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今は昔。

作者: 鳴沢沙羽

風を地を水を人を 私は好いていた

それを欺く心を 私は知り得なかったのだ


それで良かった 幸せだった

それこそ我らが心なり

そう信じていたのは いつからか

一人 酒を煽った

いつの頃から この世の中は

騙せ騙せの 応酬か?

信じているだけ 馬鹿を見る

――ひて 思ひ 忘る



風も地も水もすべて 私を好いていた

それが当然だ、なんて 驕りに過ぎなかったのか


ただ一つのみ 信じず居るは

我らがいとし 弱き民

酒を飲み交わした 明くる日は

紅い 華みて笑う

『生きる術』など 嘘と笑えよ

輝く闘志は 何処いずこへと?

『信じていた』など 馬鹿者か

――泣きて おもひ 振ふ



風と地と水と人と 皆が愛しくて

どうか彼らの心が 私に伝わりますように


鬼は涙す 悲しみゆえに

皆で楽しく ありたいと

ただそれだけの 儚い願い

誰も 叶えられない

人は笑った 愚かな鬼を

馬鹿正直が 美徳かと

信じることすら やめたくて

――眠り おもひ 忘る


それが良かった 幸せだった

それこそ我らが心なり

馬鹿おにを 愛してはくれずとも

ばかは 酒を奢ろう

そう今こそが 萃う想いだ

笑みを浮かべぬ 者は無し

呑めや歌えや 闘えや

――ひて 悪夢おもひ 忘る



「さぁさ人共、かかっておいで

 『正正堂堂』と、……さ!」

ずるく生きるのが、今の世では賢いやり方。

なんだかたまに、虚しくなります。

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