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「記憶とオールドファッション〜届かなくても思いはそばに〜」

作者: こうた

back numberの「オールドファッション」。

私が一番好きな歌です。

この曲が、もし“恋”という時間を丁寧に、静かに紡いだら——

そんな想いから、この物語は始まりました。


恋は、派手な言葉や劇的な展開だけで生まれるものじゃない。

誰かの笑顔に心が温かくなったり、ささいな一言がずっと心に残ったり、

気づけばその人のことばかり考えていたり。

それは、まるで“オールドファッション”みたいな味がする。


シンプルで、あたたかくて、飽きることのない——

そんな恋を、この物語は描いています。


耳が聞こえる人と聞こえない人。

健康な人とそうじゃない人。

元気な日と、そうじゃない日。


どんな状況でも、「好き」という気持ちは、

人を変え、支え、育てていく。


この物語は、1人の社会人男性・朝倉悠斗が、

とある夜に出会った女性・中谷 澪との日々を通して、

「恋って、こういうことだったのかもしれない」と気づいていく軌跡です。


言葉じゃなく、心で通じ合うことがある。

目に見えるもの以上に、大切なものがある。


そんな“ささやかだけど、確かな愛”を信じている人へ——

これは、あなたへ贈る物語です。

金曜の夜。

仕事帰りのスーツ姿のまま、俺はいつもの居酒屋にふらっと立ち寄った。

同僚に誘われるでもなく、特別な理由があるわけでもない。

ただ、まっすぐ家に帰りたくなかった。


カウンター席の端に腰掛けて、ハイボールを頼む。

グラスの氷がカランと鳴る音だけが、妙に静かに響いた。


そのとき、ふと視線が止まった。

2席隣――ひとりで座って、静かに小鉢をつまんでいる女性がいた。

長い髪を後ろで束ねていて、シャツの袖を少しだけまくっている。

整った横顔は、どこか凛としていて、だけど少しだけ寂しげに見えた。


こんなふうに誰かに声をかけたことなんて、今まで一度もない。

けど、何かが引っかかった。

気づいたときには、言葉が口をついて出ていた。


「…ひとりですか?」


彼女が少し驚いたようにこちらを見た。

「あ、ええ。たまに、こうやって息抜きに」


「僕もです。隣、よかったら、座ってもいいですか?」


すぐに返事はなかったけど、彼女はふっと微笑んで、

「…どうぞ」と静かに頷いた。


それだけで少し救われたような気がして、俺は照れ隠しにグラスをあおった。


「なんか、すみません。急に声かけて。…変な意味じゃないんです。ただ、なんとなく話したくなって」


「ふふ、そんなふうに声かけられたの、初めてかも」


彼女は少し笑って、小さくグラスを上げた。

「乾杯、します?」


「えっ…あ、ぜひ」


グラスが軽く触れ合った。

チン――という音が、思った以上にきれいに響いた気がした。


「名前、聞いてもいいですか?」


中谷なかたに みおです」


朝倉あさくら 悠斗ゆうとです。…なんか、名乗るのも久しぶりです」


「ほんとですね。こういう出会い、最近じゃ珍しいかも」


会話はそれ以上でもそれ以下でもなかった。

でも、どこか心に残った。

この人ともっと話してみたいと思った。

それは、“顔が好みだった”とか、そんな軽い理由じゃない。

もっと、奥の方。うまく言葉にできない何かが、俺の中に引っかかっていた。


彼女の笑顔は、名前も知らない時よりもずっとあたたかくて、

どこか懐かしいような、静かな安心をくれた。


初めて会ったのに、初めてじゃないような――

そんな感覚の夜だった。




第二章:名前を呼ぶ前に


あの夜から数日が経った。


仕事帰りの居酒屋、あの日と同じ時間、同じ席。

何かを期待している自分が、正直少し情けないと思った。

でも、それでも来てしまったのは、彼女の声が、表情が、記憶に焼きついて離れなかったからだ。


「こんばんは」


その声に、グラスを持つ手が止まった。


振り返ると、あの日と変わらない笑顔――澪が、そこに立っていた。


「…来てくれたんですね」


「うん。もしかしたら、いるかなって」


照れくさそうに笑う澪。

彼女は今日も、少し肩にかかるカーディガンを羽織っていた。


「仕事帰りですか?」


「はい。今日、年少の子が私の描いた絵に“これ、せんせいのおうち?”って言ってくれて…」

嬉しそうに話す彼女に、思わず「へぇ」と微笑んだ。


「子どもたち、可愛いんですね」


「すごく、元気です。たまに泣きたくなるくらい」


くすくすと笑うその声が、店の喧騒を柔らかく包んでいく。


しばらく他愛のない話をしていた。

