50.
リリアナのところにいる人を貸してほしい? なんでリリアナのところの人を?
「何故わざわざ彼女たちを? おじい様の部下がいるではないですか」
「それならば死んだ」
「……待て待て。あんたの下のが死んだのか?」
校長先生の部下の人が死に、その原因を調べるためにもリリアナのところのを貸してほしいらしいけれど、わざわざリリアナのところの人を借りる必要はない。それこそ、ハゼルト直轄の人とかは。
「送った者全員が死亡じゃ。身体は食われておってまともに戻ってきたのは腕や足のみ。魔力も食われていた」
「それいつ」
「二ヶ月ほど前じゃな」
「なんで早く言わねぇんだよ! マジでボケてんのかあんたは!!」
死んでも魔力は身体に留まる。だから顔が分からなくとも死んだ人が誰かの予測はできる。あくまで予測だから、確定でないため以前の呪い事件のようなことは起こるけれど。でも、その魔力がないとなると魔力を根こそぎ奪われてることになる。現状、そんな魔法は存在しない。
「あいつら動かすぞ」
「ダメです」
先生がたぶんだけどハゼルト直轄、または魔塔の人たちを動かそうと言ったのを止めたのはリリアナ。
「大事になればこちらの管轄から外れます。魔塔をが動けばなおさら」
「じゃあどうするのさ。君のところのは出払ってるはずだろ」
「【白藤の愛】たちを使えばいいでしょう。なんのために造らせた機関なのですか」
【白藤の愛】って、リアンくんたちのお姉さんだよね。その人の機関ってことは、結局魔塔が動いているのと同じなので? リアンくんたちを造ったのって魔術師なんでしょ?
「リアンたちは公開されていませんから、魔塔が秘密裏に動きたいときに使ういわゆる裏ルートなのですよ」
「つまり、彼らが動いても」
「我々は知らなかったで済ませられます」
やろうとしてることは残酷だ。何かあったら、向かわせた人たちを切り捨てると言っているようなもの。それでも、その残酷さは、平和な日常を守っている。とても皮肉だ。
「そういうことでアルファ。五分以内に支度してオメガと【尽きることなき欲】と動きなさいな。指揮権はしばらくの間おじい様に渡します」
「すまんの」
このあと少し用事があるからと、リリアナだけ退室。ゼクトが残るのはまた珍しいな。それに、話終わってないのでは?
「ユラエスや。あれから進展はあったかの?」
「……恥ずかしながら何も」
「やはり、難しいかのぉ」
「リリアナは領地でのこともあり家の者を避けていますし、父はほとんど帰ってきませんからね」
時期公爵であるユラエスと時期皇后であるリリアナ。けれどそれ以前に、二人にはハゼルトの血が流れている。皇族はハゼルトの血を取り入れ、御しやすくなるためリリアナと殿下の婚約を取り決めた。
「ニーチェル公爵からは、リリアナを魔塔に送るのはどうかという話もされました」
「魔法に囲まれ暮らす方がいいと判断したのだろうな」
「えぇ。父にも同じことを伝えているかと」
リリアナの力量的に、魔塔に行けば魔術師になることは簡単だろう。けどそのためには、家族の繋がりを断たなければいけない。
「……魔塔に送るというのはリリアナに関する記憶を全て消し去ることと聞きました。それは、本当なのですか」




