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44.




聖地に逃げた……てことは、生還してるってことだよね。それは、ハゼルトだからだよね? ハゼルトだけは無事だって前に言ってたし。


「聖地には精霊や魔物など、多種多様な種族がおり、私はハゼルトの者として生かされ、魔法の知識を与えられました」

「ゼクトくんは何してたの?」

「俺も一緒にいた」


じゃあ、ゼクトもそのときに魔法を? でも、ハゼルトじゃないのに出てこれてるのはおかしいよね。


「俺の話はまた今度。リリーはそのあと、精霊どもに魔法を教えてもらった。そんで、シエルたちが来たのが三つの頃……夫人が亡くなってしばらくしてだ」

「そのときにはもう既に多くの魔法を使っていて絞るにもってワケか」

「そういうことです」


ずいぶんと淡々と話しているけど、普通に使用人の人たち、職務放棄してるし目上の人間にすることじゃあないよね。


「それはとても簡単ですよ」


リリアナはにこやかに笑い、


「ハゼルトなど他の者からすれば化け物ですから」


空気を一気に重くする。


平然と言ってのけるリリアナは、たぶん分かってない。少しでも発言を間違えれば死ぬ。そんな空気が場を凍らせる。リリアナから発せられるものじゃない。たぶん、何か別の人がいる。この部屋にいないはずの何かが。


「オリヴィエ起きろ。ネズミ見っけるぞ」

「んー、もうちょい寝てたかったかも……。それに、いるのはリリアナちゃんの客だと思うよ」


オリヴィエさん、いつから起きてたんですか。今起きたって感じじゃないですけど。


「私は呼んだ覚えがないのですがね」

「……お許しください」

「びゃっ!?」


なんで私の後ろにいるの!? というか誰!


「………あんた、親父の」

「マスターより、リリアナ様への言伝があり参りました」

「今である必要は?」

「至急、ハゼルトの意を借りたいとのことです」


なんでリリアナなのかと思ったけど、先生を捕まえられなかったのかな。にしても、急だし、アストロさんがニーチェル公爵のって言ってたような。


「手短に」

「異端の魔法陣が既に六つ。ここを囲むようにあります。破壊することは可能ですが」

「破壊すれば発動する可能性があると」


なぁんかまずいことになってない? そんなシナリオ知らないのですがどうしてこんなことになった。


「ノアを貸します。指揮はあなたが取りなさい」

「申し訳ありません」


唐突に来て消えてって忙しいな? そして誰。


「……親父のとこのだよな?」

「ハゼルトで保護した孤児をニーチェル公爵に預けたんですよ。そのまま仕事を斡旋してもらったんです」


その仕事、かなり黒そうだけど大丈夫なのかな? リリアナの周りはヤバいことをしてる感じするんだけど。


「ノアってのは?」

「守護獣に名前付けてるんだよ…」

「……黒い龍だからノアじゃないよね?」

「…………ノーコメントで」


そうじゃん。絶対そうじゃん。それもう肯定してるのと一緒なんだよ。


「で、再従妹殿はあれをどうするの? 聞いた限りじゃまずそうだけど」

「何もしませんよ。彼は優秀ですし、彼の上は魔塔の信頼を得ています。下手なことはしません。何より」

「……敵は喧嘩を売る相手を間違えたね。同情するよ」


そりゃあ、国に喧嘩を売るのはヤバいし、リリアナの守護獣が出ていったのは同情しますけども。


「魔術師たちに叱られるよ」

「別に、そのときはそのときですよ」






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