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黒炎龍VS巨大ロボ、叫べウェルブレイバー!!④

「セレンティーヌ嬢。再びこのようなチャンスをいただけた事を心から感謝する」


 一国の王ともあろう男が部下の前にも関わらず深々と頭を下げている。


 これに側近達の一部も響めきを隠せず、驚きの声と共に非難の声を上げる。


「ハンク様、頭をお上げください。これでは周りに示しがつきませんぞ!」

「そうです!今回の件全てはセレンティーヌ嬢の思惑なのでしょう」


「何を言っている。それは間違いだと説明しただろ!全てはこちらの責任だと。悪いなら謝る。子供でも分かっていることだぞ」


 カイゼル商会との関係、そして王子がセレンティーヌにした事を考えれば、これは当然の対応と言えよう。


 しかし今の時代。


 この国の流れは王より王子と聖女が握っているようで、この前の騒動含めセレンティーヌに対してよく思ってない側近達もちらほら。


 そんな彼らもこの王の行動は驚きと同時に腹を立てたことだろう。


「お気遣い感謝しますわハンク国王。でも頭を上げてください」


「だが、」


「今ので十分ということです。私もこれ以上事を大きくするつもりはありませんので」


 セレンティーヌの態度は王を相手にしても全くブレる様子は無い。


 全て想定の範囲内といった所か。


「…君は立派だな。自らの立場を分かった上で行動している。奴にも見習わせたいくらいだ」


「やめてください。あんな男手本になる位なら死んだ方がマシですわ」


「おい!王子に対してなんて態度を取るんだ!いないからと言って言っていい事と悪い事があるだろ!」


 私の態度がよっぽど気に入らなかったのか、国王直属の部下アンデイルが声を荒げる。


「やめないか!」


 王子を侮辱されたのがよっぽど嫌だったのか頭に血が昇りったアンデイルには王の声すら届かない。


「少しは身の程を弁えたらどうなんだ!?それともフラれた腹いせですか?」


「聞いていれば貴様こそお嬢様になんて態度を、」


 アンデイルを前にレイフォードが間に入ろうとするがセレンティーヌはそれを止める。


「おい!文句があるならなんとか答えられどうなんだ!」


「あの、勝手に話を進めないでくださる?私も王も誰とは一言言っていませんけど」


「あ?…」


「それなのに何故かアナタは王子だと勘違いした。王子に何か文句があるのはアナタの方じゃなくって?」


 こんな簡単な誘いにすら乗ってきた哀れな男にセレンティーヌは悪戯が上手くいって喜ぶ子供のように笑顔を浮かべる。


「お前ぇ!!…」


「アンデイル!!!」


 声の通る野太い叫びがアンデイルの鼓膜に響き渡る。


「止めろと言っているだろ」


「しかし、この女は……」


「黙れ。国やジェイクの事を思うならこれ以上面倒事を起こすな」


「ぐっ……」


 苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながらアンデイルは渋々頭を下げた。


「セレンティーヌ嬢。部下が失礼なまねをした」


「いえ。文句があるのは本当ですから。例えば、何でこんな時に肝心の王子様はいないのか、とか?」


「ぐうの音も出ない正論だな」


「あの方は今何を?」


「さぁな…。もうワシの言うことも聞く気は無いらしい」


「それほど聖女は素晴らしい方なんですの?私には全くそう思えなくて。私の目が節穴なんでしょうかね」


「……少なくてもこの国に必要な人間だということは確かだ。聖女がいなければこの国は終わる」


 実はこのウィンドブルム。


 国境を跨ぐ門を越えた先ははモンスター達が多数生息している危険地帯に出る。


 国に繋がる門は全部で四通り存在するが全て条件は同じ。


 つまりこの国はモンスター達の縄張りに囲まれるように国が存在しているのだ。


 聖女の結界が無くなればこの国あっという間にモンスター達の脅威に脅かされる事となるのは間違いないだろう。


「だが、君が連れてきたあの巨大な部下とやらを見た瞬間今日が終わるような気がしたよ」


「どうしてです?」


「恨みを買った覚えはあるからな」


「そんなつもりありませんわ。今の所は……」


 若干笑みを浮かべながらセレンティーヌが返す。


「冗談でもやめてくれ。今のこの国にアレを相手に出来るだけの戦力は無いんでね」


「冗談ですわ。その気があればもう既にやってますもの」


「……君くらいだよ。私相手にこんな会話が出来るのは…」


「私で良ければ幾らでも相手になりますわ」


「いやなるべく遠慮しておきたいね。心臓がいくらあっても足りなそうだ」


 王とセレンティーヌの会話に誰もが息を呑み静まり返る。


「!!」


 そんな静寂を打ち砕くようように何かが破壊される大きな物音が聞こえた。


「な、なんだ!?…」


「また当たった。やっぱり私って凄い」


 物音はその後も幾たびと続く。


 異様な事態に城内も慌ただしくなっていく。


「一体何が起こってるんだ!?」


「……た、大変です!!」


 その答えを知らせに先程セレンティーヌをエスコートしたリーダーらしき兵士の男が駆け込んでくる。


 その顔は初めてウェルを見た時の様に青ざめていて、事の深刻さを表している様だった。


「おいここをどこだと思っている。ノックも無しに失礼じゃないか!」


「し、失礼しました。ですが異常事態でして……」 


「そんなの関係ない!立場を弁えるべきだと言っているんだ」


 こんな時だって言うのにあのアンデイルって男はやかましい。


「立場を弁えるべきなのは寧ろアナタの方じゃなくって?」


「何を?…」


「バイス兵長は一刻も早くこの異常事態を知らせにやって来てくれたのですよ。我々の命、そしてこの国を守るために。それをそんなどうでもいい事で口を挟み、侮辱するととは愚の骨頂!!」


