203.
やるとは言ったものの、リリアナのとこにどう行けばいいのか……。リヴァイアサンに乗るにも、大きすぎてすくにあの龍に見つかるし。
「ほら、早く行け」
「え、ちょ!?」
マジかよあの人、頭おかしいでしょ! どうやったらこの高さで突き飛ばせるのよ! どうにでもなれとリヴァイアサンに助けを求めれば、さすがにマズいと思ったのか、すぐに出てきてくれた。あの性格終わってる人が義父とかマジ?
「てか、フェンリルは」
《精霊は問題なかろう。姫の注意はあちらに向いているしな》
みんなのいる方を見れば、またあの龍が攻撃していた。あの龍もかなりしつこいな!? 諦めなよ。というか、傷治るの速すぎるでしょ。いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて。早くリリアナのところ行かないと。
「……これ、生きてるんだよね」
リリアナのところに来たけれど、心臓部に剣が刺さっていて、血もかなり流れてる。普通ならとっくに死んでいてもおかしくない。リリアナの守護獣はずっと心配そうに周囲を回っていて、剣に触れようとしているけれど、何かに弾かれているのか近づけないらしい。
「……これ、どうすれば」
《魔力を流し込め。操作はこちらでやる》
できるだけ、胸元は見ないようにしよう。リリアナの手を握って、魔力を流し込む。やり方は前にリリアナに魔力を流し込んだのと同じ。リヴァイアサンが操作はしてくれる。急いでリリアナを治して、あの龍をどうにかしてもらわないと。
《令嬢、少しペースを落とせ。このままでは》
「でも、早くしないと」
《上は大丈夫だ。しっかりとしろ》
二人に言われて、思った以上に魔力を流し込んでたことに気がつく。急がないとって焦りで、かなり流してたのか。自覚すると疲労が一気に来る。けど、そんなことで休んでいられない。リリアナに魔力を流して行くけど、剣をどうにかしないと……。
《……妹、だいじょーぶ?》
「……え?」
男の子の声が聞こえてくるけど、誰もいない。誰の声? フェンリルとリヴァイアサンの声じゃない。てことは、リリアナの守護獣? でも、この子たちの声は聞こえないんじゃ……?
《剣邪魔。抜ける》
「持ち主以外は無理なんじゃないの?」
《妹、大丈夫。抜ける》
妹と言われてるのに違和感があるけど、今は信じるしかない。剣の柄を掴んで、ゆっくりと引き抜こうとする。その度に血が出て、リリアナから小さな呻き声が聞こえてくる。フェンリルがリリアナの傷口を洗浄してくれているのもあって、細菌などが入ることはない。ゆっくり、慎重に引き抜いていき、ようやく抜けた。たぶん、時間としては一分も経ってないんだろうけど、体感十分だと思えるほど。友だちの身体に突き刺さった剣を抜くなんてこと、後にも先にも今日だけだろう。
「抜けた、けど……」
ここからリリアナを治さないと……。そう思ってまた魔力を流し込もうとすると、突然光が周囲を包み込んだ。




