激突注意、進撃のタウライアス!③
「どこにいるウェルブレイザー!オレ様はここにいるぞ!!」
興奮冷めやらぬタウライアスはウェルブレイザーを誘き出す為、片っ端から街を破壊していく。
「そこまでだ暴れ牛!」
「ようやくか……コイツもまるでヒーロー気取り。うんざりするぜ!」
この前みたいに仲間も一緒かと思ったが、近くにそれらしい気配も無い。ここにいるのはコイツだけか…。
「今日は仲間はいないのか」
「必要無いさ。お前の相手はオレ一人でこと足りる。それにずっとアンタとはタイマンで戦ってみたいと思ってたんでな!」
やっぱりコイツもオレを知っているのか…。でも今はそんなのどうでもいい。
「それは嬉しいね。でも、仲間を呼ばなかったこと後悔しても知らないぜ」
「ほう…オレ様相手に言うじゃないか!」
「言ってやるさ。なんたってオレはお前より強いからな!!」
「その減らず口黙らせてやる!」
両者、向かい合うように突進で激突。
力で不利なウェルブレイザーは少しでもと、相手の力をいなしながらぶつかっていく。
「ウェル。作戦あるんでしょうね?」
「もちろん。ただ筋トレしてたわけじゃない。相手が牛ならやっぱりこれだろ」
ウェルブレイザーは事前に忍ばせていたカイゼル商会のロゴが入った赤い旗をひらひらと舞わす。
その姿はまるで闘牛士のようだ。
「こっちだ暴れ牛。ほら、来いって!どうした?早く来いよ!」
「キサマ……このオレ様をこけにするとはいい度胸だな!」
挑発に乗ってしまったタウライアスは荒くなった鼻息と共に一死不乱にこちらに突っ込んでくる。
「貰った!」
突進してくるタウライアスを上手く翻弄すると、攻撃をかわし人のいない建物に突っ込ませる。
「いいわよウェル。アイツ案外チョロいわ」
「ロボはロボでも牛だからな。本能には逆らえないってことだ」
ウェルブレイザーは再びマントを使って挑発する。
「…ブモオオオオ!!」
「さあ来い!…なに!?」
さっきのように前に突っ込んでくると思われたタウライアスだったが突然方向転換。大柄な体格からは信じられない身軽さで右に左に飛び回る。
「ここだ!いないし…」
「逆よ!」
「こっちか!」
瞬時に振り向いても既に奴の姿はそこにはない。目には追えても体が奴の速さについていけない。
「遅えんだよ!!」
「なっ、ぐあぁぁ!!」
死角から不意に放たれる殺人タックル。それは交通事故のようにオレを勢いよく吹き飛ばした。
「オレ様をパワーだけだと侮るからこうなるんだ!お前にオレの動きは見切れねぇ!」
くそッ……こうなったらさっきのようにはもう行かないだろう。パワーでも敵わず、スピードでも太刀打ちできない。
やっぱりオレには勝てないのか……。
「しっかりなさいウェル!私はまだ諦めてないわよ」
セレンティーヌの意思でオレの体を強引に動かし立ち上がらせる。
「セレンティーヌ……」
「だからウェルも諦めないで。一人じゃないんだから。私だっているし、それにまだいるでしょ?アナタに懐いているとっておきが」
「そうか。その手があったか!」
どうしてオレはそんな大事な事を忘れていた。
いつの間にか勝手に勘違いしていた。オレ一人でなんとかしないとって。
オレは別に一人なんかじゃないのに。
「もっと仲間に甘えなさい」
「そうだったな。よし、力を貸してくれクロスライガー!!」
「ガオォォーーン!!」
呼ばれるのを待っていたクロスライガーは雄叫びを上げながらやってくる。
「この子もウェルのことを待ってたみたいね」
「ありがとよ。クロスライガー準備はいいな?」
「ガオッ!」
「よっしゃ!がった、」
「合体よ!!」
「それオレのセリフ!」
脚部、腕部、胴体、最後に頭部。音楽を奏でるようにテンポよく合体していく。
虎型アニマノイド、クロスライガーと一つになる時、ウェルブレイザーは新たな姿へと進化する。
「コンバイン〈合体完了〉。ウェルブレイザーライガーカスタム!!」
「馬鹿な!あれはクロスライガー…ヤツはオレではなく裏切り者のアイツを選んだというのか!?」
「来な暴れ牛さんよ」
タウライアスをおちょくるように上から目線で挑発する。
「おのれぇ……返せ!そのアニマノイドはオレ様のもんだぁぁ!!」
挑発に乗ったタウライアスは一心不乱突撃。自慢の角でウェルブレイザーを大空高くかちあげた。
「タウラーホーン!今度こそ串刺しだぁ!!」
「いいや、この時を待ってたぜ!」
ウェルブレイザーが空中で大回転するとタウライアス目掛けて飛び降りてくる。
「なにっ!?」
「真正面がダメなら上からだ!!」
「今よ!」
「ライガークロー!!」
待ち構えていたタウライアスの二本角をウェルブレイザーの巨大爪がへし折った。
「オレの、オレ様の角がぁぁぁ!!」
「トドメよ暴れ牛!」
両腕のライガークローが虎の牙のようにガッチリと喰らいつく。
次第に力は強くなっていきボディーには亀裂と共にコアが剥き出しになる。
「ライガーブレイクライシス!!」
ライガークローは顎が閉じるように重なりコアを噛み砕いた。
「ぐあああぁぁぁぁぁ!!!」
断末魔と共にタウライアスは爆発を起こし消滅した。
「討伐…完了!」
◇◇◇◇◇◇
「!!……タウライアス……約束、したんじゃないのかよ…」
逸早く勘付いたベルゼスターの拳は強く握りしめられていた。
◇◇◇◇◇◇
「おすわり」
「ガウッ」
「お手」
「ガウッ」
「1+1は?」
「ガンッ!!」
「あー惜しい!」
「あれ、もう筋トレはいいの?」
和気藹々自室クロスライガーと戯れるウェルブレイザーの元にセレンティーヌが顔を出す。
「もう終わった」
「早いじゃない。何かあった?」
「何も。ただ、信じてくれる人の期待には応えられるようにしておこうと思ってな」
「ふふっ。従順な部下でよろしい!」
頭を撫でようしたみたいだが背が届く訳もない。仕方なく頭の代わりに指を優しく撫でる。
「お、おい。くすぐったい……」
「照れなくてもいいじゃない」
「それは無理だろ…」
なんかこんな感じ何十年ぶりだろう。無い筈の心臓がバクバク言ってる気がする。
「そうだ。さっきの私もやっていい?」
「いいけど難しいぞ。ご主人様であるオレ以外の言うことを聞くかどうか」
「ウェルに出来たんだもの。私に出来ないわけがないわ」
セレンティーヌはクロスライガーの前に立つと手を差し出す。
「お手」
「ガウッ」
「おおっ…」
「じゃあ1+1は?」
「いやいや、それは無理だって。オレも無理なんだから」
「ワン!」
「ほらね」
「マジかよ……」
◇◇◇◇◇◇
その頃、外れにある怪しげな森の奥地。人の気配は愚かモンスターすら近づかないその場所に、ポツンと一人で黄昏る機械生命体の姿がそこにはあった。
「さて、どうしたものか……」
眩く銀色のボディーの背には身程もある巨大な一本槍を備えている。
そして片目には戦いの壮絶さを物語る深い傷痕が。
そして彼の肩にはジャスティゼイオンやベルゼスター達と同じ〈セインティア〉のシンボルが描かれていた。
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