表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/24

2.




あれだけ気を付けようとしていた学院入学初日。

席は仲の良い人たちと固まれるようにという配慮なのか自由で、後ろの席を取った。だというのに、私の隣にはキラキラとした目を向ける公爵令嬢……。


ティアナ・サルジュ・ニーチェル。

公爵令嬢の一人で、攻略対象の妹兼婚約者。

薄紫色の髪と瞳が特徴的で、兄が二人いるけれど、その二人も同じ色。父親である公爵閣下の遺伝子が強いのだろう。


「ねぇねぇ、名前は?」

「えっと、アイリスです」


自由人というイメージが強く、掴みどころがなさそう。婚約者と一番上の兄が攻略対象というヒロインとの関わりが強い人物。婚約者ルートだとかなり出てくるものの、最終的には何故かリリアナが変わって断罪されるという謎。


攻略対象とかに関係する人と一緒にいてフラグ立つのは避けたいけど、今離れたら不敬だし…。


「何組だろうね」


あなたも私も一番上のAクラスです……。

階級主義ではなく実力主義であるこの学院では、入学前にテストを行う。こういうところは地球と同じなんだよね。まぁ、あっちはバランスよくするんだけど、こっちは実力主義だけあって成績上位順にクラスが分けられる。ゲームではアイリスが伯爵位で唯一のAクラスで、周りは侯爵位ばかり。そのせいかゲームでは陰口をされてたっけかな。


入学式はなんとか終わり、クラス発表だけれども、


「待つの面倒だから速くしてもらっていいか」


ここはゲームと変わらないようだ。

司会の先生の言葉を遮って話す人物。


シエル・カシュ・ハゼルト。

私たちAクラスの担任で魔塔に属する人物。

赤銅色の髪と瞳の持ち主。リリアナの伯父であり、皇族同等の権力を持つハゼルト侯爵家の当主。


少し不機嫌な様子であり、先生たちは焦っている。これ以上機嫌を損ねればどうなるか分からないからだろう。急いでクラス発表を行い、生徒たちに各教室に向かうように指示をする。


「シエル・カシュ・ハゼルト。名前を覚えるつもりはない。実力なきゃ落とすから」


教室に全員が入った瞬間これである。なんでこの人教師になったんだか。


「んじゃ、解散。散れ」


生徒に対して散れはないと思いますよ。

席は成績順で、順番としては窓側にリリアナ、リリアナの婚約者の皇太子殿下、ティアナの婚約者。通路を挟んで私、ティアナ、別の方という感じ。


「同じクラスで良かったね」


同じクラスなのはいいけれど、周りからの視線が。


「初日から仲良くなったのかい?」

「やっほ~」

「お前、式のとき逃げただろ」

「目が怖いよエルくん」


後ろから声をかけられ、振り向けば攻略対象のお二方。


フロイド・カフテリア・フィミナルト皇太子殿下。金髪碧眼と皇子様としては典型的な色合いで、リリアナの婚約者。

その隣にいるのがエルヴィス・ツムロ・サーフェルト公爵子息。若草色の髪と瞳で、モノクルをかけている。

どちらも攻略対象だという地獄。


エルヴィスがティアナに「逃げた」と言ったのは、式のとき隣に来なかったからだろう。怒られることでもしたのかな。


「突然すまないね。カトレア伯爵令嬢」

「あ、いえ。こちらこそ、皆さんの間に入ってしまって申し訳ないというか」


全力で挑まないのはさすがに失礼だからやらせてもらったけど、まさかの四位だったとはね…。個人的には十位辺りに居たかった。


「リリーちゃんは?」

「リリアナ嬢は侯爵と話してますよ」


伯父と姪って立場だし、何か話でもあるんだろうな。


「さすがに今日はシエルさんに取られちゃったかぁ」


言い方……。それじゃあハゼルト侯爵がリリアナを奪ったみたいになるよ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