好きな飲み物、趣味、休日のこと。

恋愛の話はまだ早い。でも、「もっと知りたい」と思っていた。


不意に、手元のスマホを見つめて、僕は言った。


「……よかったら、連絡先、教えてもらえませんか」

「また、あなたと話したいです。今日みたいに、他愛ないことで笑える時間が、すごく心地よかったから」


澪は、少し驚いた顔をして、それからゆっくりと笑った。


「……いいですよ。じゃあ、次は私がごはん、誘ってもいいですか?」


その瞬間、胸の奥に小さな灯りがともった気がした。


「君の名前 呼ぶだけで

胸が痛くなってしまうよ」


この感情に、まだ名前はつけない。

でもたぶん、そう遠くない未来で、きっと――。


第三章:すれ違うたびに 惹かれていった


その夜、彼は澪を駅まで送っていた。

風は少し冷たかったが、澪の隣を歩くその時間は、どこかやわらかくて温かかった。


「今日は……ありがとうございました。急に声かけてしまって、すみません」


「いえ。僕のほうこそ、話しかけてよかったです。正直、緊張してましたけど」


照れくさそうに笑い合う。

そんな会話が途切れた時、ふと二人の前に、CDショップの明かりが現れた。

ガラス越しに見える店内では、流れていた。

あの、back numberの「オールドファッション」



少し歩みを止めて、澪が言った。


「……この曲、好きなんですか?」


彼は思わず笑みをこぼす。


「はい。歌詞が、ちょっと不器用だけど、まっすぐで」



「なんか……わかる気がします。誰かを本当に大切に思ってるって、伝え方が下手でも、心のまま言葉にするしかないっていうか」


その言葉に、澪は小さく頷いた。


「……今日、話せてよかったです」


「 僕も。また、会えますか?」


今度は、彼が静かに問いかける。


澪は笑って、うなずいた。


「ええ、もちろん。だってもう――連絡先、交換しちゃいましたしね」


彼女のその言葉に、彼は思わず吹き出しそうになって、でもぐっとこらえた。



第四章:ビールの泡と、ひとつの通知音


「おまえ、最近なんかニヤけてんな。なんかあった?」

会社の同僚、三浦が焼き鳥をつまみながら茶化してくる。


「は? 何もないって」

そう言いながら、グラスを口に運ぶと、わずかに笑いを含んだ味がした。

金曜の夜、駅前の居酒屋。

テーブルを囲んでの会社の飲み会は、話題も料理もいつもの通り。

けれど、彼の心のどこかは少しだけ、別の誰かを考えていた。


──彼女。


数日前、偶然出会ったあの夜が、まだ頭から離れない。

彼女が笑って言った「その歌、私も好きなんです」

あの声、あの目線、あの空気。


スマホがポケットの中で震えた。

さりげなく取り出すと彼女 澪さんからのLINE。


「週末、ご飯行きませんか?」


一瞬、飲みの席の喧騒が遠くなる。

視界の端で焼き鳥の煙が揺れて、グラスの中の氷が音を立てた。


胸の奥で、何かが跳ねた。


「トイレ行ってくる」

そう言って席を立ち、人気のない店の外に出る。

夜風が頬をなでて、少しだけ熱を奪った。


震える指で、彼は返信を打つ。


「もちろん。すごく嬉しいです。日曜とか、空いてますか?」


送信ボタンを押した瞬間、すぐに既読がついた。

間をおかずに、返事が届く。


「日曜、大丈夫です。楽しみにしてますね」


画面を見つめて、彼は微かに笑った。


ただの飲み会だったはずの夜に、ほんの少しだけ光が差した気がした。

心のどこかで「この日を忘れたくないな」と思った。

次の日曜、彼はまたあの笑顔に会える。


第五章:君と過ごす、普通で特別な日


日曜日の午後、まだ少し肌寒い風が吹く駅前。

彼は少し早めに着いた改札口で、胸の奥を静かに整えていた。


数分後、澪が現れた。

オフの日らしい、やさしい色のワンピース。

髪をゆるく結んで、笑顔を見せた。


「待たせちゃいましたか?」

「ううん。今、来たところ」


2人の最初のデートは、映画とCDショップ、そして甘いもの。

きっかけは、あの夜CDショップの前を一緒に通った時。

澪さんが「back number好きなんです」と言ったあの一言。


あれから、彼はそのCDショップに一人で行って、アルバムを買った。

そして、彼女に会うまでの間、何度も繰り返し聴いていた。


映画は澪さんのおすすめの邦画だった。

重たすぎず、でも胸に何か残るような物語。


エンドロールの間、2人は無言だったけど、それが嫌じゃなかった。

心に沁みた静けさだった。


「…よかったですね」

「うん。なんか、あのセリフ、ちょっと刺さった」

「どの?」

「“自分が誰かに何かを与えることができる人間なんだって、初めて思えた”ってやつ」

「…わかります。私も、ちょっと泣きそうでした」


