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27.




「……でかぁ」


昨日の夜、リリアナからどうせなら明日行う守護獣の使役を見に来ないかという手紙をもらい、やってきたのはハゼルト侯爵邸。当たり前だけれど、招待されたのは私だけではなく、ティアナや殿下はもちろんだが、アストロさんやオリヴィエさんも呼ばれたらしい。仲良しメンバー勢揃いかい。


「んだよ、お前ら来るなら一緒でよかったじゃねぇか」


何故か屋敷から出てきたのは先生でもリリアナでもなくニーチェル公爵。昨日の会話的にいるのは分かってたけど、速すぎないか。まだ朝の八時なんですけど。


「お前ら休日も一緒でダルくねぇの?」

「全然?」

「普通に楽しいですし」

「私はシエルさんに呼ばれた~」


とりあえず準備もうできてるからと中を案内されるけど、ニーチェル公爵に案内されるのか。普通ここの侍女さんとかでは。


「……あれ、なんか増えてない?」

「前に連絡入れただろ」


男の人にしては少し高めの声。身長は先生より少し高そうで、黒い長めのローブを着ている人。ただ、袖に腕を通していなく、フードを被って落ちないようにしているように見える。あれフード取ったらどうなるんだろ。落ちるのか、もしくは魔法で落ちないようにでもしてるのか。


「……あぁ、なるほどね。君か」


一瞬消えたかと思えば、目の前に来ていて顔を覗かれる。


「姪っ子殿に怪我させた使役者ってのは」


姪っ子殿。使役者。使役者を指すのが私なら、姪っ子殿って言うのはリリアナ。つまり、この人は…。


「伯父上、何度も言いますが勝手に彷徨かれると困ります!」

「はぁ~? 自分の家なんですけど」

「あなたその姿を国に登録していないでしょう!?」


後ろから走ってきたユラエス。伯父上ってことは、確定。この人、先生のお兄さんだ。


「さて、オリヴィエ以外ははじめてかな。もしかしたら別の姿で会ってるかもだね。魔塔所属者、第四魔術師【コード:ロット】メルト・ドラグ・ハゼルトだ」


姿、と言ってるから幻影魔法で見た目を変えているのだろう。先生と髪色が違うし、二卵性双児だとしても、前ハゼルト侯爵夫妻がメルトさんのような水色の髪色を持っていると聞いたことがない。確か、前侯爵が先生と同じ赤銅色を持っていて、前侯爵夫人が銀色を持っていたはず。


「君、不思議な形だね。姪っ子殿が興味を持つのが分かるよ。研究したい」


いきなり物騒だな!? 初対面で研究したいって言われて好感持てる人なんていないでしょ。


「メルト、近い」

「あぁ、ごめんごめん。距離感ってよく分からないんだよね。不快にさせたなら謝るよ」


距離感分からないにしても、近すぎなのでは。先生ともその距離なのか?


「ハゼルトは距離感バグってるから気をつけろよ」

「一番酷いのは姪っ子殿だから」

「そういうイメージないですけど」

「あの子は化かしが上手いからねぇ」


部屋の前まで案内され、もう起きてるかなと呟くメルトさん。扉を開けると、悠々と本を読んでいる先生とそんな先生の膝を枕にしてスヤスヤと寝息を立てているリリアナがいた。






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