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61.




リオさんは何故ここにいるのかと聞くと、この辺りで死んだため常駐しているらしい。生きていないためここの住民たちから警戒されないから楽なのだとか。


「それに、ここにいればリリィが来てくれるからね」

「リリーちゃんとはどういう仲?」

「単にここにいたときに遊び相手になってもらってただけです。産まれる前に死んだのだから未練なんてないでしょうに」

「あるよ! 可愛い可愛い妹の生きてるところ見たいじゃん」


情報が多い多い。リオさんは産まれる前に死んでて、なおかつ妹さんがいるのね? てか、それなら妹さんのところに行くべきなのでは?


「そう簡単に会えないんだよ」

「遠いところにいるんですか?」

「……魔術師なんだよ。俺の妹」


妹さんが魔術師……。ということはリオくん。かなり年上? 見た目は私たちと同い年に見えるけど。


「正しく言うと時期魔術師で、会おうにも魔術師たちの許可が必要なんだよね」

「先生に頼んだりするのは?」

「そう簡単に会えませんよ。伯父様は侯爵だから会えますが、本来魔術師は自身の姓を捨てますから」


メルトさんは名乗ってたけど、あれは確か本来姿じゃないんだよね。殿下もいたし、礼儀としてだったのかな。


「リリーちゃんも、そのうち捨てるの?」

「……少なくともみなさんが生きている間は捨てませんよ」

「じゃあ一生捨てられないね」


一生はさすがにないんじゃ。リリアナの魔力量的に、かなり長生きするだろうし。


「私もゼクトくんもフォールトくんも、魔力量はリリアナちゃんと同じくらいだもん」

「……そうですね」

「それに、ゼクトくんは死んでもリリアナちゃんに憑いてそうだしねぇ」

「俺が先に死んだらまずお前呪ってからだな」


そんな日常会話みたいに死後の話をしないでよ。


「まぁ、この中で早死にしそうなの私なんだけどさ」

「お前は真面目に侯爵位狙いに行けよ」

「やだよ。書類仕事なんて性に合わないもん」


オリヴィエさんはこの年では珍しく婚約者がいない。本人が拒否しているからなのもあるけれど、一番は侯爵家を継げるワケではないし騎士団にいる物好きとして知られているからだろう。

オリヴィエさんには五つ下に弟さんがいて、その人が侯爵家を継ぐから、ある程度したら家を出ないといけないけれど、大丈夫なのかな。


「まぁ、途方にくれてたら雇ってよ」

「ハゼルトでなら雇いますよ」

「それはちょっと嫌かなぁ」






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