219.
この人たちが仲悪いのはもう置いておこう。それで、なんだっけ? 魔帝に挨拶しに行くの?
「執務室いるでしょ」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫。魔帝はいい子ですから」
「あの問題児二人に比べたらな」
じゃあ、そこまで移動? てか、普通にいるけど大丈夫なのかね。悪魔って文献だとろくなこと書かれてなかったけど、その主でしょ? 言ってしまえば魔王でしょ?
「執務室までお越しいただく必要はありませんよ」
「引きこもりが出てくるなんて珍しいな」
声が聞こえて、そっちを向けば建物の中から出てくる男の人。デッカ……。身長いくつあるのよ。てか、ゼクトに似てない?
「お久しぶりですね。リリシア様」
「大きくなったねぇ。今はリリアナだし、そえ畏まらなくていいよ。こっちでの地位は既に剥奪されているからね」
リリアナと仲良さそうだけど、どちら様? こっちのことガン無視ですけど。
「レヴィアタン、サフィス」
「……はい」
「最悪……」
「お前たちの勝手を今さらとやかく言うつもりはないが、もう少し常識を持て。はしゃきすぎだ。……それと」
男の人は王太子殿下とラテさんの頭に手を乗せ、撫で始める。二人は予想外だったのか目を点にしてる。いや、そりゃそうだよね。知り合い?
「子どもたちをよく守ったな」
「……恥ずかしいからやめてくれない?」
「あの、もう子どもじゃないので……」
「俺からしたらまだ子どもだが」
すごい不服そうな顔をしているけど、二人が嫌そうにしているから頭を撫でるのはやめたらしい。それで、本当にどちら様?
「俺らには挨拶なし?」
「あなたには何度も会っているでしょう……。それと、前に書庫から盗んでいった禁書を返してください」
「あと二百年は借して」
「今すぐ返してもらっていいですかね? 大戦期の書物は貴重なので」
借りパクしようとしてない? あと、禁書ってそんな簡単に取れていいものなんですかね……。
「誰あの人」
「魔帝ですよ」
「一応俺の親父」
……あの、目の前で第一魔術師に迷惑かけられまくってる人が? 威厳ないけど、本当に魔帝なのかな……。影武者とかではなく?
「元々人見知りな子だったし、ペットがいじめてたからね」
「可愛がってあげてたんだよ」
「誰がどう見てもあれはいじめだと思うが」
「老害」
第一魔術師も威厳がないよ……。仲がいいのはいいけども、良すぎなのは考えものなのかな。それとも、この人たちだけに関してはなのか……。




