表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
期間限定種族を選んだらショッ○ーにされそうなんだけど? 嫌だから悪の組織乗っ取りますね  作者: 夕立
あたしとお貴族様と魔女の贈りもの。余所様にとってはきっと天災
113/149

113 正体不明の箱がありました

 大きなイベントが終わって、あたしはのんびり共通クエスト消化の生活に戻ったよ。

 みんなでやらないといけないことは特にないからね。


 低レベルのものから順次こなしていくだけだから、クエストはぽんぽこクリアされていく。

 半分惰性でクエストをこなしていたら、いつの間にか50台のクエをやるようになったの。


 50台になってすぐのクエが始まりの街にあるみたいだから、そのクエを拾うために街をぶらぶら。

 そうしたら、恰幅のいいおばさんに横からぶち当たられた。


「あらら、ごめんねぇ。考え事してたもんだから見えてなかったよ」


 おばさんNPCはそう言うけれど、あなた今思いっきりタックルしてきましたよね?

 意思を持ってあたしに突進なさってきましたよね?

 まぁいいけど。

 こういう時って、だいたいクエスト絡みの何かでしょ?


「いいえ気にしてませんから。それより、おばさんは何をそんなに考え込んでたんですか?」

「いやね。うちの子が昨日遊びに出てったっきり帰ってこないんだよ」

「迷子とか?」

「そこまで遠くに行くような子じゃないと思うんだけど。一応守備隊に迷子届けは出したんだけどさ」


 街の外に出てモンスターにやられちゃったっていう設定の可能性が頭をよぎった。

 けど、それだとあたしには何もできないし。

 とりあえず、楽観的な方向で考えておく。


「それじゃぁそのうちに守備隊が見つけ出してくれますね」

「そうあって欲しいものだね。最近、よその子供も何人か行方不明になってるらしくてね。ケロっと帰ってきてくれればいいけど」


 ぶつぶつ言いながらおばさんはあたしから離れて行った。

 クエストは発行されてこない。

 っていうことは、今のおばさんの話はイベントフラグの1つで、クエストとして成立させるにはまだ何かが必要なんだろうね。

 マップを見ても、クエストに関係ありそうなアイコン表示はこの近辺に見られない。

 共通クエストとは別ルートのクエストが発生しかけてるのかな?


 まぁいいや。

 今の会話で次に進む手掛かりをくれなかったってことは、続きは向こうから持ってきてくれるんだよ、たぶん。

 おばさんとのやりとりはとりあえず忘れて、他のクエスト消化してこ。




 そんなこんなで今日のゲーム時間を楽しんで、そろそろ終わろうと思ってギルドハウスに戻ってみると、ハウスの玄関前に箱が置かれていた。

 きちんと包装紙でくるまれてリボンでラッピングされてるの。

 リボンにくくりつけられている模様の描かれたタグみたいなのは、このプレゼント箱を用意してくれたお店のマークかな?


 まぁいいや。

 ここに置いてあるんなら、うちのギルドの誰か宛のものだろうから持っていこう。


「ただいま~」


 ケーキ箱くらいのそれを拾ったあたしはギルドハウスに入った。


「ニャー」(お帰りこはる)


 黒猫姿のジャンヌさんが出迎えてくれる。

 家具の上をぴょんぴょんと移動してきた彼女は、最後にあたしの頭の上で落ち着いた。


「ニャー」(その箱は? 誰かにプレゼントでも?)

「ハウスの玄関前に置かれてたんだけど。誰か訪ねてきたりとかしなかった?」

「ニャー」(私の知る限りでは来てないな)

「そうなんだ」


 ジャンヌさん、たま~にメイドさんとお散歩に行くことはあるけど、基本ずっとハウスにいるんだよね。

 その彼女が知らないんじゃ、プレゼントの贈り主さんは何も言わずに置いていったのかも。


「ニャー」(誰宛だ?)

「それがさぁ、わかんないんだよね。外で見つけた時に一通り見てみたんだけど」


 箱を回しながら改めて確認してみるけど、やっぱり贈り先みたいなものは書かれていない。


「ニャー」(開けてみればわかるのでは?)

「やっぱそれしかないよね~。個人宛じゃなくて、うちのギルド宛のものかもしれないし」


 しゅしゅっとリボンをほといて、バリバリと包装紙を破る。

 そうして御開帳。


「ネックレス?」


 にしては、小さいような。

 うちのギルドだとあたしと腐ちゃんが一番首が細いだろうけど、それでも確実につけられない。


「ニャー」(ブレスレットでは?)

「かなぁ? それにしては今度は大きすぎるような」


 レザーの輪っかに、ハート型した水色の……これなんだろ? 宝石? ガラス? そんな飾りが付いてるネックレスかブレスレットか。


「私などが口を挟むなど差し出がましいかもしれませんが。それ、ジャンヌ様用の品では?」


 奥から出てきたメイドさんがおずおずと言った。


「え? ジャンヌさん用?」

「少しお借りしても?」

「あ、どうぞ」


 あたしは正体不明の品をメイドさんに渡す。

 メイドさんはジャンヌさんをあたしの頭の上から降ろして、猫な彼女の首に正体不明の品を回した。


 そうしたら、ピッタリではありませんか!

 水色のハート型の石も、ジャンヌさんの目の色とほとんど同じでいい感じ。

 こうやって着けた姿を見ていると、ジャンヌさん用としか思えないほどにはまってる。


「ジャンヌさん用の首輪が正解だね」

「そのようですね。見たて違いをしていなかったようで良かったです」


 ふんわり微笑んだメイドさんは奥に引っ込んでいった。

 ジャンヌさんは鏡で自分の姿を確認後、首をかしげている。


「ニャー」(誰が何のためにこんなものを寄こしてきたのだろうか?)


 なんでだろうね?

 熱狂的な猫好きでもいて、ジャンヌさんに惚れたとか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
i396991
― 新着の感想 ―
[一言] この首輪、誰からなんだろう? なんか特殊効果とかあるのかな? 悪いものじゃなければいいんだけど……送り主が不明だからなぁ。ここのギルドの評判と実績を考えると、呪いのアイテムが送られてきても驚…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