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41.




ふとした疑問で先生は天啓とやらを見たことがないのか聞くと、俺はないと言われる。俺はってことは、メルトさんが見たのかな。


「いや、見たのは姪だ」

「私?」


リリアナが見たことあるなら覚えてるだろうし、わざわざ魔術師に聞かずとも知ってるでしょ。昔すぎて覚えてない可能性はあるけど。


「覚えてないか? 俺らと会ってしばらくのとき」

「覚えてないかも何も、私から昔の記憶を抜き取ったのはそちらでしょう?」


リリアナの記憶を抜き取った? 先生たちが?

先生の方を見ると、そうだったなと言い、少し悲しそうな顔でリリアナの頭を撫でる。何か理由があったのだろうと分かる。だって、そうじゃなければそんな顔はしないだろうし、リリアナから記憶を抜き取る理由なんてない。


「リリーちゃんの夢が原因で抜き取ったの?」

「……いや、また別の理由だ」

「ずっとこう言って教えてくれないんですよ」


リリアナから取ったんだからリリアナには教えてくれないと思う。たまに子どもっぽいのは何故なのだろうか。ハゼルトと言えどまだ子どもなのは分かっているけど。


「それ嫌です」

「はいはい」


先生やメルトさんといるとき、リリアナはとても小さい子どもに見える。まるで、子どもが親に構ってほしさに突っかかるみたいな、そんな風に。


「アイリス様、どうかしました?」

「あ、いや……。相変わらず仲いいなぁって」


誤魔化せたかな。でも、仲いいってのは事実だし、リリアナが幼く見えるのも、信頼できるからこそ見れるものだと思う。


「そりゃ、姪が三つくらいのときから会ってるからな。少なくとも、ゼルメルよりは仲いい」

「ゼルメル……?」

「お父様のお名前ですよ」


シティアル公爵、ゼルメルって名前なのか。ゲームで出てこないから知らなかった。攻略対象と悪役令嬢の父親なのに出てこないというのも不思議だったけれど、やっぱり夫人が亡くなったことに関係があるのだろうか。


アメリア・フィリア・シティアル公爵夫人。

先生たちの妹で、皇帝陛下たちと同い年。私たちもそうだけど、謎に年齢が固まっていて、先生たちの代だと先生とメルトさん、ニーチェル公爵が同い年で他の皇帝陛下やシティアル公爵たちが二つ下で同い年。私たちと似たようなこと起こってるんだけど、どうやったんだか。


「公爵夫人は見たことがないですね」

「確か、体調を崩してたんだったか」

「私も見たことないですねぇ」

「……ん?」


リリアナも一緒に領地にいたんだよね?

公爵夫人は確か産後の体調が悪くて領地にいたはず。リリアナも領地にいたのは自分で言ってたし、見たことないはおかしくない?


「記憶ってそんなに根こそぎ取られてるの?」

「いえ、ゼクトたちといた記憶はあるので、本当に会ってないのだと」


そんなことあるか? 同じ屋敷にいた人を見たことがないなんておかしい。


「……ま、こういうのがハゼルトだ。お前らの常識は非常識って覚えとけ」

「逆でしょ逆。ハゼルトの常識が非常識」


しれっと私たちがおかしいみたく言わないでください。どう考えてもハゼルトの方がおかしいので。






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