206.
転移したのはいいけど、どこだここ。魔界ではあるんだろうけど、周りを見る限り何もない。強いて言えば、立ってるこの地面が空に浮いてることが分かるくらいかな。
「大丈夫だと思うが、あんまり離れるなよ。ここは魔力濃度が高いから、人間の身体に悪い」
「なんでこんな僻地に来たんだよ」
「適当に転移したんだから仕方ないじゃん。迎え寄越さないあいつが悪いんですよ」
「リリィさんや、さっきから言葉遣いがごっちゃだよ」
タメ口が普通に素なのだとしたらそっち聞きたさあるけどね。リリアナのタメ口とか聞いたことないし。
「あの龍もそうだけど、何がどうなってるの?」
「とても簡潔に説明すると、とあるバカのせいで死んだんですが、何度か転生させられました。あの子は私の前の前の子です」
「リヴァイアサンたちは?」
「前の前の子が造った子たちですね」
ややこしい……。前の前って、何回転生してるのよ。ループもの以外でそんなに見ないんですけど。しかも、あれも転生ではないし。
「……え、分からない?」
「え?」
「え、嘘でしょ?」
……え、私が知ってる子なの? だとしても候補が多いし、なんで私?
「え、待って待って。お義姉様も分からないの?」
「……」
「顔背けないでよ!」
私と先輩が知ってるってことは、たぶん前世は日本人なんだろうけど、分からないんだよなぁ。私たち共通の知り合いってそんなにいないはずなんだけど。
「いや、まぁ……」
「断定できないと言いますかねぇ」
「薄情すぎでは?」
「なんかヒント」
さすがに多すぎる。先輩と知り合ったのが高校ではあるけど、だとしても相当な人数いるからね?
「血の繋がってない三兄妹」
……あなたでしたかぁ。なるほど……。いやまあ、同じタイミングで死んだ私と先輩いるし、いるかなとは思いましたよ。思いましたとも。けど、けどね?
「リリアナと性格違うじゃん」
「私の知る二人とも性格違うんですけど? お義姉様に関しては改変しすぎなんだよ」
「だって、見てて焦れったいんだもの」
先輩、あなた何やってるんですか……。いやまぁ、気になることは多々あったよ? だってそもそも、ゲームだとリリアナとユラエスって顔を合わせることなかったはずだし、ユラエスとクラリッサが仲いいなんて話なかったもん。
「あぁ、そういやクラリッサが無理やり二人を合わせてたな」
「かな~り強引だったよね」
「何やってるんですか……」
「ティアナちゃんよりは強引じゃないわよ」
ティアナに関してはもう引き合いに出すのが間違いでは……。ティアナはやることがおかしいのよ。
「……なんでもいいが、そろそろ移動するぞ?」
「どうやって?」
「優秀な部下」
突然足下に穴が開いて、少しの浮遊感がしたと思えばすぐに地面に着いた。転移の一種? 魔法陣もなしで、しかも転移特有の魔力の流れもないのに?
「……あら、歓迎されてないみたいですね」
「これ以上ない歓迎方法だと思うが?」
目の前には大量の悪魔や天使、それでなんかまったりしてる魔術師たち。ついでにその中には一部敵意たっぷりな人たち。どうしてこうなる……。




