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64.




この結晶の光、確かに足下照らすだけなら使えるけど、長くはもたなそうだよね。消えたらどうするんだろうか。


「これが消える頃にまた別の結晶の場所に着くからそこで変えるんだよ」

「他にも光る結晶があるのですか?」

「奥に行けば魔力に反応するモノがある。そこまで行けばすごいものだよ」


洞窟を進んでいくけれど、ところどころ分かれ道があった。風の通り道になっているようで、薄暗いのも相まって少し怖い。


「道によっては落ちてく場所もあるから気を付けろよ」

「もっと速く言えよ」

「落ちることなんてそうそうないから安心してください。ここら辺に穴はありませんし、落ちても一番下に行くことはありませんので」


一番下は危険なのか。魔力を吸う結晶が群生してるのかな。それとも、また別の何かがある?

ゲームでは当たり前だけれどここは出てこなかったから謎ばかり。これが後々何かに影響するとかあるのかな。


「穴が急にできたりとかないよね」

「木の根が動かなければないし、もしそんなことがあったらここの奴ら処刑ものだな」

「大げさすぎない?」

「それだけハゼルトって一族はすごいんだよ」


ハゼルトがすごいのは分かりますけど、ドワーフって種族的にかなり高いですよね。勝てたとしても問題になりませんか?


「神族、悪魔、天使、堕天使。最上位種族たちに愛され、神々の名を与えられた特別な一族。もしそんなハゼルトの土地でそんなことすれば逆鱗に触れるかもしれないからね」

「神さまと神族は違うんだよね?」

「違いますね。神々は種族と言えるかも怪しいですから」


そういうものなのか。本当に、面倒くさいなこの世界。まとめてくれよ。分かりにくいし転生者に本当に優しくない。


「木の根は動くんだっけか」

「魔力に当てられて動くのがいますね」

「ここ基本的に変だからな」


私からするとこの森とというか、この世界が変だよ。ファンタジー世界に転生自体がおかしいんだけどもさ。こういうのってもっとのほほんとしてるのが乙女ゲームなんじゃないのる


「つか、遠くね?」

「前はこの辺りだったよね」

「ワンチャン嵌められた説ある?」


ついさっきそれあったら処刑って話してませんでした? そんな勇気あるのこの世界の住民って。


「………呑み込もうとしてますね」

「壊していいよな?」

「一度戻って出れなそうだったらにしよう。侯爵や魔塔に無許可でここを壊すのはまずい」


何が起きているのかはさっぱりだが、面倒なことになっているのは分かる。

引き返そうと来た道を歩いていると、


「……え、ちょ!?」

「は!?」

「リリー!?」

「カトレア嬢!」


先頭を歩いていたリリアナと私の足下が急に消え、浮遊感を感じたと思えば、落下する。浮遊魔法を……ダメだ。あれは人を浮かせられるものじゃない。下がどうなってるか分からないし、助かる方法が、


「アイリス様!」


最後に聞こえたのはリリアナの必死の声で、強く何かに身体を打ち付け、気を失った。






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