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期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
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118 空さんが作られる過程

 始まりの街の西門で姫様と合流。

 この街の西にあるっていうティフォージュ城を探しにでかけたよ。


「それで、その城。街の西にあるという情報以外に何か情報ありませんの?」

「何かって?」

「街からどれくらい離れた場所にあるとか、丘の上にあるとか、川沿いにあるとか、どういう見た目だとか」


 街からの距離に城の立地に見た目ですか?

 ……。

 おばさん、そこら辺は何も言ってなかったよーな。


「あたしにタックルして、西のお城~ってのだけ言ってどこか行った気がするよ」

「どこかに行ったのであれば、そのNPCはその情報だけしか持ってなかったのでしょうね。街を探せば他の情報を持っているNPCもいたかもしれませんけれど。いまさらですかしら」


 あー。そっかぁ。

 複数人のNPCから情報を集めるっていう可能性もあったんだぁ。

 あたしが受けてきたクエストって1人のNPCからスタートできるものしかなかったから、そこまで考えが回らなかったなぁ。


「まぁ、子供が遊びに行ける程度の場所ですから、街からそう離れてはいないのでしょうね。どうしても城が見つけられなかったら、その時にまた考えましょう」

「は~い」


 ヒントが少ないせいで城の正確な場所はわからない。

 けれど、今のあたし達は競争をしているわけじゃないし、差し迫ってやらないといけないことがあるわけでもないから、気分はのんびり。


 お喋りがメインで、ついでで城探ししてるみたいな感じ。

 景色がいいからって川沿いを歩いていたら、丘になっている所に薄く樹が生えていて、ゴツイ建物も見える場所を見つけた。


「あれかなぁ?」

「wikiに載ってるマップですと、そこ、ただの丘ですわね」


 タブレット片手の姫様は、画面と景色を見比べている。


「じゃあきっとこれだね」


 すんなり見つかってくれてよかった。

 いくら探すのを急いでいないとはいっても、ずっと見つからないとなんか嫌なんだもん。


「それで、帰ってこない子供たちは、この辺に遊びに行くと言っていたのでしたかしら?」


 そうそう、そんな言ってたよ。

 なので、あたし達はお城の周りをぐるーりと歩いてみる。


 けど、影も形もない子供たち。


「いませんわよ」

「いないね」

「イベントに関連しそうなアイテムも落ちてませんでしたし」

「城に保護されてるのかな~? 童話とかでもさ、お菓子と遊び道具に釣られて帰らない子供たちっていなかったっけ?」

「よくあるパターンですわね。城に行ってみましょう」


 たのもー!

 それがし達は、子供たちを探しにきた通りすがりなりー!


 城門を見つけて、そこにいた兵士さんに言ったら、


「子供などおらぬ。用が無い者を城にいれられるか」


 あっけなく追い返されました。

 クエストも貰えていない。


「正規の入口が駄目なら、横から入ればいいじゃない」


 なにせあたしは獣人。城壁を登るくらい朝飯前ですよ。

 と、あたしはバイタリティを見せてみた。


 なのに、外壁を登り切るところに見えない壁が。壁が。壁が!

 ふぉおおお!

 どんだけ突進したりパンチしても突破できない!

 おのれ見えない壁!


「諦めなさいわんこ。システムの前ではわたくし達は無力でしてよ」


 あたしの首に紐状の何かが巻きついて、下方向に思いっきり引っ張られた。

 もちろんあたしは外壁から落下。

 姫様の足元の地面に豪快に激突した。


 これ、姫様が鞭をあたしの首に巻きつけて、強引に引きずり落としたっていう流れでしょうか。

 落下ダメージ入ったんだけど、素知らぬ顔で姫様が回復してくれている。

 無慈悲なんですか優しいんですかひたすら効率房なんですか。

 よくわからなくて涙が出そうです。


「今まで無かった施設が出現したのですから、何かあるのは間違いないのでしょう。けれど、わたくし達がそれに係わるには条件不足のようでしてよ。出直しましょう」


 姫様が歩き出す。

 あ、ちょ。

 あたしの首に鞭が巻きついたままなんで、あたしがずるずる引きずられているんですけど。

 ぐぴぃい。

 首が締まって苦しっ。


 あたしは慌てて立ち上がって、引きずられないように姫様の前に出た。

 よし、鞭のしまりに余裕ができた。

 今なら解け……解けないし!?


 どうにかこうにか鞭を首から外そうとするあたしなんだけど、どういう仕掛けか鞭が解けない。

 うわ~ん!

 このままじゃリードに繋がれた犬の散歩みたいだから嫌なんだけどー!


「姫様、鞭解けないんだけどー!?」

「あらいやだ。わたくしとしたことが、空にしつけをしている時と同じ感覚でしたわ。ごめんなさいね」


 姫様がくいっと手首を動かすと、あたしの首に巻きついていた鞭がするりと解ける。

 その技術どうなってるんですか。

 いやいや。

 空さんのしつけで首に鞭をまくっていったい……。


 いやいいや。考えるのやめよう。

 簡単に想像できすぎた。


 空さんがあんなふうになった原因の1つに、姫様のしつけも関係してるんだろうね。

 繰り返ししつけされたら、あたしもあんななるんだろうか。


 ぶるるるるっ。


 体に震えが走った。

 空さんと同じ行動とらないように気をつけよ!

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i396991
― 新着の感想 ―
[一言] 空さんもとの素質もあったんだろうけど、あんな風に完堕ちさせられたのは姫様の調教のせいだったのかww
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