映画のあと、自然な流れでCDショップへ。

先週と同じ通り、同じ入り口。

澪さんが足を止め、彼を振り返った。


「入ってみませんか?」


彼はうなずく。2人でback numberのコーナーへ。

試聴機の前に「オールドファッション」の文字があった。

彼がイヤホンを片方外して、澪に差し出した。


「…一緒に聴こうか」


「はい」と言って、澪さんは受け取る。


澪さんはイヤホン越しに、小さく笑っていた。

彼の胸が、ふっと温かくなる。


そして夕方。

ドーナツ屋のカウンターで、2人の視線がショーケースに並ぶ「オールドファッション」に同時に止まった。


「これ、好きなんですよね」

「俺も。結局こういうのが一番美味しいんだよな」


2人分のドーナツとコーヒーを持って端の席へ。

甘いドーナツの香りとコーヒーの香ばしさが、やさしく混ざる。


「今日は…楽しかったですね」

「うん、なんかもう、時間があっという間だった」


澪さんは少し迷ってから言った。

「また…行けたらいいなって、思ってます」


彼は、その言葉を、胸の奥でそっと抱きしめた。


「うん。俺も、同じこと考えてた」


夕焼けが窓を染めて、街がほんの少し、やさしく見えた。

普通の一日が、少しずつ、特別になっていく。

まるで、あの歌みたいに。


第六章:ふたりの距離が、少しだけ近づく日


澪さんの勤める幼稚園は、今日もにぎやかだった。


「せんせいー! みてー!」

「おお、上手に描けたね!」


子どもたちに囲まれて笑う澪を、同僚の先生たちは温かい目で見守っていた。


「ねぇ、澪ちゃん」

給食の時間、隣の席に座った同僚の、高野真理 先生が、にやにやしながら話しかけてきた。

「最近さ、なんか雰囲気変わったよね?」


「え?そうですか?」


「うんうん、なんかこう……いい意味で“女の子してる”って感じ。もしかして……彼氏できた?」


澪は咄嗟に笑ってごまかす。

「ちがいますよ、そんなのじゃ……」


「えー?なんか怪しいなあ」

「ほんとに違いますってば……」

でも、心の奥でちょっとだけ、肯定したい気持ちがあった。


その時、ポケットのスマホが震えた。

こっそり画面を見ると、彼からのLINEだった。


「今度、よかったら動物園に行きませんか?」


胸がどくんと鳴った。

彼の優しい声と、こないだのデートの帰り道がよみがえる。


澪は少し頬を赤らめながら、指先で文字を打つ。


「はい、行きたいです。来週なら空いてます」


送信ボタンを押すと、彼の反応が気になって、少しそわそわしてしまった。

「……やっぱり、なんか変わったかも」

真理先生が小さく笑った。



一方その頃、彼は会社の昼休み中。

コンビニで買ったサンドイッチを食べながら、スマホを見ていた。


上司に頼まれた資料の修正に追われる毎日。

同僚とは仲もいいけど、どこか、誰かと深く関わるのが少し苦手だった。


でも、澪さんと出会ってから、少しずつ何かが変わってきた気がする。


「俺、こんなふうに誰かを誘うなんて、いつ以来だろう…」


LINEを送った後も、既読がつくたびに少し緊張してしまう。

でも、すぐに返信が届いた。


「はい、行きたいです。来週なら空いてます」


その言葉に、心がふわっと軽くなった。

「……よし、頑張ろう」

午後の仕事にも、自然と気合いが入る。



ふたりの距離は、まだ恋人とも言えないほどの近さ。

でも、確かに歩み寄っている。


週末に向けて、心のどこかがそわそわしているのを

お互いに、まだ言葉にはできなかった。



第七章:動物園デート


週末の午前。空は薄曇りで、少し肌寒い風が吹いていた。


「悠斗さん、お待たせしました」


駅前で待ち合わせをした澪が、小さく頭を下げて現れた。

白いブラウスにベージュのスカート、落ち着いた色のカーディガンを羽織っていて、普段の職場での雰囲気とはまた違う、大人びた表情だった。


「いえ、僕も今来たところです。……澪さん、すごく似合ってます。今日の服」


「えっ、ありがとうございます。悠斗さんも、私服だとまた印象が変わりますね。帽子、すてきです」


少し照れくさそうに目をそらす2人。

だけどその緊張感は、会話が進むにつれてゆっくりとほぐれていった。


電車に乗って数駅。動物園の最寄り駅に到着し、入園ゲートを通ったとき、澪がふと空を見上げて言った。


「なんだか……小学生の遠足みたいですね」


「そうですね。僕もそんな気がしてました。……あ、ちょっと聴いてもらってもいいですか?」


そう言って悠斗がスマホの画面を開き、再生ボタンを押すと――

スピーカーから、back numberの『オールドファッション』が流れ始めた。

 

