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68.




「そらまたえらいことに巻き込まれたもんやねぇ」


屋敷に半強制的に戻されると、ゼータさんに準備を頼んでくれていたらしく、私とリリアナはすぐにお風呂に入れられた。一人でできると言ったけれど、客人にさせられないとゼータさんにお世話される。恥ずかしい……。普通リリアナの方を手伝うのでは。生粋の令嬢なんだしさ。


「それで、なんで二人だけ落ちたの?」

「魔力に反応したか、誰かが意図的にやったかだが」

「どちらにせよ、連絡をしないとですね」


こんなことが起きてるし、やっぱり何かあるのか? そもそも、あの洞窟の結晶たちはなんなんだ。危険だからゲームでは出てこなかったのだろうけれど、それだけじゃないような気がする。

しばらくすれば先生たちが来たけど、なんでずぶ濡れなの。


「マジで最悪!」

「文句言うならまず乾かせ…」

「こんな歳で湖に落ちるとかあり得ねぇよ……」


落ちたのか。しかも、たぶん私とリリアナが落ちた洞窟の湖だよね。何しに行ったんだ。


「何があったら大の大人三人仲良く湖に落ちるんだよ」

「リリアナ嬢、あの木燃やせ」

「落とされたんですか」


何に落とされたのかがすごく気になるんだけど。なんで木を燃やすことに繋がるのかが知りたい。


「それで、結局何してきたの? 木って言うのは?」

「さっきも言ったがやってきたのは儀式。これに関しては機密だから話せん。木って言うのはあの洞窟に生息する特別な樹木で、全部で三つあるんだよ」


当たり前のように服や髪を魔法で乾かして話し始める公爵。あの、魔法陣見えなかったしなんなら無詠唱だったんですけど、なんでそんな高等テクニックできるんですかね。


「リリアナ嬢たちが落ちたのは【青の奇跡】。俺らが見てきたのは【赤の愛情】」

「その青やら赤やらはなんなのですか?」

「結晶の色ですよ。白、青、赤。それぞれの色の結晶と花を咲かせる樹木があるんです」


それで、先生たちは赤のところで湖に落ちたと。落とされたって言うのは、まさかだけど木が動いたとか言わないよね。


「お、勘がいいね。あそこにある木は【概念】そのものと言っても過言じゃないから動くよ」


なるほど。リリアナの言ってた彼らは【概念】か……。なぁんでそんなものがここにあるのかなぁ。というか、それも機密ではないんですかね。


「バレなきゃ犯罪じゃないんだぜ?」

「完全犯罪できるのが四人いるからな。大抵のことはもみ消せる」

「僕の立場がないからやめてくれないかなぁ」

「ナイジェル様はパイプ役じゃないですか」


それ、ラテさんの目の前で言っていいのかな。しれっとスパイって言ってるけど。いやまぁ、ハゼルト経由だしそういうことしてるんだろうなとは思ったけどさ。


「そもそも、あの方がトップな時点で終わってますし」

「あれでも分けてるからね。リリアナちゃんと一緒でしょ」

「あら、まるで私が表と裏が激しいみたいじゃないですか」

「実際そうだろ」


ゼクトにも言われてるけど。リリアナの裏……。やっぱり先生たちみたいな感じなのかな。






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