23.
魔法陣はリリアナが作ってくれてなんとかなった。人の作った魔法陣使えるのかという疑問があるのだけれど、リリアナ曰く、魔力を込めていない空の魔法陣を作ったため、魔力を込めればいけるらしい。空の魔法陣ってなんだよって感じだけど、聞かないことにした。
「で、誰からやる」
「じゃんけん」
「バカが最初にやるそうです」
あんたね。このメンバーで話し合いで決めないはあり得ないでしょ。
「詠唱は?」
「え、いります?」
「いるでしょ」
「……リリアナ嬢、魔力で全部解決してるあんたと違って基本は詠唱必須だからな?」
リリアナが詠唱してるの見たことなかったけど、結構力業だったんだ。簡単なのなら無口頭はできるけど、難しいものになると使わないとできないんだよね。
「この程度のなら別にいらんだろ」
魔法の詠唱とか憧れるけど、普通に恥ずかしいよね。使役なのもあり、そこまで難しいものでもないらしい。そのため、無口頭魔法になった。
「……おぉ、できた」
魔法陣に魔力を流して発動すれば、魔法陣が淡く光り、中央に白い生き物が…。
白狐がティアナの守護獣。尻尾の先が少し水色になっており、ひんやりしている。【氷属性】の魔法主体のティアナにはぴったりの守護獣。
「可愛い!」
「白狐か。珍しいな」
守護獣だからか、ティアナに懐いていて肩に乗ってくつろいでいる。なんか、某電気ネズミみたい。
「次、誰やる」
「私がやります」
魔法陣はどうやら、込めた魔力を完全に消せば再利用できるらしく便利。
「………鷹ですか」
「エルくんと相性いいじゃん」
「こういうのって主に似るんですかね」
リリアナ、それじゃあ先生はアレみたく好き放題してるってことに……好き放題してるから合ってはいるのか?
「リリー? 俺はアレみたく尻尾振ってないが?」
「私も可愛い子がほしいですねぇ。伯父様たちのはみんな撫でると怒りますし」
「リリアナさん?」
「蛇とかほしいですね」
リリアナ、無視しないであげなよ。あとなんで蛇なの。そこは普通さ、猫とかなんか、もっとないのか?
「蛇が壺に入ってるとこ見たいだけだろ」
「蠱毒って実際やるとどうなんですかね」
蛇は蛇でも毒蛇をご所望でしたか。お願いなのでやめていただいてもよろしいですかね? 公爵令嬢から「蠱毒」って単語出てくるのもおかしいんだから。
「やるなよ」
「やったら伯父様に叱られるのでやりませんよ」
理由がなぁ。怒られるからっていうのがなんとも言えない。普通はさ、生き物を争わせるとか可哀想だからとかじゃないの? 勝手に争うけど、争わせてるのはこっちだよ?
「……出るとしたら、もっと面倒なのだろうがな」
何かボソリとアストロさんが言っていた気がして見てみるが、ニコリと笑みを返されて終わった。