 後に男は言った。


 真剣な眼差しで煌びやかなロングヘアーを華麗に靡かせたセレンティーヌの姿は輝くほど美しく、逞しかったと。


「どうして私の名前を……」


「いつも護衛してくださる方の名前を覚えるのは当然ですわ」


「セレンティーヌ嬢の言う通りだな。今は現状を把握する事が優先だ。バイスと言ったな。君の見た状況を教えてくれるか」


「はっ!現在、ウィンドブルムは突如出現したドラゴンの襲撃を受けています」


「そうかドラゴン……ドラゴンだと!?」


 お手本のようなリアクションに驚いてる暇は無かった。


「それはあり得ない。ドラゴンなど今時御伽話でも聞かないぞ」

「特殊なワイバーンか何かに見間違えたんじゃないのか?」


「それは本当なんだな…」


「間違いありません。この目で黒き炎に包まれるドラゴンの姿を確認しました」


「黒き炎を纏う龍……まさかバルハムートか!」


 黒炎龍バルハムート。


 数百年前に一度だけ存在が確認されている伝説の厄災。


 やがて漆黒の炎は人、街、空に至るまでこの世の全てを覆い尽くすと言われている。


 残された書物には聖女の祈りによって厄災を打ち払い平穏を取り戻したという文面も。


「そんな馬鹿な!あれは作り話に出てくる架空の存在じゃ!」


「いや、あれは確実に存在したのだ。かつてこの国もバルハムートによって滅びかけたのだからな」


「なっ!…」


「王よ。そんな歴史もそんな事実も全部初耳ですぞ!!」


 王の告白に周りの部下達も驚きを隠せない。


「伝説のまま終わる筈だったんじゃ……どうしてそれが今、復活など……」


「グアァァァォォォォォ!!!」


 地鳴りと共にドラゴンと思われる生物の叫びが響く。


 既に奴は近くまで来ている。


「…ドラゴンだってモンスターだ。ならどうしてこの街を襲えるんだ?」

「そうです。この国全域は聖女の結界によって守られている筈ですよね!」


 そんなの簡単よ。もう答えは出ているもの。


「その結界が破られた。そう考えるのが自然ですわ」


「聖女の結界が破れるなどあり得ない!」


 このアンデイルって男。よく見たら熱心な聖女信仰者みたいね。


 着ている服も付けている指輪も全部聖女に関する物ばっかり。


 聖女を女神の様に信じている人は多いけど、ここまで純粋にのめり込んでいる奴も珍しい。


「事実、新たな聖女になってから結界の力が弱くなっている事は明白。この前もここから帰る道中モンスターの群れに襲われたばっかりですわ」


 まぁ、そのお陰でウェルを手に入れられたんだけど。


「もしかしたら、その新たな聖女が眠れる厄災を起こしたのかも…」


「ふざけるな!」


 怒りに呑まれたアンデイルはセレンティーヌの頬を思いっきり張る。


「お嬢様!貴様…!」


「レイフォードいいわ」


 今の一撃で唇を切ったのか薄らと血を流しているが、セレンティーヌは顔色一つ変えないままレイフォードを抑止する。


「小娘の分際で好き勝手言いおって、デタラメを言うのもいい加減にしろ!」


 王の指示で他の部下達が暴れるアインデルを取り押さえる。


「いけませんアンデイル様!」

「そうですどうか落ち着いて!」


「離せ!離さんか!!」


 こんな状況にも関わらず聖女の心配ね…これでも信じ抜けるとは大した信仰心。


 でも肝心の聖女様は信者の気持ちに応えるつもりはないみたいよ。


 それにそろそろ気づきなさいよ。


「とにかく今はこの最悪の事態を乗り切る事が最優先だ。セレンティーヌ嬢もそれで良いな!?」


「もちろん」


「うむ…。バイスよ。既に行っているとは思うが人々の避難を急げ。どこへでもいい。とにかく出来るだけ遠くへ逃がすんだ!」


「了解しました!」


 覇気のある敬礼を済ませ、この場を駆け足で去って行く。


「それと、誰でもいい。聖女ユナとジェイクをここに連れて来い!」


「それが……」


 気を利かせた王の部下が逸早く二人を探しに行っていたようなのだが何か様子がおかしい。


「それが何処にもいないんです!!」


「なんじゃと!?」


 そんな事だろうと思った。


「どういう事だ!」


「私含めた数十人で城中探した回ったのですが全く見つけられず……」


「国の大事態だというのに。聖女を連れて一体何処に、何を考えている?」


 王子は愚か、唯一の希望だった聖女も頼れない以上ここにいるだけ無駄ね。


「レイフォード帰るわよ」


「畏まりました」


「ハンク国王。私達はこれで失礼させていただきますわ」


「ああ。だがこの状況二人では危険だ。数人だが直ぐに兵士を護衛に付けよう」


「いえ結構。ドラゴン相手に兵士数人で何とか出来るとは思えませんので」


 ただでさえ兵士の数を割けないこの状況で私なんか気を使っては欲しくないもの」


「もしもの時には元S級のレイフォードがおりますし、それにもう一人」


「それって…」


「ウェル出番よ!!」


 セレンティーヌが声を張ったと同時城の天井が鍋の蓋を取るようにぽっかりと開き、上からウェルブレイザーが覗き込む。


 アンデイルなんて思わず腰を抜かして動けない。


「呼んだかお嬢様」


「いい登場ね。合格」


「それはどうも」


「え…………」


「ではこの辺で。ご機嫌よう」


 セレンティーヌ達が手の平に乗るとウェルブレイザーは唖然とする王様達に手を振りながら去って行く。


「何だったんじゃあれは……」


ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


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