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訳アリ教師ふたりが異世界召喚に巻き込まれたようです  作者: 藤白春
追憶篇

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第31話

引き続きシロ視点です


 

 朝ごはんを食べ終わった私とクロは、レオンさんの依頼をこなすべく子熊食堂から出発した。


「はぐれないように、手をつなごうな」


 私とクロの手を握るレオンさんに、剣士なのに両手が塞がってしまってよいのか? と思ったが、ヤマトノ国のエドという街の中は治安が良い。


 それにAランク冒険者のレオンさんに喧嘩をふっかけるやつなんて、そうはいないか!


 勝手に想像して納得した私は、元気よく歩き出した。


 

 目的地は孤児院だ。

 情報収集のために子ども達の話を聞きたいが、同じくらいの年頃の子がいた方が話しやすいだろうと私達に依頼したらしい。


 「何を聞くんですか?」


 レオンさんに私が尋ねると【記憶を持つ者】に前世は何をしていたのか、聞き取りをして欲しいようだ。

 

「んじゃぁ【記憶を持つ者】っていうのは、前世の記憶を持っている人なんですね?」


 クロの言葉に「そうだ」と頷くレオンさん。


「前世の記憶持ちってカッコイイですねぇ」

「カッコイイかは分からないが、俺は自分以外の記憶を持っていると大変そうだなとは思ったな」


 私のカッコイイという言葉に、レオンさんは困ったような顔をした。


 生まれ変わったらスライムだったり鬼だったり卵だったり妖精だったり、自分の作ったキャラクターになってしまったなどなど。

 ネット小説ではよく見かけるお話だ。

 私からしてみれば「へぇ」くらいの感情しかない。


 だって私、死んだらワンモア自分なんだもん。

 私も、転生したら別人でした! の方がまだ良かったわ!


「持つ者は精神的不安定になりやすい。特に前世が人だった場合、前世の記憶が邪魔をして混乱し、暴れるといった例を見られる。皆成長とともに忘れていくから、あまり大事にはならないがな」

「そうでない人もいると?」

「あぁ、俺が知っている方は大人になっても忘れず『自分ではない自分が苦しんでいる』と言っていた」


 まぁ、言いたいことはわかる。

 私も生死を繰り返している。

 自分という根底が変わらないからこそ、ギリギリ一般人を保てているのか。

 それとも同じ境遇の人間が隣にいるから精神的に狂わないで済んでいるのか。


 私はチラリとクロを見る。


 今日も変わらず、十歳の可愛らしい少年姿。

 クロは私の視線に気づいて「どした?」と微笑む。

 私は「なんも」といって視線を前に戻し、繋いでいたレオンの手に力を込めた。




 子熊食堂がある冒険者通りは道が広くて、食料品の美味しい匂いが漂っていた。

 対して、職人街にある孤児院付近は道幅が狭かった。


 建物の上にさらに建て増したような建造物が多くて、デザインも統一感がない。

 好きなように物を積んでいったような場所だ。


 特に孤児院はシンプルな白い尖塔のある建物で、周りとは一線を画していた。

 無計画ではなく、念入りに計画された美しさ、と言えばいいかな。


 よく見ると神々の像らしきものが、石でできた門に彫られている。頭に花の冠を身につけている女性の像だ。

 花の神は子どもを守護する神様なので入り口にあるのだろう。


 この世界には神々がいて、稀に人々の前に姿を見せるという。その時にみた姿を彫っているのか、姿形はどの資料をみても統一感があった。

 頻繁に神様とお会い出来るものなのか、というか神様ってなに? と思ってしまうので、私は信仰者にはなれないだろう。

 



 レオンさんが事前に連絡していたらしく、壮年の女性が門の前で待っていた。

 女性は頭に黒のベールを被り、身体の線を隠すように大きめの白いワンピースを纏う。その上に黒いエプロンを着ていた。

 お、異世界ぽい! という私の感想は口から外へ出ていない。飲み込んだよ失礼だもの。


「お待ちしておりました。レオン様、お連れの皆様、ご案内いたします」


 案内されるがまま孤児院の中へ入ると、子ども達が沢山いて、視線が私達に集中する。

 私はレオンさんの手を強く握りしめた。


 正直子どもは得意ではない。

 養護施設にいた時も、幕末にいた時も、自分より年下の子達にどう接するのが正解なのかわからなかった。

 クロと仲良くなれたのは、クロが構ってきたからで。私は特に仲良くなろうとか思ったことは無かったし。

 それに自分の精神は一応二十歳をとうに過ぎた大人だ。今更子ども達と遊べと言われても、割と困る。お手本を見せてください……!


「お、新しい子だ」

「あのにーちゃん、紅蓮の獅子のレオンじゃね?」

「レオン様が見つけてきた子なのかな」

「レオン様の妹と弟とか?」


 こそこそとした声がレオンさんにも聞こえたのか「大丈夫だ」と言って私の手を握り返す。


 案内された客間へ入ると、子ども達の視線が消えた。


 私とクロはホッと息を吐いた。

 するとすぐに子どもの「あー! シロとクロじゃん!」という嬉しそうな声が聞こえ、私は視線を向ける。


 私達と同年代くらいの夕焼け色の髪の少年セキと、薄緑の髪の少女ヨウが廊下の向こうから走ってくる。


「あら、セキとヨウのお友達?」


 壮年の女性にセキとヨウが頷くと「お友達はお仕事で来ていますから、失礼のないように。終わったら遊んでもよいか確認をとってから遊びましょうね」と女性は二人を諭す。

 レオンさんも「聞き取りが終わったら遊んでいいぞ」と私達に言ってくれた。


 何をどう遊べばいいのか私はわからないので、クロに丸投げするつもりで私は頷いた。

 


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