82.
無事にパーティーは終わり、元気なことに翌朝ティアナに突撃訪問されてシティアル公爵家に集まった。で、問題は……。
「なんであなたがいるのよ」
「誰かさんが聖女連れてこうとするから目付役の僕も来ないといけなくなったんだよ」
マリティアさんとナイジェルさんがバチバチなんだけど。仲悪いのかよそこ。関わりないでしょ。ついでとばかりにニーチェル公爵とフォルフィティア公爵もいるし。
「……お前ら我が物顔でいるけど、ここリリーの部屋な?」
「いいじゃん」
「当日の早朝から突撃されて部屋使わせろはさすがに親しき仲にも礼儀あり、だと思うのですが」
せめて許可を取ってから人を集めようか。毎回入れてくれるけど、普通はそんなことあり得ないから。
「毎回入れてくれるじゃん」
「全員集まってたら入れるしかないでしょう。朝から集められて帰されては迷惑ですし」
まず、なんで毎回シティアル公爵家に集まるのかも謎だしね。ニーチェル公爵家でいいじゃん。
「ここの方が盗聴される可能性がなくていいじゃないの」
「そのような心配をする必要のある話をしないでくれ、と言っているんです」
「わざわざ来たのよ? 今しないでいつするのよ」
殿下の誕生日だから来賓として参加しに来たのだろうけど、リリアナに何か伝えることがあったの?
だとしたら私たちお邪魔なのでは。
「マリー様の夢見はマチマチだから困るのですよ」
「夢見?」
「マリーの持つ祝福だよ。たまに夢で見たことが現実で起きる。未来予知を夢として見るんだ」
それで何かあったからこうして……。でもそれ、私たちが聞いていいのかな。リリアナにだけ伝えたいとかではないの?
「あなたたちにも関係あるのよ。あなたたちだけでなく、この世界の根幹と言おうかしらね」
「かなり大規模なものになるのか」
「えぇ、それに」
「それに?」
「……最悪、地上の生命が全て消える」
それって……。
「明確に核心を見れたワケではない。けど」
「そこに、私が映っていたんですね」
「………あなたが頑張っているのは知っているつもりよ。でも、これ以上彼らと関わりを持てば」
「だから縁を切れ、と言いたいのでしょうが、それは無理ですよ」
マリティアさんの言う彼らが誰かは分からないけど、そのままでいるとまずいんだよね? なのに無理って言うのは?
「あなたにあなたの役割があるように私には私の役割があります。何よりも、私の一存で伯父様たちを殺すような真似はできません」
「……まさかだけど、あなた」
「マリー様」
マリティアさんが何か言いかけたのをリリアナが遮る。それでもって、
「ちょっと!?」
「リリアナ、マリー、落ち着け!!」
マリティアさんはリリアナにいつでも魔法を撃てるようにしてるし、リリアナはリリアナでマリティアさんの首元に短剣突き立ててるしで、何が何やら。




