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悪役令嬢暗殺計画①

 

「ジャスティゼイオン達に続いてタウライアスまでやられるなんて……」

「ウェルブレイザーめ、異世界に行ってまた強くなったんじゃないか?」

「冗談じゃない。力自慢のタウライアスも勝てなかったんだ。オレ達なんかが敵うわけが無い……」


 機械生命達が集う一室の片隅で聞こえる弱音に便乗するように一人の機械生命体がベルゼスターの元に訪れる。


「今の聞こえたましたか?ベルゼスター」


「エルトゥナ…今までどこに行っていた」


「どこにも行っていませんよ。ワタシはいつもアナタの側におりましたので」


「また得意のかくれんぼか……」


「それにワタシはアナタ方と違って地上の空気が苦手ですので、できることならここにあまり長居はしたくない。それだけですよ」


「だったら何故今姿を現した?…何か目的があるんだろ?」


「その通り!」


 エルトゥナは笑いを浮かべると、やや饒舌に話を進める。


「実は今までの戦いをワタシなりに分析してみました。我らのリーダージャスティゼイオンがやられイーゼクスまでも倒された。そして今度はタウライアスまで、実に残念だ」


「……」


「彼らは皆、我々の中でもトップクラスの実力を持った猛者達でした。いわば我らの最高戦力と言っても過言ではない!なのに負けた……いくらウェルブレイザー相手だったとしてもこんな結果あってはならない。挙げ句の果てに仲間を戦意を失い、聞こえるのは弱音ばかり。これでは勝てるものも勝てない。そうなったのも全部彼らが負けたからだ。では何故負けてしまったのか。お分かりですか?」


「言いたいことがあるならさっさと言え…」


 大袈裟な程に誇張したエルトゥナの喋りにうんざりとした様子を隠しきれない。


「失礼。では結論と参ります。彼らが負けた理由……それは驕りと甘え。その二つに尽きるでしょう」


「まるで調子に乗っていたから負けた。そう言いたげだな……」


「いやいや、そう言ってるんですよ」


 怒りを堪え拳を握りしめていたベルゼスターの手を優しく開いてみせる。


 エルトゥナに全てを見透かされたような気分だったに違いない。


「何が言いたいんだ」


「ワタシの調べた所によると、どういうわけか今のウェルブレイザーの力の源は人間が深く関係している。ならばその力の源を絶ってしまえばいいのですよ。それを分かっていながら彼らには出来なかった。それが驕りや甘えと言わずして何というのでしょうか?」


「まさかお前、人間を殺すつもりなのか?……」


「我らの使命は人間を守る事。忘れたわけじゃありません。でも、既に三人も仲間がやられたのですよ。そんな悠長なことを言ってる場合じゃないでしょ!」


「だとしてもだ!如何なる場合があろうとそれをしてしまえば、オレ達も奴と同じになってしまうんだぞ!そんなことは許さない!」


「許すとかどうかの問題じゃない。これはあくまで使命を守る為。正義の行いなんです。そのための犠牲は必要だ」


「本気で言ってるのかそんなことを……」


「本気ですとも。それともいいんですか?今奴のいる世界がこの世界のようになってしまっても!」


 ここから見える窓の外には、異様な景色が広がっていた。機械生命体が存在する世界とは思えないほど外は荒廃している。


 そこに人の気配は無く、壊れた電灯が気まぐれに点滅しているだけ。


 駅のようにも見える建物の近くにはかつて待ち合わせの場所にもなっていたかもしれない大きな時計台がある。


 そんな時計の針もとっくに止まり、数十年が経とうとしている。


「そうさせないためにワタシ達がこうして戦っているんでしょう。違いますか」


「違わない…その通りだ。だが、正義を守るためだからって人間を殺してしまっては……」


「何を躊躇してるんですか〜?たった一人の犠牲で世界を守れる。安いもんでしょ。それに、死ぬのはこの世界の人間じゃない」


 そんなの間違ってる。ベルゼスターも頭では分かってた。


 だが、その時の彼には沈黙することしか出来なかった。


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