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REトモコパラドクス  作者: 大橋むつお
84/88

84『ドッコイショ』

RE・友子パラドクス


84『ドッコイショ』 





 もう一度T町にテレポする。


 テレポの瞬間、小さく「ドッコイショ」と掛け声が出てしまう。

 



 そして……発見した。




 二人のミイラ化した遺体だった。肉屋の冷凍庫に入れられていたので、空気中の臭い粒子はごく微量で、しかも拡散していたので、発見に時間がかかった。


「ひどい……まだ十代の女の子よ」


「勘が鋭いというだけで殺されたんだな、居場所を感知させないためだけに。奴も焦っているんだろう。ここに隠すまでに迷っている。だから臭いの粒子が飛び散ったんだ」


「また、カッパドキア……」


「少し休もう、力を使いすぎてる」


「でも、ほとんど追い詰めてる気がする。時間を置くと、司教も対策を立ててくる」


「奴も、それほどの力は残っていないと思う。聖骸布が完全ならともかく、トモちゃんに尻尾を掴まれているんだからな」


 友子は聖骸布の端を千切り取ったことを思い出す。まさに尻尾を掴んでいるのだ、敵も万全ではない。


「それに、ここにテレポする時『ドッコイショ』って言ってただろ」


「あ……(聞かれていた)」


「態勢を万全にするのも戦闘の内だ」


 このままテレポしても、向こうじゃ半分の力も出せない。


 水道局では「くそ、どこもかしこも一歩先をいかれてる!」とイラだっていた滝川だが、歴戦の勇士は修正も早い。


 


「車は使わないの?」




 住人の居なくなった町のいたるところに車が残っている、拝借しても文句は言われない。


「少しでもクールダウン……トモちゃんの内部温度75度もあるぜ」


「え?」


 確かに自分で確認すると75度、滝川のそれを計ってみると85度もあった。


「こういう回復の遅さが退役の一番の理由さ……」


 


 モーテルに戻ると、布団を被った子どもたちのベッドの上では、カッパドキアを明示したまま地球儀が回っている。


 二人は、それを視野の端に認めるだけでくずおれるように眠ってしまった。





「起きて! 二人が居ない!」


 床で眠ってしまっていた滝川は、友子の声に跳び起きた。


 ベッドの上では、相変わらず地球儀が回っていたが、布団の膨らみを残したままポチもハナも居なくなっていた。


「しまった、俺たちを追ってテレポしていたんだ!」


「服が残ったまま!?」


「未熟なテレポだから、体だけで行ってしまったんだ」


 


 子供二人の衣類と、バッグに入るだけの食料を詰めると、再びカッパドキアにテレポする二人であった。


 


☆彡 主な登場人物


鈴木 友子        30年前の事故で義体化された見かけは15歳の美少女

鈴木 一郎        友子の弟で父親

鈴木 春奈        一郎の妻

鈴木  栞        未来からやってきて友子の命を狙う友子の娘

白井 紀香        2年B組 演劇部部長 友子の宿敵

大佛  聡        クラスの委員長

王  梨香        クラスメート

長峰 純子        クラスメート

麻子           クラスメート

妙子           クラスメート 演劇部

水島 昭二        談話室の幽霊 水島結衣との二重人格 バニラエッセンズボーカル

滝川 修         城南大の学生を名乗る退役義体兵士

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