくほく顔の腐ちゃんがあたしとタマさんの側に来る。

 どうぞ、と、あたしとタマさんはドアの前を譲った。

 腐ちゃんが隣の部屋を覗いて、嬌声をあげながら部屋の中に突進していく。


「この城の主は、腐殿と同じ趣味の持ち主なのであろうか」

「プラス、残虐性が高そうだけどね」


 あたしは、ちらっと見た隣の部屋の様子を思い出した。

 部屋の中にはね、男の子たちがいっぱい転がっていたよ。

 みんな死んでるっぽかったけど。

 見るも無残な死に方をしてる子ばっかりだったから、ちょっと言葉にはしたくないかな。


 男の子×男の子の組み合わせであれば、シチュエーションはどうでもいいんですか腐ちゃん。

 今までにない嬌声のあげっぷりですね。


「腐ちゃ~ん。お楽しみのついでに、その部屋調べるのよろしくね~」

「任せてぇ。隅々まで堪能しt――調べてくるからぁ!」

「拙者たちは他の部屋を調べるでござるか。モンスターの気配はしないので、腐殿1人別行動でも大丈夫でござろう」

「さんせーい」


 あたしとタマさんは、神官さんを探しにお城の探索を再開。

 そしたらねぇ、なんか凄いの。

 ほとんどの部屋は、資産持ちだけど質実剛健なんですねって感じの作りで、たまにド派手で豪華な部屋があるくらいなんだけど。


 あってしまったよ。

 怪しい実験をしてる部屋みたいなの。

 これなんていうの?

 中世とかの感覚だと、錬金術の研究っていうの?

 あたし達の扱う錬金は錬金釜に材料ぽーい混ぜ混ぜで終わるものだけど、このお城には、理科の実験で使う器具っぽいのがゴロゴロしてる。


 あとね、神様の祭壇っぽい部屋もあったんだけど、像が壊れたり荒されたりしてるしさ。


 よくわかんないんだけど、アフリカかアマゾンあたりでやってそうな儀式をしたような跡のある部屋もあったよ。


 ジルさんってば、現代日本人みたいにいくつもの宗教を都合よく楽しむ系?

 いやてか、このゲームって宗教決まってるの?


「そこら辺に突っ込んではいけぬでござるよこはる殿。沼にはまる」


 あ。そうですか。宗教系は見なかったことで。


 一通り城中を見て回って、玄関ホールに戻ってきた時、タマさんがため息をついた。


「こはる殿が街のご婦人から聞いていた失踪した子供たち。十中八九、腐殿に堪能されている彼らであろうな」

「恐ろしいことです。こんな、神を恐れぬ背徳者が城主をしているなど」


 ガタガタ震えながら神官さんが言う。

 あ、神官さんね、いたんだ。

 客室っぽい部屋に軟禁されてた。

 ご飯とか、今朝まで普通に出てきてたらしいよ。


 なのに、あたし達が城中を見て回っても誰もいないの。

 でもこれゲームだしね。

 あたし達が城門突破した時点で、NPCの人達は消えたのかもしれないね。

 運営さんのご都合が第一らしいから。


「今は、とりあえず帰るしかないでござるかね? クエストガイドも、神官を神殿に連れ帰れと指示してきているでござるし」

「そうだね~」


 困った時は流されるに限ります。

 ゲームの中であたしはずっとそのスタンスでやってきたけど、大丈夫だったから、今回もきっと大丈夫。


『腐殿帰るでござるよ。それとも、後で1人で帰ってくるでござるか?』

『あぁあ。一緒に帰るよぉ。何事も腹八分くらいがいいって言うしぃ』


 あたしとタマさんが城を探索している間中あの部屋にこもってたのに、まだ腹八分なんすか。

 腐女子恐るべし。


 それにしても、ジルさんいなかったな~。

 お出かけしてたのか、それとも、この城とは関係ない人なのか。

 なんかスッキリしない感じ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 少年も錬金術も史実通り。この城の主は本当にあのジルさん? もしそうだとしたら、ジャンヌどうするんだろ?
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