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26.




リリアナが言うには、二匹の天狼の姿を熱風により生み出し、敵を撹乱させ、風と炎で攻撃する魔法。

具体的なイメージはリリアナがやってくれると言っていたけれど、これもしかして複合魔法なんじゃないの? どんなもの使わせてるのリリアナは!


魔法は無事命中。リヴァイアサンはおとなしくなって、水の塊も消えていく。


「アイリス! リリーちゃん!!」

「大丈夫ですか」

「私は大丈夫。リリアナが」

「はい?」


リリアナの右腕を見てみると、血が止まっていた。なんで? 止血してないのに。あの怪我でこんな早くに血が止まるはずがない。


「ハゼルトはこういうのに耐性があるので」

「だとしてもだよ! 手当てしないと」

「少しすれば治りますから」

「ダメ!」


前の友だちに、痛みに鈍感な子がいた。その子は血が出てても気がつかないし、怪我してもこのくらい大したことないとか言ってたのに筋が切れてたとかあったし。怪我は軽視しちゃいけない。もし何かあってからじゃ遅い。


「カトレア落ち着け。姪は傷見せろ」

「このくらい平気ですって」

「いいから」


先生にはさすがに負けるらしく、おとなしく右腕を見せる。水の塊をどうやって防いだのかは分からないけれど、かなりのものだったのが伺える。


「魔法かけるが気休め程度だ。一回あいつに見てもらえ」

「分かってますよ……」


リヴァイアサンさんはどこにいるのかと思い見てみれば、かなりの大きさだったというのの今では蛇と変わらない大きさ。それできるなら最初からやれよというツッコミはありですかね。


「リリアナ!」

「お兄様まで…。このくらい、よくやっているでしょう」

「傷の大きさはそうだが威力が違うだろう。骨にヒビが入ってたらどうするんだ」

「そのくらいなら数日もすれば治ります」

「リリアナは怪我を軽視しすぎてる」


リリアナはハゼルトの血が濃いのだろうか。先生もリリアナが怪我したというのに焦っている様子はない。強いて言えば、血が地面に垂れ落ちているのが少し嫌そう。


「明日はあいつも来るからな」

「あ、今日行きますね」

「先に治療だよ」


どうにか治療避けようとしてるのバレバレだよ。病院は嫌だって駄々捏ねる子どもか。


「俺は姪連れてくから、他の教師の指示で動け」

「ちょ、伯父様!?」


軽々とリリアナを持ち上げてどこかへと歩いていく先生。もう少し持ち方何かありませんでしたかね。先生、女性の扱い方なってないです。せめて姫抱きとか……いやこれも問題あるけどね?



 * * * *



姪は昔から無茶をする。本人は問題ないと言うが、旗から見れば痛々しい傷も放置するクセがついてる。


「ほらよ」

「ちょ!」


降ろせ降ろせとうるさいから適当な空き教室で降ろせば受け身を取れずに顔からいった。悪いとは思うが反省はしない。


「さっさと治せ」

「…はぁ、まったく」


女性の扱いがなってないだの、もう少し持ち方をどうにかしろだのとブツブツと愚痴を言っている姪。怪我をしている右腕に左手を当てたかと思えば、淡い光が溢れだしみるみると傷が癒えていく。


「それで、どうだった」


姪が攻撃を受けたのはわざとだ。本来ならあの程度の攻撃、簡単に防ぎきれる。それをせずにわざわざ受けたのは確かめたいことがあったからだ。


「当たりですよ」


【七大悪魔】の一角として伝えられている存在。あれはそれを神が模倣し生み出した存在。


【水の王】海獣リヴァイアサン。ハゼルトの神が生み出した自然の調和を保つために生み出した制御装置のようなもの。本来ならば、使役することのできない存在。


「これでひとまず、チェックですね」






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