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111 悲願は巨大怪獣か巨大ロボ

「ィー」(ピンク。今、フィールドを呑み込むくらいまで巨大化した恐怖の大王が見てみたいって思っただろ)


 言葉にしていない感想をお姉ちゃんに指摘されて、あたしは尻尾をピンと立てた。


「ィー」(お、思ってないよ。ちょっとしか)

「ィー」(思ったのでござるな)

「ィー」(ちなみに、そこまで巨大化した恐怖の大王は私も見てみたい)


 なんだぁ~。お姉ちゃんもお仲間じゃん。

 あたしの尻尾の力が抜けて、いつも通りのふりふりに戻った。


「ィー」(超巨大恐怖の大王面白そうですけれど、巨大化したせいで1歩で移動できる距離が延びて、なぜか追われているわたくし達がピンチになっている現実をわかっていまして?)


 あ、そうでした。

 あたし達、恐怖の大王に狙われてるんだったね。


「ィー」(ていうか、なんであたし達狙われてるの?)


 結局最初の疑問に戻るわけです。

 空さんのハレンチ罪が原因ではないと思います。たぶん。


 ドーン。


 恐怖の大王がまた巨大化しまして、1歩踏み出すだけで軽く地響きが起こるようになりました。

 なんかね、恐怖の大王の巨大化スピードがね、ガンガン早くなっていってるんだよね。

 関数グラフでさ、右に行くほど傾きが急になるやつみたいな感じ。


 恐怖の大王がさらにあたし達に近付いてきたよ。

 その状態で剣を振りかぶってるんですけど!

 ひああああ! 剣風があたしの横をすり抜けていったよ!


 あ。

 空さんが避けられなかったみたいで、泡になってしまわれました。

 珠、タマさんに移動させておいて良かったね。


「ィー」(スカイが逝ったな)

「ィー」(これでぇ、恐怖の大王が追いかけてこなくなってくれればいいんだけどぉ)


 あたし達の中で、空さんがヘイト1位だったはずだからね。

 他のメンバーは誰も恐怖の大王に攻撃していないから、これまでに大王に攻撃していた人達よりヘイト持っていないはず。


 なのに。


「ィー!?」(大王あいかわらず追いかけてくるんだけどぉ!?)


 ぎゃああ!

 このラインに攻撃飛ばしますよって範囲があたしの足元に表示されたし!?

 恐怖の大王、範囲表示から攻撃くるまでの時間が短いから、余裕がないしいいいい!

 巨大化してるせいで範囲広くなってるしいいいい!

 あたし、万事休すか!? ぴぎいいいい!


 がごごごごごっごごっ!


 豪快な音を立てて爆裂波が地面をえぐっていった。

 あたしはギリギリ避けられていた。

 他のみんなも、ギリギリもギリギリ。


 さらに大きくなった恐怖の大王がジャンプした。

 あたし達を飛び越えて、あたし達の進行方向に着地。


 大王、身長10m超えてるよね。

 20mくらいあるんじゃない?

 戦隊ものの巨大怪獣とか巨大ロボって大きさどれくらいなのかな。


「ィー」(巨大恐怖の大王にコックピット作って乗りこめて操縦できれば格好よくない?)

「ィー!」(うはぁ、ピンクちゃん~。それ楽しそうだけどぉ、今はそっちの世界に行っちゃ駄目な時な気がするよぉ!)


 腐ちゃんに肩をつかまれて、頭ぶんぶんやられました。

 恐怖の大王の拳が高く振りあげられる。

 あたし達のほうに真っすぐに叩きつけられようとしているように見えるよ。


 ぷちっ。


 この表現が正解だと思うんだ。

 殴られたと思ったとたんに視界が真っ暗になって、



 ――イベント中に死亡したため、参加はここまでになります。

 お疲れ様でした。

 ギルド成績はイベント終了後に発表となります。

 結果発表をお楽しみに。



 そんなアナウンスが流れて、視界の暗転が解除。

 あたしの居場所はいつものギルドハウスのリビングのソファのいつもの場所だった。

 死んだからか、怪人の変身は解除されている。


「よ、こはるちゃん。お疲れ様」


 先にお亡くなりしてた空さんが片手をあげて言ってくる。

 あたしが返事する前に、お姉ちゃん、腐ちゃん、姫様、タマさんも続々とリビングに実体が表示されてきた。


「うむ。見事に全滅したなこれ」


 空さんがやたら嬉しそうなのは、死んだのが自分1人じゃなかったからかな。

 ただ、あまりにはしゃぐものだから、ムカついたらしきお姉ちゃんに頭を殴られていた。

 殴られて嬉しそうにしてるんだから、空さんやっぱり変態だよね。


「イベント終了まであと何時間でしたかしら?」

「イベント用時間であと6時間ほどであったと思うでござるが」

「では、こちらの時間であと15分ほどで終了ですわね。途中離脱は残念でしたけれど、まぁまぁ良しとしましょうか」

「イベントフィールド限界まででかくなった恐怖の大王はちょっと見たかった。誰かスクショ撮って掲示板にでも上げてくれんもんかね」


 あたしもそれは見たい。

 タブレットを出して掲示板を眺めだしたお姉ちゃんの横をあたしは陣取る。


「巨大恐怖の大王、あたし達のロボ化できれば面白かったのにね~」

「こはるちゃん~、生もののロボ化はさすがに無理だと思うぅ。洗脳して頭とか肩に乗るとかならできると思うけどぉ」

「たしかに、戦隊ものには巨大怪獣や巨大ロボがお約束でござるな。ナナオ殿、ここはひと肌脱いで錬金で調合を――」

「無理言うな。怪人変身バッジすら作れないのに、どうやってんなもん作れっていうんだ?」


 えー? ホントに~?

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― 新着の感想 ―
[一言] あらら、全滅しちゃった~ でもなんで狙われてたんだろ?誰かの差し金?? イベント結果はどうなるのか
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