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100 フィールドは封鎖されました

 あたし達が潰さないといけない対象、歪み。

 〈histoire〉(イストワール)さんが倒さないとならない対象、暗黒騎士オリヴィエ。


 クエストがズレた。

 あと、他のギルドが途中参入してくると面倒臭くなることを、あたし達は嫌というほど味わった。

 だから、互いに干渉することなくそれぞれの討伐対象への攻撃を始める。


 歪みを守っていた守護騎士さんが強かったからかな。

 比べて、歪みって弱い。

 HPは少ないし、たまに全体魔法で中ダメージを与えてくるくらいで、それ以外の攻撃が無いっていう。


 あ、雑魚が召喚されてくることもあったや。

 でも1匹ずつ召喚だし、普通の雑魚だし、召喚されてきても空さんに即補足されていつの間にか倒されてるし。


 そんな楽な戦闘だったのもあって、あたし達の方が〈histoire〉さんより先に歪みを潰した。

 クエストガイドの歪みを潰すっていう項目にチェックが付く。

 ゴア辺境要塞隊長に報告に行けって項目が出てきたや。

 隊長さんに報告までしたら、このクエスト終了になるのかな。


『お前達、このフィールドから出るワープポイントの前でちょっと待機しておいてくれ。ドドメ、姿消す魔法あるだろ。あれを私にかけてくれ』


 歪みを潰したあたし達がだらけた空気になってすぐにお姉ちゃんが言った。


『いいけどぉ。何する気ぃ?』

『まぁまぁ。やってみてからのお楽しみだ。絶対にワープポイントの近くにいてくれよ。頼んだぞ!』


 〈histoire〉さんから死角になるような場所に移動するお姉ちゃん。そこで姿を消してもらって――。

 その後は姿が見えないから、何をしているのかはわからない。


 姿を隠したのを〈histoire〉さんにバレないようにしてたし……。

 あたし達にワープポイントの近くで待機しとけって言うし。

 絶対悪いこと考えてるよね、これ。

 ワープポイント近くに待機って、すぐに逃げられるようの準備だと思うんだ。


 ワープポイントに移動しながら〈histoire〉さんの戦闘の様子を見ていると、守護騎士さんのマントがたまに変な風に動く。

 あたしね、守護騎士さんのマントが変なふうに動いた様を見たことあるよ。

 そのあと何が起こるのかも知ってるよ。


 お姉ちゃんが何をたくらんだのか察しがついて、〈histoire〉さんのこれからの苦労と、向けられる罵倒を想像して、あたしは虚空を眺めた。

 他のみんなも察したのかな。

 覆面のせいで細かい表情はわからないけど、頭の角度的に微妙なところを見ているような気がする。

 垂れ流している空気は諦観のようななんともいえないもの。


『よし、もういい。ドドメ、魔法を解いてくれ』


 腐ちゃんがゴニョゴニョ呪文を唱えると、あたし達のすぐ近くにお姉ちゃんが出現した。


『ここでの仕事は終了だ! 私たちがやるべきことは、〈histoire〉に別れの挨拶をしてさっさとこのフィールドを出ること!!』

『ああ、そうでござろうな。ダラダラここに残っていたら、確実に面倒なことになるでござる』

「ィー!」(〈histoire〉の! 共に戦えて良い経験になったでござる! 拙者らは先にいくでござるが、お主らも頑張ってほしい)

「おうよ! こいつなんてさっさと倒してお前たち抜くから、覚悟しとけよ!」


 〈histoire〉さんから嫌みのない返事が返ってきた。

 薬の効果がまだ出てきてないからそんな返事してくれたんだろうけど。

 ごめんね。

 ちょっと悪いなって思ったけど、「私達何も知りませ~ん」な感じであたし達は挨拶を返して歪みの空間から撤退。

 通常の遺跡跡のフィールドに戻ったら、辺境要塞に向けて走り出した。


「ィー」(ゴールド、あなたまた例の薬使ったのでしょう?)

「ィー」(正解)

「ィー」(バレたら〈histoire〉の連中キレるっぺよ?)

「ィー」(キレてくれるくらいじゃないと嫌がらせの効果がないだろ)


 ごもっともで。


「ィー」(あれさぁ。〈histoire〉1ギルドだと守護騎士のHP回復に攻撃が追いつくか追い付かないかくらいだったじゃん~。今ぁ、その時より火力の頭数減ってるからぁ、永遠に守護騎士倒せない状態になるんじゃないのぉ?)

「ィー」(で、倒せないでいると攻撃力UPバフのスタック数が積みあがって、ありえん攻撃力になられて、手に負えないバケモノができあがるわけだ)

「ィー」(……)

「ィー」(めでたくあのフィールド封鎖だな。あそこでクエストをこなさないとならない後続どもをもれなく足止めだ。ククク。何も知らずに入ってきた後続を、守護騎士が抹殺しまくってくれればなお良い)


 ミッションをあそこまで進められるギルドとなるとレベルがそこそこ高いだろうから、ギルド戦でぶつかる確率を減らせれば一石二鳥、ってお姉ちゃんが悪い笑いしてる。


 いやまぁ、自分達の利益だけを考えるなら、言っていることは間違ってないんですが。


「ィー」(今の拙者たちは怪人戦隊。悪に悪を重ねてこそ、怪人戦隊としての格も上がるでござろうよ)


 いや、それでいいの?

 完全にそっち側に振りきれちゃうの?

 正義の怪人っていうのもたま~にいるような気がするんだけど。

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[一言] きwwwちwwwくwwwwww
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