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99.




「結界張る魔法陣なのは分かるけど、毎回耳守りたくなるんだよねぇ」

「え、何さっきの光……」

「リリアナ嬢が作った魔法弾。音と光が組み込まれてるがこれ光いらねぇな」


光は遮れないからあれだったけど、さっきの魔法陣は音から守るためのものだったのか。よかった。こんなところで魔法使うのかと……。


「威力高いし、俺だけ対象外れたの何…」

「治せるじゃん」

「ガキども優先は当たり前だろ」

「老害の耳が壊れたところで支障はない」


本当にこの人たち大丈夫なのか。さっきから攻撃しまくってるけど、相手の方が立場は上でしょ。いくら気にしないからってやりすぎでは。


「一番酷いのはリリーだからな」

「リリアナちゃんに甘いもんねぇ」

「呼びました?」

「……いつからいた?」


本当にいつからいたの。ヌルっと出てきたね。扉開いてないし、音もなかったけど。というか、また偽者とかないよね。


「第一様の耳は壊れてもいいの辺りから。入った方法は転移魔法です」

「リア~、治して」

「何度も言いますが、私はそこまで治癒魔法ができるワケではないので応急処置ですからね」


そう言いながらしれっと治してるのがなんとも言えない。あと、その手に持ってる紙は何。


「で、私をわざわざ追い出して何を?」

「昔話だ」

「……そうですか。ちなみに、面白いものが届きましたがいりますか?」

「面白いもの?」

「ちなみに神託って言う名の定期連絡なんですけど」


なんで神託のことを定期連絡とか言ってるのかは知らないけどそれ持ってていいものではないよね!?


「リリアナ嬢、もらっていいか。それと、できれば読めるようにしてくれ」

「このくらい読めてほしいのですがね」


持っていた紙を魔法陣に通すと紙が二枚に増え、片方をニーチェル公爵たちに渡す。


「……面倒だな」

「えぇ。ですが、確実に敵を消すためには最適解かと思いますよ。こちらの戦力は充分ですし、早期決着ができます」


神託は見てもいいのか分からないけど名にも言われないため普通に見ることにした。内容としては「月と太陽が重なる日に一人の神が目を覚ます。その前兆として何かが起こるため対処しろ」というもの。曖昧すぎるよ。まず何かが起こるって何が起こるんだ。それに、リリアナは何を消そうとしてるの。


「国の最高戦力をそう簡単に国外に出せるかよ。シエルとメルトは仕方ないとしても、ハゼルトが全員国外に出ている状態はまずい」

「ハゼルトが属する国、というだけでも基本的に侵略はされませんよ。もし我々がいない状況で侵略してきた人たちがいるとしても、ニーチェル公爵一人で相手取れるのでは?」


どっちも言ってることは合ってる。ハゼルトが属しているというだけでもこの国は世界的地位が高い。それだけハゼルトを敵に回したくないから。だから全員不在だとしても、その後の報復を恐れるだろう。けど、ハゼルトがいないという状況を好機と見る相手がいる可能性も充分ある。


「ハゼルトがいろと言うのならおじい様がいますし、侵略を恐れるのならあの子を出せばよろしいでしょう。あなたならば手綱を握れるのですから」

「……厄災を出すワケにもいかないだろ」

「ずいぶんな言われようですねぇ。敵味方の区別くらいはありますよ。理性のない獣ではないのですから」


あの子が何か分からないけど、ずいぶんな言われようだよね。ニーチェル公爵がこれだけ出すのを渋ってる理由も分からないし。


「区別なく破壊した結果かあの惨状だ。制御できるかも分からない奴は使わん」

「自分としても反対かなぁ。早期決着には向くけどその後の後処理やらの問題があるし」

「……なんでもいいけど、人のご主人様のことを厄災扱いやめてくれない?」

「じゃあ責任持ってあのわがまま姫の世話お前らがしろよ」

「誰がわがまま姫だって?」


ピタリと全員が動きを止めて、ゆっくりと声の主の方を見る。以前見たときと変わらない服装をしているゼロさん。ただ、顔を隠しているのに怒ってるのがすぐに分かるほどだ。






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