24.
私と殿下のどちらからやるかだけど正直どっちも嫌だ。
ゲームをしていた都合上、私はリリアナ以外のゲーム主要キャラの守護獣を把握している。リリアナの守護獣が分からないのはゲームでも出てきたことがないから。そして問題は、私と殿下の守護獣だ。
殿下の守護獣はこの国のシンボルでもある【聖獣種】フェニックス。皇族であり、時期皇帝たる殿下にはふさわしい守護獣だ。これだけなら問題はないけれど、問題は先ほども言った私の守護獣。
伯爵家でありながら、【幻獣種】を出し、その上聖獣として見られることもある存在を使役する。
伯爵家でありながらAクラスで神獣種を呼び出した。それがゲームでアイリスが本格的なイジメに遭うきっかけだ。
「カトレア嬢、どうする?」
「あ、それなのですが」
殿下から先にやりませんか、と急に言い出すリリアナ。これには殿下たちもビックリ。何故かと聞けば、先生が私の魔力を調べたいらしく、来るまで待ってやってくれとのこと。
「なんでアイリスのを調べたいんだろ」
「アイリス様は調和率が高いのですよ」
これまた専門用語が出てきたね。リリアナといると魔法に詳しくなるな。この世界じゃいいことなんだけど、知りすぎもよくないんだよな。
「親父と同じタイプかよ。そりゃ魔力量すげぇわな」
「どういうこと?」
「調和率ってのは、大気中に漂う魔力を取り込み、自分のものにできる割合のこと。魔力を消費しても即座に大気中の魔力を取り込んで自分のものにできるから燃費がいいんだ」
大気中の魔力を自分のものにできると言っても、それには体質などが要因となる。大気中の魔力が私の魔力と馴染みやすいのか、私の魔力が大気中の魔力を自分のものに変換することに長けてるのかを調べたい、ということなのかな。
「じゃあ、私からか」
ゲームで知っているから緊張感はそこまでないけど、
「きれいですねぇ」
画面越しで見るのと生で見るのとでは迫力が違う。
緋色の炎を纏うフェニックス。二メートルにも及ぶ大きさでこちらをジッと見ている。
周りも国のシンボルであるフェニックスが顕現したことに驚き、殿下とフェニックスを見ている。
「これ、大丈夫?」
「大丈夫ですよ」
しばらくすると、フェニックスは鳴き声をあげて炎で全身を包み、炎が消え現れたのはティアナの白狐より一回りほど大きいフェニックス。
「使役完了ですね」
「何もしてないが……」
「何もしなくとも、聖獣がお前さんを認めた。誇れよ皇太子」
他の生徒たちを見ていた先生がこちらに来ていた。いつからいたんだろ。
「フェニックスは火の最上位精霊。精霊の王の一角がお前を認めたんだ。何もしてないってことは、何もしなくともお前に王たる資格があるってことだ」
先生がそういうこと言うなんて意外だなぁ。教え子は可愛いとか、そういう人でもないし。
「姪は明日な」
「分かってますよ」
「リリアナ嬢の使役、親父が見たいとか言ってたが」
「カフニオは勝手に来るからいいだろ」
よくはないんじゃないかなぁ?




