被検体ーー 新たな主との出会い
階段を駆け上がる音が聞こえて来る。毎日の様に、決してそれは不快の音ではなかった。希望を持てる音だから
「今日も聞こえる。………誰かー!………聞こえ無いですよね」
少女はその足音の持ち主へ向けて声を出す。その持ち主へ自身の声が届く事が無いことは知っている
「…ぐす、うぅ……主様助けて」
暗く時々差し込む何かの光が少女のいる部屋に差し込む。その光を彼女は知らない。そこは人によっては心が常に蝕まれる様な場所に少女は一人取り残された
いつか、きっと、誰かが助けに来てくれることを願いながら
希望の扉は開かれた今ここで。今では無いがこの彼女の思いが世界に届く物語が始まる。希望を外の誰かに貰った少女の次は誰かの希望のなる為の物語が
誰かに彼女を閉じ込めていた鳥籠が持ち上げられる。その鳥籠は彼女の雄大な羽を使わせない為が様に彼女に無理矢理強いたのか。少女への優しさかそれもいずれ分かる
「……貴方が主様!?」
少女は目の前にいる光輝をじっと見つめながら言う。少女にとっての主と目の前の光輝が重なる。この絶望的状況を救ってくれたと言う点で
光輝はその少女の問に「……は?」意味が分からないと言った声を出した
少女はその光輝の言葉に対して「私は………被検体No.00……ここで一人貴方をまっていました」
彼女は自身をNo.00だと言う
「君は此処に一人でいたのかい?」光輝は彼女を心配する。それに彼女は
「私はずっと此処でまってた。……恐ろしい怪物から身を隠しながら……」少女はうずくまる。昔を思い出し何も言えなくなってしまう。
「此処に一人で……」光輝はこの不気味な部屋を見渡す。此処にも廊下と同じ様に血痕が壁一面を染めていた
うずくまる少女に光輝は問う
「外に出るか?」
光輝の問に少女は顔を上げ頷く。光輝の差し出す手を小さな小さな手で彼の中指を握る。そして少女は立ち上がり、その背中の羽を広げ飛び上がる
「飛べるんだな、君」
「伊達に此処で引きこもってましたからね」
そこまで自身満々に言えることなのか?と光輝は思うが口には出さなかった。そして少女はドアノブに手をかけ、回っ……回っせなかった
「………………」
「………………俺が開けるよ」
気まずい空気が一瞬流れたが何とか部屋から出た。
「君を俺は何て呼んだらいいんだ、ゼロか?」
「主様は私の事を“エル”と呼んでました」
「エルね、分かったそのマスターとはどういった関係何だい?」
「主様は命の恩人なんです。あの希望も何も無い、視界の先がずっと真っ暗だった頃に目の前を照らしてくれた人です。私にとって仕えたい一緒にいたいと思った人です」
エルは目の前の一点を見つめる。その時の顔は少し微笑んでいた。
「へー、俺の事をマスターと呼んだけどそれはどうしてだ?」
「それは…似てたからです………ちょっと飛ぶの疲れたので肩借ります」
エルは飛ぶのを辞め光輝の肩に乗る。先程まで広げていた羽が一気に閉じたせいかエルの体が小さく感じる
「似ていた?具体的に何処らへんが?」
「そういうのは良いでしょ!あんまり聞かないで下さい恥ずかしいです」エルの羽がペチペチと頬を叩く。
歩く歩く。廊下が長いな…。廊下が先程通った廊下よりも長く感じる。
「なぁエル。この病院で何があったんだ?」
「…………私が言える事はただ一つ化け物が出現した」
地響きと共に廊下の壁が割れる




