表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
120/149

120 神殿の問題教えてください

 西のティフォージュ城と始まりの街の神殿がもめていると聞いたものだから。

 やってきました、始まりの街の神殿!


 って言っても、神殿の雰囲気は、表向きいつもと変わらない感じ。

 街の人達がパラパラいて、神官さん達ものーんびりしてるような、厳かな空気を発してるような、ぴりっとしてるような。


 神殿のどこかに、西のお城とのいざこざ担当の神官さんとかいるのかな?

 微妙にジャンヌさんが絡んでるっぽいから、とりあえず、彼女がワールドクエストの時に捕えられてた地下牢から行ってみよー。


 とんとんと階段を下りて地下牢に到着。

 散策。

 結論、ハズレ。

 むしろ誰もいない!


 それじゃぁ、神殿の地上部分の奥の方にキーパーソンがいるのかな?

 あたし、神殿の奥って入ったことないんだよね。

 だって、なんか、部外者なのに入ったら怒られそうじゃない?


 怒られるかな~?

 でも、そんなこと言ってたら進まないし。

 怒られるのも覚悟でお邪魔します。

 抜き足差し足忍び足……だとぜんぜん前に進めないから、開き直って普通に歩くよ。


 神官さーん!

 西のお城ともめてる神官さんはいませんかー!


 面倒だから大声で呼びかけたかったんだけど、さすがにそれは怒られる予感が100%。

 すれ違う神官さんに話しかけて、どんな役割の人かそれとなく聞きながら進む。

 あたしはお姉ちゃんとは違うので、暴力で解決なんてしないのです。


 神殿の奥に勝手に入っちゃったけど、意外と怒られないものなんだね。

 ていうか、あたし以外にもプレイヤーキャラっぽい人いるし。

 きょろきょろしてるから初心者さんかな?

 初心者の頃ってどこもかしこも見なれない場所だから、ともかく探索しまくるものだよね。


 ……あたしはお姉ちゃんに連れ回されたりしたせいで、新鮮な気持ちでの探索っていう機会を失った気がするけど。


 なんて考え事をしながら歩いていたら、中からコツコツコツコツ荒めの靴音がする部屋があった。

 そーっと中を覗いてみると、神官さんが1人、難しい顔で部屋の中をウロウロしてる。

 穏やかな雰囲気をしている神官さんが多い中で、これって、たぶん、あの問題を抱えている人だよね?


 でも、ウロウロしている人がちょっと怖い。

 しかしそれでは事態が進まない。


「あの~」


 あたしはおずおずと声をかけた。


「なんだ!?」

「ひゃぁっ!」


 予想通りといえば予想通りなんだけど、予想より強めな反応が返ってきたものだから、驚いてごめんなさい。


「あ。一般の方でしたか。これは失礼を」


 神官さんが申し訳なさそうに対応してくれる。

 いえいえ、あたしこそすみません。

 ぺこりと頭をさげて、しれっと部屋の中に入る。


「お悩みのようでしたけど、何か問題でも?」


 いけいけゴーゴー。直球でおうかがいだよ!


「特に何もありませんよ?」

「西の城ともめてるって街で小耳にはさんだんですけど」

「ああ。街にまで話が漏れてしまっていましたか。お恥ずかしいことです」


 渋い顔になった神官さんが右手を顔に置いた。


「じゃあやっぱり西のお城ともめてるんですね?」

「恥ずかしながら。困ったものですね」


 この受け答えは、うやむやにされて詳しい話を聞けないパターンのような。

 頑張れあたし!

 お姉ちゃんになったつもりで強気で切り返せばなんとかなる!? と、いいなぁ。


「実はあたし、西のお城に知り合いがいるんです。ひょっとしたら、神官様のお悩み事の解決のお手伝いができるかもしれません」


 ジルさんが西のお城の住人かは確定していないけど。

 大丈夫。

 交渉の時はハッタリも必要だってお姉ちゃんが言ってた気がする。


「西の城にお知り合いが?」

「ええまぁ。お城の中でもそれなりに偉い人なんですけど」


 偉いどころか、ティフォージュ城がジルさんのお城だったら城主様なんだけど。


「そうですか。実は、私が西の城と話し合いをしようにも、どうにも喧嘩になってしまいまして。あなたのように、利害に直接関係しない方を間に挟む方がいいのかもしれませんね。話を聞いていただけますか?」


 神官さんが部屋に設えられている椅子をあたしに勧めてきた。

 これは、落ち着いてお話しましょうということですね。

 やった~。

 事件を先に進めるための情報を得られそうな感じ。


 あたしはひょこんと椅子に座った。

 神官さんは、あたしの分と自分の水を水差しからコップに注いで持ってきてくれる。

 ありがとうございます。


「さて、何からお話すればよいでしょうか。……そうですね、いさかいの原因からお話しましょうか」


 ぽつりぽつりと神官さんがお話を始めた。

 なんでも、西のお城の周囲にある林の中に、所有権をお城と神殿の両方が主張している場所があるんだって。


「ところが、所有権を2者が主張していることを我々は知りませんでした。なので、何も考えずに、その地の木を伐採に行ったのです」

「そうしたら西のお城の人に怒られて、所有権がブッキングしてるのに気付いた、とか?」

「そうなのです。それから何度もティフォージュと話し合いをしたのですが平行線のままで。ついには、城まで話し合いに行った神官が2週間も戻ってきていないという状態になっています。せめて、彼を帰して欲しいのですが」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i396991
― 新着の感想 ―
[一言] ジャンヌのクエスト以前は神殿しかなかったから問題なかったのかな? ジルさんのお城から帰ってこない使者、今はどうしてるんだろ?子供たちはなんでいなくなってるんだろう?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