73.
七大悪魔って、嘘でしょ? かなりまずくないか。
「シエルとメルトは久しぶりね」
「最後に会ったのいつだっけ?」
「アディッサの誕生日」
平然と話さないでもらっていいですか!? いろいろ説明。てか知り合いかよそこ!
「ねぇ、これバレたら僕終わるんだけど」
「バレないバレない」
「いや、聖女にめちゃくちゃバレてるよ?」
その言い方だと、ラテさん以外にはバレても問題ないみたいに聞こえるのですが。
「わざわざ何しに来たんだよ」
「あいつからの言伝よ」
誰かは分からないけど、わざわざ七大悪魔を伝言役にする辺り、大分地位高いよね。七大悪魔なぁ。一人だけ知ってるんだよな。攻略対象だし。
あのゲーム、やり込み要素が多く、そのうちの一つに全キャラクターの攻略ルートを解放するとランダムで発生するイベントがあり、そのイベントで登場するのが攻略対象の一人、七大悪魔のヴァーミリオンだ。彼は暇潰しで地上に降りてきて、たまたまヒロインと出逢うことになる。一度会えばルートに行けるワケでもなく、ルートに入ってもまさかのランダム。つまり、難易度がクソでありほぼ無理ゲー。ビジュがとてもいいため、中には全てのイベントが起きるまでやり続ける人もいたそうだ。私も全員一回は攻略したいなとやってたけど、全然イベント発生しなくてガチギレした覚えがある。
「───」
スフィアさん? が何かを言うけれど、私たちが使う言語でなく、上手く聞き取れない。たぶん、悪魔たちが使ってる独自の言語。古語じゃない。
「………えっと、スフィア殿…でいいのか? 今のが本当だとするとこちらとしてはとてもまずいんだが」
「待て待て待て。リリアナ嬢と侯爵たちはいいとして、そこのお前らは理解できたのか?」
ゼクトも王太子殿下も理解してそうだよね。ユラエスはまぁ、ハゼルトだし? ハゼルトの教育受けてなくても理解はできるんだろうな。
「なんとなく」
「ちょろっとだけなら」
「普通に分かる」
この際理解できるできないはなんでもいいから、通訳してくれ。話についていけないよ。
「これ、言ったら」
「死にたいならお好きにどうぞ」
脅しが怖すぎる。しかも、結構ガチトーンで言うのやめてもらっていいですか。そのクセ笑顔なの怖すぎる。普通の人間はそういうのに対して耐性ないんですよ。
「なんか面倒重なりすぎじゃない?」
「呪いに関してもまだ片付いてねぇしな」
「しばらくは警戒ですかね」
なんか話終わりみたいな雰囲気だけど、結局なんだったの。
「とりあえず、警戒しておけって言うのと、今度一回顔出しに来いってだけだから」
「後日伺います。伯父様が」
「姪が行け」
「しばらく外出るの控えた方がいいねぇ。いつ帰る予定なの?」
「二日後」
うん。本当になんの話しか分からないからやめてもらっていいですか。半分以上話についていけてないんです。