  澪がくすっと笑った。


「覚えてたんですね、あのとき話したこと」


「ええ。澪さんが“この曲、好きなんです”って言ってたの、ちゃんと覚えてますよ」


園内は、家族連れやカップル、学生たちでにぎわっていた。

その中を、悠斗と澪は並んで歩いた。まだ手はつながない。けれど、距離は少しずつ近づいていた。


「澪さんは、どの動物が好きなんですか?」


「カピバラ……かな。のんびりしてて癒されるんです」


「意外と……予想通りかもしれないです。僕はライオンが好きですけど、澪さんには“落ち着いた方がいい”って言われそうだなって」


「ふふ、ばれてますね」


動物を見ては、立ち止まり、写真を撮って、お互いにスマホを見せ合って笑う。

自然と会話は尽きることなく続いた。


午後、園の外にあるカフェで軽くランチをとったあと、2人は近くのドーナツ店に立ち寄った。

それぞれショーケースを覗き、ほぼ同時に指差したのは――


「オールドファッション、ですね」


「澪さんも?」


「はい。定番って、なんだか落ち着くんですよね」


「ですね。……CDショップで話した曲と、同じ名前ですし」


席について、ドーナツとアイスコーヒーを前にして、2人はイヤホンを片耳ずつ分け合って、back numberの曲を一緒に聴いた。


オールドファッションのやさしいメロディが、静かに流れる午後のカフェを包んでいた。


帰り道、電車の中で澪さんは少し眠たそうだった。

「大丈夫ですか?」と声をかけると、澪は軽くうなずいて、悠斗の肩にそっと頭を預けてきた。


悠斗は動けなくなったまま、ただ車窓の外を見つめていた。

胸の奥で、何かが静かに、だけど確かに、動き始めていた。



第八章 ふたりの歩幅


週明けの月曜日。

悠斗は、いつもより少しだけ早く会社を出た。週末の動物園デートの余韻が、まだ胸のどこかに残っていた。彼女の楽しそうな表情。動物を見つけては無邪気に笑う姿。ドーナツを半分に分けて笑い合ったあの時間。全てが、今までのどんな日常よりも温かかった。


「また、会いたいな…」


そんな思いを抱えながら、スマートフォンを確認すると、彼女からのLINEが届いていた。



澪 

「今日はお疲れさまでした☺️」

「子どもたちが”せんせい、最近楽しそう!“って言ってくれて、ちょっと照れちゃいました笑」


澪さんは、幼稚園の先生として日々子どもたちと向き合っている。

週末のデートが影響したのか、クラスの子どもたちにも彼女の変化は伝わっていたようだった。

「“彼氏できたんじゃない?“って同僚に冷やかされましたよ〜」なんてメッセージも添えられていて、悠斗は少し照れくさくなりながらも笑った。


悠斗

「その子どもたち、観察力ありますね笑」

「澪さんが笑ってると、周りも自然に楽しくなるんですよ。僕もそうでしたから。」


   送ってすぐ返信がきた


「うれしいなぁ…☺️」

「また、どこか行きませんか?」

「今度は水族館とかどうですか? 私、クラゲが好きなんです。」



その提案に、悠斗の心は温かくなった。

“ふたりの歩幅”が、少しずつ、でも確実に近づいている。

そんな実感が胸を満たす。




夜、彼女の「おやすみなさい」のメッセージを見て、スマホをそっと伏せた。

明日が、また楽しみになる。

そう思える日々が、こんなにも愛おしいだなんて。



第九章 君と見る光、心に浮かぶ決意



休日の午前十一時。水族館のエントランスには、カップルや家族連れが並び、楽しげな声が飛び交っていた。

その少し離れた場所で、悠斗はスマホを確認しながら、そわそわと彼女の姿を探していた。


「……あっ、澪さん」


やや遠くから小さく手を振ってくる澪の姿。

淡いブルーのワンピースに白いカーディガン。彼女の服装は水族館の静かな青の雰囲気にぴったりで、思わず見とれてしまいそうになる。


「ごめんなさい、待たせちゃいました?」


「ううん、俺も今来たとこ」


言いながら、悠斗は目線をそらした。緊張しているのが自分でも分かる。


澪さんが小さく笑って、「行きましょうか」と言う。


館内に入ると、広がる水の世界。照明が落ち、目の前に広がる大水槽に、小さな魚たちがきらきらと泳いでいた。


二人は並んで歩きながら、ゆったりとした時間を過ごす。

やがてクラゲの展示エリアにたどり着いたとき、澪が「ここ好きなんです」と呟いた。


「クラゲって、柔らかくて、でもずっと流れてて……なんだか、癒されるんですよね」


「うん、分かる。光に透けてて、きれいで……でもどこか儚くて」


しばらく二人は言葉もなく、その幻想的な景色に見入っていた。

それは、まるで水の中で心まで浮かんでいるような、静かでやさしい時間だった。


その後、イルカショーの時間が迫り、二人は会場へと移動した。


「悠人さん、あそこ空いてますよ」


「澪さん、結構テンション上がってる?」


「はい、動物園よりテンション高いかもです」


イルカがジャンプするたびに拍手して笑う澪の横顔を、悠斗は何度もちらっと見た。

(この人といると、時間がすごく早く過ぎるな……)


