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第2話 俺は昨今の流行りには乗りたくないんだよ!



 こんにちはこんばんは、俺の名前は空井次郎(そらいじろう)。高校二年生。

 得意な科目は国語、好きなものはアニメに漫画にゲーム。そして小説と言えばわかるでしょう。俺は生粋のオタクです。

 外には出たくないのでインドアオタクです。ほら最近のオタクってゲーセンに一日籠ってたり、イベントに行ったりして結構アクティブな部類も多いじゃないですか。

 俺はどちらかというと一人でアニメ観るか、オフラインでレベル上げか、漫画や小説を読んでる方が楽しい。だからインドアの中のインドア。俺が唯一外に出るのは学校くらいなものである。


 俺の学校内でのカーストは、自称中の下くらいだろう。所謂モブだ。俺のメンタルのために中の下と言い張る。

 極端に頭が悪い訳でもなく、顔も普通。オタク趣味も暴露していない俺ならば、中の上くらい狙いたい。

 だが、俺のクラスには【主人公】がいた。


 サラサラの金髪に、青い目。凹凸のはっきりしている顔立ち。祖父がイギリス人という設定盛り沢山の男の名前は『一之宮天翔いちのみやてんしょう

 見た目もさることながら、中身も正道を行く生粋の主人公だ。生徒会長とバスケ部の部長もやっている。学校内とはいえ肩書が多く忙しそうだ、俺は遠慮したい。

 そんな一之宮の幼馴染『火伏千尋うわせちひろ』はヒロイン枠のツンデレ黒髪ストレート。

 千尋の友人である姉御肌で日に焼けた肌と白い歯が可愛らしい『畑中梓はたなかあずさ

 あとよく一緒にいる生徒会役員の『滝下美樹たきしたみき』は背が平均より低めな三つ編み女子。


 ハーレム勇者物によくある相関図だよなこれ。実際あるのかと思っていた時もありました。

 一之宮は自分の席に座り女子三人と話している。俺は忘れていた現代文の宿題を超特急で解き、一之宮達の様子を横目で見ていた。

 モブには関係のない青春だ。正直俺は乙女なので、お相手はひとりでいいんですよ。

 それよりもこの宿題を片づけねば、先生の小言を喰らってしまう。


 現代文の先生は今年きた人で、深山真白先生という。

 前任の佐々木先生はお母さん先生という感じだったが、深山先生はさっぱりとした性格の先生だ。宿題を忘れた俺に深山先生は怒らない。だけど「あとで痛い目見るのは空井君だよ。てきとーでもいいからがんばんなー」と割とシビアなことを笑顔でいう先生だ。

 こういうタイプの先生はやばい、ちゃんと生徒をみてるからこそ誤魔化しが効かないんだ。がんばれ俺……。

 一之宮ハーレムに居ないタイプの先生なので、これがラノベだったらハーレム入りしてしまうんだろうか、見たくない画面だな。


 ちなみに主人公を持つクラスの担任は黒田海斗先生、体育担当の男の先生だ。

 黒田先生も体育教師にしてはアッサリとした性格で「てきとーにでもいい。やってる振りはしとけよー」という先生だ。

 黒田先生は基本優しいが慈悲がないと去年騒いでた集団がいた。マジで容赦ないことは証明済みだ。


 おっと噂をすれば、黒田先生が教室の扉を開けて「一之宮いるかー?」と主人公を呼んでいる。その後ろには深山先生がいて「空井君、終わった?」と声をかけられた。


「すみません深山先生、もう少しかかります」

「わかった、宿題はやってこそ意味があるからね。宿題を放置しない自分を褒めなさいよ」


 「今日の放課後までなら待ってる」と笑う深山先生は神だろうか。

 今は昼休みなので放課後まで終わる気がしないが、忘れた俺が悪いので「はい!」と返事をする。

 そんな俺と深山先生が話していると、一之宮と黒田先生の会話も聞こえてきた。


「一之宮、生徒会の体育祭企画書を放課後までに上げられるか?」

「はい、大丈夫です。先生方の参加はどうなりましたか?」

「職員会議で担任は強制、他の教師は参加自由で許可がおりたぞ」

「ありがとうございます。黒田先生には頑張ってもらいますよ」

「ははっ、まぁ頑張るよ」


 「じゃあ頼む」と会話を終わらせた一之宮と黒田先生。体育祭に先生たちが参加だと?

 数学の学校一可愛い兎山先生のジャージ姿を拝めるだと!? 胸元が、いや逆に大きめのジャージに隠して!? ……いかんいかん。

 そうだ、落ち着く為に深山先生も参加するのか聞いてみよう。先生が運動できるのか知らないが、スラリとした体型なので元運動部っぽいし、いや逆に運動音痴でもいい。


「深山先生も体育祭出るんですか?」

「オーバーキルだからでないよー」

「え?」

「何でもないよ。それじゃ宿題頑張って」


 「あ、授業中の内職はしないようにね」と釘を刺され俺は言葉に詰まる。

 オーバーキルって、深山先生もゲームとかしてるんだろうか。俺は首を傾げてから宿題に視線を戻す。

 

 先生二人が教室を扉を開ける音がした。

 目の前が真っ白になった。


 「え」と誰かが声を出す。

 不明瞭だった目の前が明確になり、幾何学模様のようなものが光り輝く床に俺達は座り込んでいた。

 目の前には黒い髪、黒い髭で豪奢な服装の男と俺達と同じ年齢くらいの美人な女の子。あとローブとか鎧を着こんだ人が複数。メイド服の女の人もちらほらいる。

 右をみても左をみても黒板どころか使い慣れた机すらない。

 上をみるとキラキラ輝くシャンデリア。

 前をみれば一之宮と上瀬、畑中、滝下。あと何故か子どもが二人。

 おわかりいただけただろうか。

 

 所謂、巻き込まれ召喚である。

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