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30.




少しすれば制御できるようになったのか、二匹とも小さくなった。


「姪っ子殿、これどうする?」

「普通に報告しかないですよ」


報告は魔塔に、だよね。どうするって言うのは、リリアナの守護獣についてかな。

中に入ると、部屋には人数分の飲み物やらなんやらが用意されてた。いつ用意したんだろ。


「相変わらず用意がいいな」

「あ、お酒あるじゃん」

「未成年多数の場に酒用意させるなよ」


ゼクトの言ってることはもっとも。飲めるの先生たちとサジュエルだけなのよ。


「んじゃ、本題ね」

「本題?」

「君たちの守護獣に関して」


私たちの? 何か問題でもあったのか?


「守護獣でさ、神獣種が出る条件って分かる?」

「魔力量でしょ?」

「違う」


え、違うの? 魔力量じゃないなら何が条件ってなりますけど。だって、そうじゃないと私が【幻獣種】出せてエルヴィスやティアナが出せなかったのに説明ができませんよ?


「魔力量もそうだが、一番は血だ」


血筋ってこと? でも、それこそ説明できない。カトレア家は皇族の血などが入ったことはないし。


「血は血でも、他種族の血だよ」

「他種族の……と言われても、それは死ぬのではないのですか?」


クラリッサさんの言う通りだ。リリアナも前に言ってた通り、他種族の血は取り込めば異物として身体に拒絶反応が出て死んでしまう。


「何を言ってるのさ。この国の皇族は神の血筋だよ? ハゼルトもそう。ここは比較的他種族の血を持つ一族が多い」

「お伽噺ではないのですか」

「お伽噺なワケないだろう。全て事実。君の祖先は神族だし、ハゼルトはさまざまな種族と交わってる」


そうなると、カトレア家もってことになりますけど、我が家はそんなこと。それに、そしたらゼクトもそうなりますよね?


「うん。そこなんだよ。カトレア家に他種族の血は流れてない」

「本来ならば起きるはずのないバグが起きてる。それを調査するためにメルトは来たんだよ」


ゲームではなかった。それはきっと、ご都合主義だからだ。ゲームの進行を妨げるものは排除されてる。だからこういうことが起きてる。


「姪っ子殿が珍しいと言うから興味があったけど、さすがに理を破られるワケにはいかないんだよね」


ハゼルトとは快楽主義者。そして、何よりも掟を守る一族だ。

唯我独尊という言葉が似合うと思われているが、彼らは決して国に不利益をもたらすことはなく、自分勝手ではあるが国を守るための行動が多い。


「アイリス・ディア・カトレア」


故にハゼルトは異例を許さない。異例を許し、それが問題を起こせば害を被るのはハゼルトであり、国であるから。


「君は国のために死ねるかい?」






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