ショーのあと、二人は館内のレストランで昼食をとることにした。

魚をモチーフにしたランチプレートに澪さんは嬉しそうに目を輝かせた。


「こんなのかわいいですね。子どもたちが喜びそう」


「澪さん、やっぱり子どもといるときもこういうの選んでるんだ?」


「ええ、園の子たちも好きですよ、こういうの。朝倉さんも、案外子どもに好かれそう」


「どうだろ……でも、保育園とかの発表会に行ったら普通に泣いちゃいそうだな」


「それ、わかります」

ふたりで笑い合いながら食事を終えると、外は少し陽が傾き始めていた。


水族館を出て、駅までの道をゆっくり歩く。


「……今日はありがとう。すごく楽しかったです」


「俺も。澪さんといると、あっという間に時間が経っちゃう」


その言葉に、彼女は少しだけ顔を赤らめ、視線を下に落とした。


(次に会ったとき、伝えよう)


改札の前で軽く手を振って別れたあと、悠斗は改めて空を見上げた。

優しい夕焼けが滲んでいる。胸の奥に、静かな決意が灯っていた。


—中谷澪に、次に会ったとき、想いを伝えよう。



第十章 来ない返事、届かない声


日曜日の午後、窓の外には柔らかな日差しが差し込んでいた。

悠斗はソファに座り、スマホを見つめながら少しだけ緊張していた。


数日前、水族館の帰り道で決めた想い。

その一歩を、今から踏み出そうとしていた。


LINEの画面を開き、数秒迷ったあと、メッセージを打ち込む。


「来週、ご飯行きませんか?」


相手はもちろん、中谷澪。

彼女と最初に出会った、あの居酒屋。あの場所に、もう一度二人で行けたら——そんな願いも込めて、提案した。


数分後に「行きましょう」という短い返信が来て、悠斗の胸がふわりと軽くなった。


「じゃあ、来週の日曜、18時に例の居酒屋で」


「わかりました☺️」


それからの一週間は、少し浮ついた気持ちのまま、いつもより仕事も早く終わらせてしまうほどだった。

服も髪も、少しだけ整えて。何を話そうか、どんな表情で告白すればいいのか、そればかりを考えていた。


そして、日曜の18時。

悠斗は例の居酒屋の前に、約束通りに立っていた。


春の夜風はまだ少し肌寒く、彼はスマホを取り出して時間を確認した。


——18:02。


(ちょっと遅れてるだけかな)


そう思いながら、店の入口近くに立ったまま、彼は何度も周囲を見渡した。

澪が来たときにすぐ気づけるようにと。


——18:20。


(電車遅れてるのかな……?)


LINEをひとつ送る。


「大丈夫? どこかで迷ってるとかじゃないよね?」


既読はつかない。


それでもしばらく待った。来ると信じていたから。


——19:10。


焦りと不安が入り混じって、彼は電話をかけた。

しかし、コール音が数回鳴っただけで、無情にも切れてしまった。


(なんで……?何かあった?)


もう一度、LINE。


「心配してる。何かあったなら、教えてほしい」


——既読はつかない。応答もない。


あの水族館での笑顔。ドーナツ屋でのやりとり。澪のまっすぐな瞳。

すべてが、まるで幻のように遠のいていく。


——20:00。


店員が申し訳なさそうに、「ご予約のお時間、どうされますか?」と声をかけてくる。

悠斗は「もう少しだけ待ちます」と微笑んで応えたが、その声には力がなかった。


——21:30。


外に出ると、街の明かりがにじんで見えた。

悠斗はもう何も言わず、スマホの画面を一度見つめて、それからポケットにしまった。


彼の心には、ひとつの問いが残されていた。


なぜ、来なかったのか。


そして、


なぜ、何も言わなかったのか。




第十一章 眠る人へ


連絡が途絶えてから、二週間が経った。


悠斗の日々は、平凡で、無味無臭だった。

仕事に行き、食事をして、眠る。

そんな毎日が流れていく中、唯一変わらなかったのは——澪のことを、毎日思い出すことだった。


(何か、あったんだろうか……)


