33.
メリアさんたちを造った人が、【神子】候補。それなら、メリアさんたちみたいに人にそっくりな魔道具を造るのは可能なのかな。
「その人が【神子】候補である理由は?」
「魔力量と祝福や加護の数だよ。あの子、下手すれば魔術師全員の魔力を一人で越えられるから」
そんなにすごい人を聞いたことがないのは隠されてたからだよね。悪用されたら困るし。
「でもさ、アイリスはハゼルトの神様の加護を受けてるんだよね? なら、アイリスは【愛し子】じゃないの?」
「そこの判断が難しいのですよ」
少し困ったように笑うリリアナ。祝福と加護はまた別物ってことはなんとなく分かってるんだけど、どう違うの?
「加護は何かしらの意味があって神々が与えるものです。しかし、その加護がどのような意味合いで与えられたかにより、その方は【愛し子】とも【神子】とも呼べるのです」
祝福は面白半分。恩恵は意味があってだよね。なら、恩恵と加護って同じじゃないの?
「祝福と恩恵は後天的に与えられることが多いんだ」
「なので、先天的に与えられていたものを加護。後天的に与えられたものを祝福と恩恵に分けています」
産まれる前に与えられたものは全て意味があるってことか。それで、私はその加護の方を持ってるってこと、だよね。でも、なんでハゼルトの神の加護が私に?
「……アイリス様、少し魔力が特殊なんです」
「特殊?」
「調和率が異常に高いのは前にもお話しましたが、それ以外にも、無意識にですが、傍にいる方々を癒す性質を持っています」
それって、いわゆる聖女とか、そういう人の特徴なのでは? ゲームではグダるから省略されたのか、それとも転生によってバグが起きているのか。どちらにせよ、解決はしないと。
「それは聖女とは違うのか?」
「別ですね。聖女は例外なく、魔力よりも聖力が多くとある女神の加護を受けています」
よく分からないなぁ、この世界。専門用語多すぎ! 少なくしろよ。転生者に優しくないよ。てか、転生者じゃなくても分かってないから仕様を変えろ。誰だよ造った奴。一回出てこい。
「結論」
「アイリス様は理由は不明ですがハゼルトの神の加護を受けるとても稀有な方です。なので、ハゼルトの方で保護という名目で周りの虫を排除します」
ハゼルトで保護することで私の監視も行えるから、何かあったときに対応がしやすい。
「ということで大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない」
いつの間にか話が終わってたらしい。先生って私たちがいると話長いですよね。
「俺の話が長いんじゃなくて姪の説明が長いんだよ」
「伯父様から教えられたことをそのまま伝えているのですが」
リリアナは先生から教わったのか。ハゼルトの方がそこら辺詳しいだろうし、当たり前と言えばそうだろうけど、なんとなくでしか分からないんだよな。私の立ち位置もあっち行ったりこっち行ったりだし。




