表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「物語の主人公は君だ」

「やあ、よく来たね」


「ようこそ、この二人称小説へ」


「この小説の物語の主人公は君だ」


「どんな外見がいいかい?」


「長身のイケメンかな?」


「それとも、巨乳の美少女?」


「もちろん、長身の巨乳イケメン美少女でも構わないよ」


「ふふっ、冗談はさておき自身の姿は想像出来たかい?」


「決められない? 弱ったなぁ……」


「それなら、ぼくが君の見た目を決めてあげよう」


「心配そうな顔をしてるね。でも大丈夫、君のことはよく分かっているんだ」


「さぁ、目を閉じて想像して……って、目を閉じたらこの小説が読めなくなっちゃうね」


「ぼくとしたことが、うっかりさんだったよ」


「それじゃあ、気を取り直して……君は猫だ」


「人間じゃないのかって?」


「ふふっ、大丈夫さ。人じゃなくたって物語の主人公になれる」


「スライムが主人公の小説だってあるだろう?」


「だから、大丈夫さ」


「いいかい、君は猫だ」


「毛並みのいい白猫だ」


「今は日の辺りのいい縁側で、日向ぼっこをしている」


「そこへ、1人の人間が近づいてきた」


「その人間は君の飼い主で、とてもとても優しい」


「君が、『お腹が減ったよ〜』と鳴き声をあげると、すぐに美味しいご飯を用意してくれる」


「そんな、飼い主のことを君はとても気に入っていた」


「君のお気に入りの場所は、飼い主のお膝だ」


「そのお気に入りの場所で、今日もウトウトと目を閉じる」


「飼い主の体温と、縁側から差し込む太陽の光で、とても安らかな気持ちで君は眠りについた」


「ふふっ、どうだい? 猫になった気分は?」


「楽しかったかい? それとも退屈だった?」


「まぁ、どっちでもいいさ」


「小説を読むっていうのは、『他の誰かの物語を体験する』ってことだ」


「さぁ、次は何になりたい?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とても読みやすくて感情移入できました。 普段、猫のこととかあまり考えないのですが、 読んだときにすんなりと猫になりました。 ありがとうございます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