既読がつかないLINE。

繋がらない電話。

彼女は突然、悠斗の前から姿を消した。


帰宅途中、スマートフォンが震えた。

画面には知らない番号。


一瞬ためらったが、胸の奥のざわめきに従って、通話ボタンを押した。


「もしもし…朝倉さんですか?」


女性の声だった。落ち着いていて、でもどこか緊張が混じっていた。


「中谷澪さんの同僚の高野真理と申します。

急に連絡してすみません。実は——」


病院。

事故。

意識不明。


その言葉ひとつひとつが、胸に重くのしかかる。

足が震えるのを感じながら、悠斗はすぐさまタクシーを拾い、病院へと向かった。



静まり返った病室。

白いシーツの上に横たわる彼女。

中谷澪は、まるで眠っているかのように、静かに呼吸していた。


額に包帯。

点滴の管が繋がれた手。

事故の痕跡は、現実を突きつけてくる。


「……澪さん」


呼びかけても返事はない。

当たり前だ。

それでも、悠斗はそっと椅子に座り、その手をそっと握った。


(あの日、居酒屋に向かってくれてたんだな……)


交差点で信号を渡る途中、車にはねられたと聞いた。

財布の中にあった名刺から職場を割り出し、そこから彼に連絡が届いたという。


「……どうして何も言ってくれなかったんですか」


問いは、自分に向けたものだった。

もっと強く繋がっていれば、もっと早く駆けつけられていれば——そんな“もしも”ばかりが胸をよぎる。



数日後。


いつものように病室で眠る澪のそばにいた悠斗の前に、病室のドアが静かに開いた。


見知らぬ中年夫婦。

彼女の——ご両親だった。


軽く会釈をし、ふたりはベッドに近づくと、眠る娘の顔を見つめ、涙を浮かべた。


「あなたが、朝倉さん……ですね?」


「はい。……初めまして」


「澪から、話は聞いていました。居酒屋で出会ったって……CDショップの前を通って、同じ曲の話をしたって」


言葉に詰まりながらも、悠斗は出会いからこれまでのことを、ゆっくりと話した。


そして最後に、静かに目を閉じ、言った。


「まだ、この気持ちは伝えていません。

でも——私は澪さんのことが好きです。

目を覚ましたら、ちゃんと伝えようと思っています」


一瞬の沈黙。

その後、澪の母がぽろりと涙をこぼしながら、笑った。



「どうか、澪に、ちゃんと伝えてあげてください」



「はい。……必ず、伝えます」



悠斗は、深く頭を下げてから病室を出た。

廊下に出ると、夕焼けが病院の窓に差し込んでいた。


(もう少しで、伝えられる。きっと、もうすぐだ)


