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主にオリヴィエさんのための勉強会なのにオリヴィエさんが気絶してる状態なのは本末転倒なのではないだろうか。
「まぁ、他にもやることはあるから」
「リリアナ魔法学分かった?」
「話を聞く気がないです」
魔法学、分かりにくいんだよね。魔法実技は先生だから鬼畜なのはいつものこととして、魔法学はまた別の先生。けど、あれ教える気が感じられない。教えるのならまずは板書をしてくれ。そしてプリントを配れ。それから教師を名乗ってくれ。
「お前ら俺の魔法属性分かるか?」
「【闇属性】でしょ? よく使ってる」
「なら、リリーのは?」
リリアナの魔法属性? そう聞かれると、リリアナあんまり魔法使わないし、使っても多種多様って感じだから、決まった属性の魔法は使ってないよね。
「ユラエスは知ってるの?」
「リリアナには定まった属性はないよ」
どの属性の魔法も得意ってことなのかな。ハゼルトならあり得そうだけど、だとしても一つに絞らないか?
「使う属性を絞るのは魔法同士の反発を防ぐためなんです」
「【水属性】と【火属性】みたいに相性が悪かったりする属性を使うことで上手く魔法が使えなくなるのを防ぐために、だよね?」
「はい。ただ、それは魔法への抵抗力……耐性さえあれば別に使えるんです。例えば」
リリアナが指を鳴らすと火が出てきて、次に水、風、雷、土と五つの属性を出していく。
「このように、反発するとされている属性同士でも使うことができますし、魔法耐性さえ整っていれば強力な複合魔法も可能です」
「魔術なんかは他人が使うことなんて考えてないから自分の好きなように属性混ぜ合わせてる。だから真似ることはほぼ不可能なんだ」
魔法と魔術の違いだよね。魔法は基本的に一つの属性、もしくは高難易度のものだと二つの属性のもの。対して魔術は他人に使わせる気など一切なく、四つ五つの属性のものが平気である。
「魔法で複合魔法があるのは?」
「守護獣の存在が大きいな。例えば、俺なんかは元々【闇属性】だったのに守護獣の適応属性が【闇属性】なのもあって単一特化だ」
「対して、アイリス様は【風属性】ですがリヴァイアサンの適応属性が【水属性】のため、現在は二属性適正となっています」
自分の魔法属性とは別の守護獣であるために二つの適正属性ができるからってことね。難しいけど、魔法を使うことになったらそういうのを考えないとだから覚えないとなぁ。
「リリアナの場合は?」
「私……というか、ハゼルトは少し特殊で、基本的に偏りがありません。なので、本来なら本人が好きな属性を適正とするんですが、私はそれをしなかったんです」
「それはまたなんで」
「理由はいろいろありますが、一番は環境です」
環境って、何か問題でもあったのかな。それとも、何か別の。
「シティアル領はハゼルトの聖地に隣接しており、聖地に誤って領民が入らぬようにと屋敷が聖地を守るようにあります。聖地にはさまざまな種族がおり、もちろんそこには本来ならば人は足を踏み入れば二度と帰ってきません」
言い方的に、リリアナは入ったことがあるんだよね。
「……ハゼルトは本来門外不出。私を産んだお母様は呪われ、その原因となった私は、使用人たちに忌み嫌われ、聖地に逃げたのですよ」




