212.
「なんでそうなった?」
「いや、まぁ……。暴走して食べちゃったと言いますか……」
なんで暴走したのかも気になるけど、皇子たちを狙ったワケではないよね? なんでピンポイントで国の重要人物の腕食べてるの。
「まずどうやって食べた」
「アイリス、聞くところはそこじゃないよ」
「龍だから案外一口で」
「リリアナ、真面目に答えない」
てか、私を盾にするのを本当にやめてくれないかな。私が場違いすぎて嫌なんだよ。
「自己紹介からの方がよさそうだね。天帝が第一子、メルフィアス。ゼロニクルたちとは幼馴染みだよ」
「天帝が第二子、第一皇女のカテリーナよ。よろしくね」
「えっと、どうも」
私たちが思ってたより、最上位種族ってフレンドリーなんだな。話しやすい。もっとこう、傲慢な感じだとばかり思ってた。
「……お前ら、よくそんな普通に話せるな」
「え、ダメなの?」
「普通は機嫌損ねたりしたら大変だから話さないと思うけど」
「リリアナと喋る感覚で喋ってたね……」
普段みんなで話すのと同じ感覚だったけど、普通に考えたら殺される可能性あるんだよね。
「いや、さすがにこれだけ最上位種族の身内がわんさかいるのに殺さないよ」
「どこに皇女さまの地雷あるか分からないしね~」
リリアナの地雷は至るところにありそうだよね。昔もそれで苦労した記憶ある。てか、この子は普通にずっと隠れてるけど、いい加減出てきなさいよ。
「でも……」
「でもじゃなくて、出なさい」
「わぁ、アイリスが強気だ」
後ろにいるリリアナを出せば、めっちゃ焦ってる。あんまりこういう姿を見ることがないから楽しいわ。
「リフィアが大人しいの、珍しいわね」
「私でも、申し訳ないと思うことはあるし……」
逃げるの早いよ。シェルシエラさんに隠れたし。あんた、そんな性格じゃないでしょうが。
「リフィア様」
「うぅ……」
シェルシエラさんたちも別に味方ではないワケで、出しはしないけど、隠れてていいと許すワケでもない。
「……話すのは嫌か?」
「嫌ってワケじゃ……。ただ、どういう顔すればいいか、分からなくて」
リリアナとしても、怖いんだろう。自分が傷つけてしまった人たちに、許されるのか。どっちにしても、気分がいいものではない。
「いつもみたいでいいよ。怒ってないから」
「……でも」
「リフィアがやりたいことを止めるつもりはないわよ。それに、私たちが気づいてあげられなかったのが原因だもの」
そう言ってリリアナの頭を撫でる二人の顔は、大切な妹のことを心の底から心配しているように見えた。