そう信じながら、悠斗は病室を出た。




第十二章 壊れた言葉、変わらない想い


澪さんが入院して、三週間が経ったある日の午後。

俺のスマホが震えた。


「朝倉さん、澪が……目を覚ましました」


あの日と同じように、同僚の高野さんの声だった。心臓が早鐘を打つ。急いで準備をし、病院へ向かった。



病室のドアを静かに開けると、

白いベッドの上で、澪さんが窓の外をぼんやりと見つめていた。


ずっと、待っていた。

この瞬間を。

ようやく、会えた——


「……澪さん」


名前を呼んでも、返事はなかった。

声を少し強めても、無言のまま。

不安を感じながら近づき、そっと肩をトントンと叩くと、ようやくこちらを向いてくれた。


でも、その瞳には、俺の姿は映っていなかった。

まるで、知らない人に会ったかのような、無表情。


その時だった。後ろから声がかかる。


「朝倉さん……お話があります」


澪さんのご両親だった。

表情は重く、少し震えていた。



談話室で聞かされたのは、思いもよらぬ現実だった。


交通事故の衝撃で、脳の一部が損傷。

その影響で言語障害と高次脳機能障害を抱えることになってしまったという。


「もう……娘は、言葉を話すことも、思考をうまく整理することもできません」


母親は泣きながら、俺に説明した。

俺も、胸の奥が張り裂けそうだった。

でも、涙は出なかった。不思議なほどに、乾いていた。


もう、彼女の声を聞くことはできない。

言葉を交わすことも、きっと、理解し合うことも。


それを失うことが、こんなに怖いなんて。


「この前、“気持ちを伝えて”と言いましたが……

やっぱり、澪とはもう会わないでください。

あなたが、もっと傷ついてしまうから」


父親のその言葉に、俺は震える声で叫んだ。


「嫌です。……お願いします。会わせてください!」


何度も、何度も頭を下げてお願いした。

でも、聞き入れてはもらえなかった。


「すみません。どうか……どうかもう来ないでください」


その言葉を背中に、病院を出た。



その夜。

部屋に帰り、スマホのアルバムを開いた。


水族館のクラゲの前で見せてくれた笑顔。

映画のあとに並んで買ったドーナツ。

そして、あのCDショップの前で一緒に話した、back numberの「オールドファッション」。


俺は、その曲を再生した。

彼女の声を思い出しながら、何度も聴いた。

けれど、涙はやっぱり出なかった。


——諦めるなんて、できなかった。




次の日から、俺は病院へ通った。

拒絶されたって、無視されたって、何かができると信じたかった。


病室の澪さんの横、机の上には小さな折り紙や園児からの手紙があった。

「せんせい、はやくよくなってね」

「またあそんでね」


胸が締め付けられた。

彼女が、どれだけ多くの人に愛されていたかが、そこにあった。


俺は、毎日話しかけた。

彼女に届いているかなんて、わからない。

でも、それでもよかった。


「今日さ、仕事で思いっきり怒られたんだ」

「こないだテレビでペンギン見たよ。前、水族館で見たやつ」

「ドーナツ、久しぶりに食べたよ。やっぱオールドファッションがいちばんだった」


何の返事もなくても、俺は話し続けた。




ある日、ご両親が病室に来た。


「朝倉さん、なぜ……なぜ毎日来るんですか。

澪はもう、話すことも、あなたのことを理解することもできないんですよ?それでも……なぜ?」


俺は少し黙ってから、ゆっくり口を開いた。


「彼女が、仕事の話をしている時も、CDショップの前で音楽の話をしていた時も、水族館でクラゲを見ていた時も、ドーナツを一緒に食べていた時も……俺は、彼女の笑顔が大好きでした。心が温かくなるんです。だから——」


深く、深く頭を下げた。


「どんな形でも、彼女のそばにいたいんです。だから……そばにいさせてください」


しばらくの沈黙の後、ご両親が小さく頷いた。


「……わかりました。会いに来てもいいです。

でも……毎日は無理しないでください。朝倉さんも、お仕事がありますから」


「ありがとうございます。……ありがとうございます」


何度も何度も頭を下げながら、俺は決めた。


この気持ちはもう、ただの“恋”なんかじゃない。

声が届かなくても、心が届くまで、俺はここにいよう。


——どんな形でも、君のそばに。




最終章 「オールドファッション」



仕事をできる限り早く終わらせて、病院へ向かう。

それがいつしか、俺の毎日になっていた。


休みの日には、車椅子の澪さんを中庭に連れ出す。

風の匂いと、淡い花の香りが混じる季節。


「澪さん。ほら、綺麗ですね」


そう言って花を指さしても、彼女はやっぱり反応しなかった。

無表情で、何かを見ているような、でもどこも見ていないような目で。


それでも、通い続けた。

彼女が好きだから。

言葉じゃなくても、伝えたい気持ちがあるから。



そして、季節がまたひとつ巡った頃。

彼女は退院した。


まだ歩くことはできず、車椅子の生活。

一人暮らしを諦め、実家のある世田谷区へ戻ることになった。


それでも、俺は彼女に会いに行った。

休みの日には電車に揺られ、澪さんの家の前に立った。


海にも行った。

夜景を見に山にも登った。

公園で散歩もした。


「今日はどこ行こっか?」


そう声をかけても、彼女は相変わらず何も言わず、表情も変えなかった。

けれど俺は、それでもいいと思っていた。

一緒にいられるだけで、俺には十分だった。



その日、いつもと同じように並んで歩いていた時。

ふと澪さんが、何かをじっと見つめていた。


視線の先には、懐かしいオールドファッションの看板。


そう、あの日。

ふたりで同じドーナツを選んだ、あの店だ。


「……ドーナツ、食べに行こっか」


俺がそう言うと、彼女はうっすらと頷いた気がした。

胸が熱くなった。



店に入って、席に座った。


いつもと変わらず、俺たちはオールドファッションを選んだ。

会計を済ませ、席に戻ろうとふと彼女を見ると、澪さんが俺の方を見ていた。


何かを……言いたそうに。


席に着いた瞬間、彼女はオールドファッションを見つめながら、口を、少しだけ開いた。


「澪さん?……どうしたの?」


すると彼女は、ゆっくり、震える声で言った。


「……悠人さん……あの時……行けなくて……ごめんなさい」


その言葉に、胸がいっぱいになった。


「ううん……いいんだよ。澪さんが、無事でいてくれて、それだけで……」


気づいたら、俺は真っ直ぐに彼女を見つめていた。


そして——


「澪さん。俺と、付き合ってください」


店内のざわめきも、他人の目も、何も気にならなかった。

ただ、彼女に伝えたかった。


澪さんは、しばらく俺を見つめたあと、ふっと笑って——小さく、コクリと頷いた。


その笑顔は、あの水族館でクラゲを見ていた時の笑顔に、よく似ていた。


「やっぱり……オールドファッションですよね」


そう言った彼女の声が、今までで一番やさしく、あたたかくて。

俺は、たまらず——初めて、涙を流した。



「うん。だね……すごく、美味しい」


そう言った時、彼女も、ちいさく笑った気がした。


それだけで、世界はもう、十分だった。


心だけは、ちゃんとここにいるよ」



番外編:「あなたの声」


目が覚めた時、私は病室の天井を見ていた。

そこがどこなのか、すぐにはわからなかった。


頭が重くて、声を出そうとしたけれど出なかった。

…誰かが私の名前を呼んでいる。けれど、意味が掴めない。

声が、遠くでこだましているだけみたいだった。


気づけば両親が泣いていて、知らない人が見舞いに来ていた。

でも、どこかで見たことがある気がした。

その人が話しかけてくれても、何も言葉が浮かばなかった。


名前も、記憶も、感情も、全部が曖昧だった。


だけど——

その人は、何度も病室に来てくれた。

何度も、同じように笑ってくれた。

「今日はこんなことがあったよ」って、話してくれた。

…それが、とても心地よかった。


名前は……朝倉 悠人さん。

彼の言葉から、少しずつ思い出していった。

あの日、居酒屋で出会って。CDショップの前で、back numberの「オールドファッション」の話をして、

水族館に行って、夜景を見に行って、ドーナツ屋さんで笑い合った。


あぁ、そうだ。私は——

あの人と、恋をしていたんだ。


だけど言葉はまだうまく出てこなくて、笑顔も作れなかった。

だから、私はただ毎日、彼の顔を見ていた。

心では何度も言っていた。


「ありがとう、待っていてくれて」


でも声にはならなかった。



退院して、実家に戻った。

体もまだ自由に動かない。

それでも、彼は変わらずに私に会いに来てくれた。


海を見て、夜景を見て、花を見て、

私の何も反応しない表情に、彼は微笑んでくれていた。


そんな日々の中で、私は少しずつ、少しずつ……

気持ちを取り戻していった。

私が私であることを思い出していった。



そして、あの日。

彼と並んで歩いていたとき、ふと目に入ったのは——

あの、ドーナツ屋さんの看板だった。


忘れもしない。初めて手を伸ばして選んだオールドファッション。

それが偶然、彼と同じで。

「やっぱ、オールドファッションですよね」って、

ふたりで笑い合ったあの時間。


私の中で、止まっていた歯車がゆっくりと動き出した。


「……ドーナツ、食べに行こっか」


彼のその言葉に、私はうっすらと頷いた。



店に入って、席に座って、オールドファッションを選ぶ。

彼がドーナツを持って戻ってきた時、私の中に何かが走った。


あの時、私が言えなかった言葉。

あの時、私が伝えたかった気持ち。


口が、自然と開いていた。


「……悠人さん……あの時……行けなくて……ごめんなさい」


声が出た。

出たんだ。

彼が私の名前を呼ぶたび、私の心が目を覚ましていった。

それが、ようやく声になった。



「ううん。いいんだよ。澪さんが無事でいてくれて、それだけで……」


優しい声。

変わらない瞳。

ずっとそばにいてくれた人。


「澪さん。俺と、付き合ってください」


——嬉しかった。

ただ、それだけだった。


私は、言葉ではなく、首をコクリと頷いた。

そして、少しだけ、笑ってみせた。


「やっぱり……オールドファッションですよね」


涙が、彼の瞳からこぼれた。

私の心にも、じんわりと温かいものが広がっていった。


言葉は、まだうまく出ないかもしれない。

これから先、どうなるかもわからない。


でもきっと、彼となら大丈夫だと思えた。


彼がいたから、私は——

また、生きていける。

「記憶とオールドファッション〜届かなくても思いはそばに〜」を読んでくださったあなたへ


ここまで物語を読んでくださって、本当にありがとうございます。


朝倉悠斗と中谷澪の関係は、最初から完璧だったわけではありません。

すれ違いや、沈黙、言葉にできない想い。

そして、想像もしなかった別れの予感——

それでも、「好き」という気持ちを信じ続けた二人の歩みは、

決して派手ではないけれど、とても強く、優しく、尊いものでした。


恋というものに「正解」はないと思います。

大切なのは、「この人のそばにいたい」と思う気持ちに、

どれだけ素直になれるか——。

何が起きても、変わらずに寄り添い続けようとする勇気があるかどうか。


back numberの「オールドファッション」が歌うように、

言葉じゃうまく言えないけど、

それでも「好き」と伝えたい。

一緒にドーナツを食べて、笑い合いたい。

そんな素朴で、まっすぐな愛情こそ、

一番大切なものなんじゃないかと、改めて思いました。


どんなに遠回りしても、

どんなに時間がかかっても、

誰かを愛することは、人生の中で最も“美しい選択”だと、

この物語が少しでもあなたに伝えられたなら幸いです。


また、どこかで。

ささやかな幸せを、誰かと分かち合えますように。


心からの感謝を込めて。

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